本書は,構造物の地震時不安定現象を予測する新しい解析手法である「増分形式座屈固有値解析」を詳細に解説するものである。振動中の不安定現象の代表例として「動的座屈」と「パラメトリック励振」を取り上げ,模型実験結果と解析結果を併せて示すことで,これらの現象を理解し,解析手法の有効性を認識できるようになっている。さらに座屈現象が現れない場合の余裕度の定量的評価,座屈現象への対処方法を決定するためのシミュレーション手法なども丁寧に解説されている。また,既設のアーチ橋の座屈性能照査事例や,耐震補強による座屈性能の改善が具体的に示されており,本手法を適用して,地震時不安定現象を見逃すことなく,地震に強い構造物の設計が行えるように配慮されている。
1. 構造物の動的不安定 1.1 本書のテーマと内容 振動する構造物の不安定/非線形解析による不安定性の照 査/定量的な検証 1.2 動的構造不安定評価の現状 様々な動的構造不安定/地震時座屈に対する懸念の曖昧さ 1.3 既往の座屈照査手法と課題 座屈照査手法の概要/線形座屈固有値解析/非線形座屈解 析(静的手法)/非線形座屈解析(動的手法) 1.4 解決すべき課題の整理 1.5 1章のまとめ2. 動的構造不安定の定量評価指標 2.1 定量評価指標の候補 動的解析中に求められる固有値/評価すべき不安定状態と 性能指標による評価/増分形式の座屈固有値解析の有用性 2.2 動的解析中の固有値の変化(鋼製中路式アーチ橋の事例) プラットフォーム解析プログラムの仕様/解析条件/解析 結果/地震時構造不安定の定量評価の可能性について 2.3 数値解析に関する補足説明 直接積分法と増分形式の座屈固有値解析/保存力と非保存 力/修正ラグランジェ定式化と幾何剛性マトリックス/サ ブスペース法と逆反復法 2.4 2章のまとめ3. 実験による検証 3.1 動的座屈実験とトレース解析 動的座屈実験仕様の概要/実験結果/トレース解析/動的 座屈の定量評価に関する考察 3.2 パラメトリック励振実験とトレース解析 パラメトリック励振と橋梁/実験仕様/実験結果/トレー ス解析/励振中の固有値の変化に関する考察 3.3 3章のまとめ4. 増分形式座屈固有値解析による地震時座屈照査手法 4.1 ここまでの整理 4.2 増分形式座屈固有値解析による地震時座屈照査手法 4.3 提案手法運用上の留意点 部材・部分系・全体系の座屈/座屈固有値解析の挿入時間 間隔と計算時間/座屈固有値の評価と比較時の留意点/座 屈固有値解析と動的解析の関係/座屈固有値の正負につい て/座屈固有方程式に用いる剛性マトリックスについて/ 座屈判定が出ない場合・出た場合の対処 4.4 4章のまとめ5. 座屈前後の状態評価 5.1 座屈していない状態の余裕評価 余裕を示す指標/余裕評価解析/余裕評価に関する考察 5.2 座屈後の動的挙動シミュレーション 座屈後挙動追跡の必要性/現象が看過されている事例/現 象と固有値情報が自然に整合する事例/現象と固有値情報 の整合に関する考察 5.3 5章のまとめ6. 適用事例 6.1 コンクリート製長大アーチ橋(支間長600m)の地震時座屈性能 形状パラメータスタディ/座屈震度との比較 6.2 異なるアーチ橋における地震時対座屈性能比較 6.3 鋼製上路式アーチ橋の耐震補強 対象橋梁概要/補強前の耐震性能照査/補強後の対座屈性能 の改善/余裕に関する考察 6.4 6章のまとめ7. 本書のまとめと今後の展望 7.1 各章のまとめ 7.2 今後の展望参考文献索引
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