はじめの一歩 物理探査学入門

著者名
水永秀樹
価格
定価 3,960円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0253-3
仕様
A5判 並製 360頁 C3042
発行年
2019年2月
その他
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内容紹介

物理探査は、目では見えない地下の状態を物理的な方法を使って可視化する探査技術の総称です。もともとは地下資源探査の目的で研究・開発されてきましたが、現在では地下環境の計測や遺跡調査、不発弾や地雷の探査などにも使われています。この本では、物理探査の大部分をカバーできるように、弾性波探査、電気探査、電磁探査、重力探査、磁気探査、地中レーダ探査、放射能探査、地温探査などの数多くの探査手法を章ごとに取り上げています。また、それぞれの探査手法の背景にある地球物理学、地質学、物理学、数学、計測工学などの周辺学問分野についても探査手法ごとに説明していますので、興味のある探査手法から読み進めて行けるようになっています。

物理探査は、ある意味で料理に良く似ています。いくら、丁寧でわかりやすい料理のレシピ本を読んでも、実際に料理をしなければ料理を習得することはできません。基礎的な知識も重要ですが、経験が何より重要です。この本で身につけた物理探査の基礎知識を使って、ぜひ物理探査を実際に行ってみてください。

目次

まえがき
 
第1章 物理探査の概要
 
 1.1 物理探査とは
  1.1.1 物理探査の定義
  1.1.2 物理探査の目的
  1.1.3 リモートセンシング
  1.1.4 ソナー
  1.1.5 物理検層
  1.1.6 非破壊検査
  1.1.7 非侵襲的検査
 1.2 物理探査の基礎事項
  1.2.1 物理探査の3要素
  1.2.2 物理探査の分類
  1.2.3 物理探査の実施場所
  1.2.4 物理探査の空間モデル
  1.2.5 物理探査の3つの段階
 1.3 地質の基礎知識
  1.3.1 地層と岩石
  1.3.2 地層の構造
  1.3.3 地質年代
  1.3.4 鉱床
 1.4 物理探査の応用分野
  1.4.1 石油・天然ガスの探査
  1.4.2 金属鉱床の探査
  1.4.3 地熱資源の探査
  1.4.4 地下水・温泉の探査
  1.4.5 活断層の探査
  1.4.6 遺跡の探査
  1.4.7 不発弾の探査
  1.4.8 現地核査察
 
第2章 弾性波探査
 
 2.1 弾性波探査の物理学
  2.1.1 波の基礎事項
  2.1.2 弾性体と弾性定数
  2.1.3 弾性波速度
  2.1.4 弾性波の伝播
  2.1.5 音響インピーダンスと反射係数
 2.2 弾性波探査の地球物理学
  2.2.1 地震の基礎事項
  2.2.2 地震と断層
  2.2.3 地震の震度とマグニチュード
  2.2.4 地震波の種類
  2.2.5 地球の内部構造
  2.2.6 その他の震動
 2.3 弾性波探査の地質学
  2.3.1 石油トラップ
  2.3.2 岩石の弾性波速度
 2.4 弾性波探査の計測工学
  2.4.1 地震計
  2.4.2 弾性波探査の受振器
  2.4.3 弾性波探査の振源
  2.4.4 屈折法の計測
  2.4.5 反射法の計測
  2.4.6 表面波探査の計測
  2.4.7 微動探査の計測
 2.5 弾性波探査の数学
  2.5.1 屈折法の基礎理論
  2.5.2 萩原のハギトリ法
  2.5.3 反射法の基礎理論
  2.5.4 反射法のデータ処理
  2.5.5 反射法データのマイグレーション
  2.5.6 表面波探査の基礎理論
  2.5.7 微動アレイ探査の基礎理論
 2.6 弾性波探査のケーススタディ
  2.6.1 石油・天然ガスの弾性波探査
  2.6.2 地すべりの弾性波探査
  2.6.3 地下水の弾性波探査
  2.6.4 表層地盤の弾性波探査
  2.6.5 遺跡の弾性波探査
 
