液体ロケットの構造システム設計[改訂版]

著者名
幸節雄二
価格
定価 4,400円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0356-1
仕様
A5判 並製 258頁 C3053
発行年
2023年9月
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内容紹介

日本の液体ロケット開発は、アメリカから導入されたデルタ・ロケットの技術を基礎としてスタートした。デルタ・ロケットは元々中距離弾道ミサイルとして開発されたロケットであることから、導入した液体ロケット技術は日米政府間協定により、開発に関わった政府機関および企業以外には開示することが禁止されている。また、その後の自主開発技術についても、導入技術との関係で一部を除き公表されていないのが現状である。

そこで、日本がアメリカから導入した液体ロケット技術と同等と考えられる設計技術として、サターン・ロケットおよびスペースシャトルに着目。公開されている技術文献に基づき、液体ロケットの設計技術の基礎を解説・説明することとした。本書により、若手技術者およびこの分野を目指す学生に対して、液体ロケットの設計技術の基礎を分りやすく伝えるとともに、今後開発が予想される再使用型ロケットを開発するために必要な基礎技術を伝承することが出来よう。

改訂版では、主に①NASAの設計基準の改訂を反映し、設計・製造の検証方法としてプロトタイプとプロトフライトの適用を明確化、②空力形状の中でも特に重要な先端形状について、その空力特性(垂直力係数、風圧中心および抗力係数)の解析例を追加、③突風モデルに関して、初版で説明したサターン・ロケット開発以降で適用実績のある台形状モデルに加えて、NASAによって見直されたスペースシャトル用の正弦波状突風モデルの説明を追加し、両モデルを比較、の3点の改訂を行った。

目次

 まえがき
 本書改訂について
 
1章 日本の液体ロケット
 
 1.1 日本の液体ロケットの概要
 1.2 液体ロケット技術の由来
 1.3 H-Ⅱロケットの機体構造
  1.3.1 設計構想
  1.3.2 機体構造
 1.4 各ロケット開発の特徴
  1.4.1 ポゴ防止
  1.4.2 部分構造結合法
  1.4.3 設計荷重
 参考文献
 
2章 ロケットの構造設計の基本
 
 2.1 構造設計の基本的考え方
  2.1.1 安全余裕
  2.1.2 制限荷重
  2.1.3 設計荷重と設計係数
 2.2 構造設計基準
 2.3 国内法規
 2.4 NASAの設計基準
  2.4.1 スペース・シャトルの設計係数と特別係数
  2.4.2 NASAの構造設計基準の概要
  2.4.3 NASAの設計基準8000シリーズ
 付録-1 強度の余裕を基準化する意味
 付録-2 NASA-STD-5001Bの目次
 付録-3 NASA SP 8000シリーズ構造関係の設計基準
 参考文献
 
3章 液体ロケット構造の信頼性
 
 3.1 信頼性とリスク
  3.1.1 構造体の信頼性
  3.1.2 許容されるリスクの基準
 3.2 液体ロケットの構造設計
  3.2.1 設計の基本
  3.2.2 発生荷重の考え方
  3.2.3 許容荷重の考え方
  3.2.4 構造体のリスクと信頼度
 参考文献
 
4章 機体形態の選定
 
 4.1 機体形態の最適化
  4.1.1 飛行安定性の確保
  4.1.2 スロッシングの影響
  4.1.3 推進薬タンクの配置
 4.2 空力形状の選定
  4.2.1 先端形状
  4.2.2 空力的安定性の強化
  4.2.3 円錐台形の段間部
  4.2.4 フィン
 参考文献
 
5章 飛行経路の設計
 
 5.1 一般的な衛星の打上げ飛行方式
 5.2 静止衛星の打上げ飛行方式
 5.3 飛行経路の設計
  5.3.1 基本的な考え方
  5.3.2 飛行経路の設計法
 5.4 飛行経路解析の概要
 参考文献
 
6章 制御系の設計
 
 6.1 制御系の概要
 6.2 制御系の初期設計と全段設計
  6.2.1 ロケットの運動
  6.2.2 姿勢制御系のブロック線図
  6.2.3 ゲインの初期設定
 参考文献
 
7章 荷重全般
 
 7.1 荷重の種類
 7.2 荷重の主な要因
 7.3 設計標定荷重
 参考文献
 
8章 地上風による荷重
 
 8.1 地上風の特性
  8.1.1 計測データ
  8.1.2 ロケット設計用の地上風速の規定
 8.2 発射台上での荷重
  8.2.1 概要
  8.2.2 定常風による荷重
  8.2.3 非定常風による荷重
  8.2.4 予備設計での地上風荷重の簡易設計法
  8.2.5 地上風荷重と打上げ作業
 参考文献
 
9章 上空風の特性
 
 9.1 荷重が発生する機構
 9.2 上空風の特性
  9.2.1 上空風の計測法
  9.2.2 スカラー風速
  9.2.3 ベクトル風の風速と確率楕円
  9.2.4 ロケットに作用する風
 9.3 設計用の風モデル
  9.3.1 風形状のモデル化
  9.3.2 風のシア
  9.3.3 突風
  9.3.4 合成風の作成法
  9.3.5 風の統計的表現
 9.4 打上げ前の風観測
 参考文献
 
10章 大気中飛行時の荷重
 
 10.1 ロケットの運動の扱い方
 10.2 大気中飛行時の静荷重
  10.2.1 ロケットに働く力
  10.2.2 軸力
  10.2.3 曲げモーメント
  10.2.4 横せん断力
  10.2.5 制御系と構造系の最適化設計
 10.3 大気中飛行荷重の解析手順
  10.3.1 飛行シミュレーション
  10.3.2 荷重計算
  10.3.3 制限荷重の設定
 付録 底面抵抗係数の例
 参考文献
 
11章 振動荷重
 
 11.1 ロケットの構造振動の概要
 11.2 振動荷重解析の概要
 11.3 振動荷重解析の作業手順
 11.4 振動荷重解析の例
  11.4.1 ロケットの振動モデル
  11.4.2 エンジン推力に対する振動応答解析
  11.4.3 突風による振動応答解析
 付録-1 剛体モードの分離
 付録-2 構造減衰
 付録-3 曲げ振動による横せん断力および曲げモーメントの計算法
 
 参考文献
 索 引

著者紹介

幸節雄二(こうせつ ゆうじ)
幸節技術士事務所 所長・技術士(航空・宇宙部門)
 
1974年、名古屋工業大学大学院修士課程修了。
同年、三菱重工業株式会社入社し、N-Ⅰ、N-Ⅱ、H-Ⅰ、H-Ⅱロケット等の開発に従事。
1999年、東京工業大学にて博士(工学)の学位を取得。
2000年、宇宙開発事業団(NASDA)(後に航空宇宙技術研究所、宇宙科学研究所と
統合され、宇宙航空研究開発機構(JAXA)となった)に入社し、H-ⅡA ロケット等の
設計評価に従事。
2006年、九州大学大学院工学研究院教授(航空宇宙工学専攻)。
2013年、同大学院を定年退職し、幸節技術士事務所を開設して現在に至る。
 
著書
『ロケット工学基礎講義』(共著) コロナ社、2001年
『構造振動学の基礎』九州大学出版会、2010年

学術図書刊行助成

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