第3章 電気探査
 
 3.1 電気探査の物理学
  3.1.1 静電気
  3.1.2 電流と電池
  3.1.3 抵抗と電圧
  3.1.4 比抵抗と導電率
  3.1.5 直流と交流
 3.2 電気探査の地質学
  3.2.1 岩石の比抵抗
  3.2.2 自然電位
 3.3 電気探査の計測工学
  3.3.1 電気探査の分類
  3.3.2 自然電位の測定
  3.3.3 比抵抗の測定
  3.3.4 流電電位法の測定
  3.3.5 流体流動電位法の測定
  3.3.6 強制分極現象の測定
 3.4 電気探査の数学
  3.4.1 点電極による電位
  3.4.2 鏡像法
  3.4.3 各種電極配置の見掛比抵抗
  3.4.4 線電極による電位
  3.4.5 水平2層構造の理論電位と見掛比抵抗
  3.4.6 水平多層構造の理論電位と見掛比抵抗
  3.4.7 比抵抗法の感度分布
  3.4.8 複素比抵抗とコール・コールモデル
  3.4.9 流体流動電位法の基礎理論
 3.5 電気探査のケーススタディ
  3.5.1 地下資源の自然電位探査
  3.5.2 地熱貯留層の流電電位法探査
  3.5.3 遺跡の比抵抗法探査
  3.5.4 地下水の比抵抗法探査
  3.5.5 流体流動電位法による地下流体のモニタリング
 
第4章 電磁探査
 
 4.1 電磁探査の物理学
  4.1.1 電気と磁気の相互作用
  4.1.2 定常電流による静磁場
  4.1.3 電磁誘導
  4.1.4 電磁気の基礎事項
 4.2 電磁探査の地球物理学
  4.2.1 自然の電磁気現象
  4.2.2 シューマン共振
  4.2.3 地磁気の擾乱
  4.2.4 電気伝導度異常
  4.2.5 地震や火山による電磁気現象
 4.3 電磁探査の計測工学
  4.3.1 電磁探査の分類
  4.3.2 磁気センサ
  4.3.3 ループ・ループ法の計測
  4.3.4 自然電磁場を利用したMT法の計測
  4.3.5 人工電磁場を利用したMT法の計測
  4.3.6 TEM法の計測
  4.3.7 海洋電磁法の計測
  4.3.8 流体流動電磁法の計測
 4.4 電磁探査の数学
  4.4.1 マクスウェル方程式
  4.4.2 ループ・ループ法の基礎理論
  4.4.3 MT法の基礎理論
  4.4.4 TEM法の基礎理論
  4.4.5 流体流動電磁法の理論式
 4.5 電磁探査のケーススタディ
  4.5.1 不発弾の電磁探査
  4.5.2 地熱貯留層の電磁探査
  4.5.3 地下水の電磁探査
  4.5.4 金鉱床の電磁探査
  4.5.5 遺跡の電磁探査
 
第5章 重力探査
 
 5.1 重力探査の物理学
  5.1.1 物質の質量と重さ
  5.1.2 万有引力
  5.1.3 物質の密度
  5.1.4 重力加速度
 5.2 重力探査の地球物理学
  5.2.1 地球の形と大きさ
  5.2.2 引力と重力
  5.2.3 重力の単位
  5.2.4 ジオイド
  5.2.5 地球の平均密度
  5.2.6 重力異常
 5.3 重力探査の地質学
  5.3.1 岩石の密度
  5.3.2 重力が変化する地下構造
  5.3.3 岩塩ドーム
 5.4 重力探査の計測工学
  5.4.1 重力偏差計
  5.4.2 可逆振り子
  5.4.3 絶対重力計
  5.4.4 相対重力計
  5.4.5 重力補正
 5.5 重力探査の数学
  5.5.1 重力補正の計算法
  5.5.2 重力異常のフィルタ処理
  5.5.3 鉛直1次微分と鉛直2次微分
  5.5.4 波数領域のフーリエ変換
  5.5.5 重力分布の上方接続と下方接続
  5.5.6 重力ポテンシャル
  5.5.7 重力と重力偏差
  5.5.8 重力異常のシミュレーション
 5.6 重力探査のケーススタディ
  5.6.1 地殻構造の重力探査
  5.6.2 地下空洞の重力探査
  5.6.3 石油の重力探査
  5.6.4 鉱物資源の重力探査
  5.6.5 地熱の重力探査
 
第6章 磁気探査
 
 6.1 磁気探査の物理学
  6.1.1 磁石
  6.1.2 磁性と磁性体
  6.1.3 磁化と磁化率
  6.1.4 キュリー温度
  6.1.5 誘導磁化と残留磁化
 6.2 磁気探査の地球物理学
  6.2.1 地磁気の歴史
  6.2.2 地磁気の基礎事項
  6.2.3 地磁気の日変化
  6.2.4 地磁気の永年変化
  6.2.5 地磁気の逆転とエクスカーション
  6.2.6 古地磁気学
  6.2.7 大陸移動とプレートテクトニクス
 6.3 磁気探査の地質学
  6.3.1 岩石の磁気
  6.3.2 ケーニヒスベルガー比
  6.3.3 岩石の帯磁率
  6.3.4 岩石の透磁率
  6.3.5 地磁気の縞模様
 6.4 磁気探査の計測工学
  6.4.1 帯磁率計
  6.4.2 コイルを使った磁力計
  6.4.3 プロトン磁力計
  6.4.4 光ポンピング磁力計
  6.4.5 超伝導磁力計
 6.5 磁気探査の数学
  6.5.1 磁気双極子と磁気モーメント
  6.5.2 磁気異常
  6.5.3 磁気異常のスペクトル解析とキュリー等温面
  6.5.4 映像強調フィルタ
  6.5.5 極磁気変換と擬重力
  6.5.6 磁気異常のオイラーデコンボリューション
  6.5.7 磁気異常のシミュレーション
 6.6 磁気探査のケーススタディ
  6.6.1 地下構造の磁気探査
  6.6.2 不発弾の磁気探査
  6.6.3 遺跡の磁気探査
  6.6.4 被熱遺構の磁気探査
 
第7章 地中レーダ探査
 
 7.1 地中レーダの物理学
  7.1.1 電磁波の歴史
  7.1.2 電磁波の基礎事項
  7.1.3 誘電率と透磁率
  7.1.4 反響定位
 7.2 地中レーダの計測工学
  7.2.1 アンテナ
  7.2.2 地中レーダの測定方式
  7.2.3 地中レーダの送信波形
  7.2.4 地中レーダのデータ処理
 7.3 地中レーダの数学
  7.3.1 電磁波の波動方程式
  7.3.2 電磁波の反射係数
 7.4 地中レーダのケーススタディ
  7.4.1 埋設管・地下空洞の地中レーダ探査
  7.4.2 遺跡の地中レーダ探査
  7.4.3 不発弾の地中レーダ探査
  7.4.4 雪氷および凍土の地中レーダ探査
  7.4.5 科学捜査のための地中レーダ探査
 
第8章 放射能探査
 
 8.1 放射能探査の物理学
  8.1.1 人工放射能の発見
  8.1.2 天然放射能の発見
  8.1.3 放射能と放射線
  8.1.4 放射性崩壊
  8.1.5 放射能の単位
  8.1.6 放射線の相互作用
  8.1.7 宇宙線
 8.2 放射能探査の地質学
  8.2.1 放射性鉱物
  8.2.2 放射線による被爆
  8.2.3 自然放射線量の地域差
  8.2.4 ウラン鉱床
  8.2.5 断層破砕帯
  8.2.6 岩石の風化
 8.3 放射能探査の計測工学
  8.3.1 電離箱
  8.3.2 GM計数管
  8.3.3 シンチレーション計数管
 8.4 放射能探査の数学
  8.4.1 半減期と崩壊定数
  8.4.2 放射性年代
  8.4.3 放射能の遮蔽
  8.4.4 放射能探査の基礎理論
  8.4.5 空間データの補間
 8.5 放射能探査のケーススタディ
  8.5.1 断層の放射能探査
  8.5.2 地下水・温泉の放射能探査
  8.4.3 海洋環境の放射能探査
 
第9章 地温探査
 
 9.1 地温探査の物理学
  9.1.1 熱と温度
  9.1.2 熱の移動
  9.1.3 熱の物性
  9.1.4 熱電効果
 9.2 地温探査の地球物理学
  9.2.1 地球の熱と温度
  9.2.2 地球内部の温度と圧力
  9.2.3 地温の時間変化
 9.3 地温探査の地質学
  9.3.1 岩石の熱物性
  9.3.2 地下構造の違いによる地温変化
 9.4 地温探査の計測工学
  9.4.1 液体温度計
  9.4.2 熱電対
  9.4.3 サーミスタ温度計
  9.4.4 測温抵抗体
  9.4.5 放射温度計
  9.4.6 光ファイバ温度計
  9.4.7 1m深地温探査
 9.5 地温探査の数学
  9.5.1 熱伝導方程式
  9.5.2 熱伝導による冷却を使った地球年齢の推定
  9.5.3 地表の温度変化が地下温度に与える影響
  9.5.4 2次元の熱源モデル
  9.5.5 坑井温度を使った過去の温度履歴の推定
 9.6 地温探査のケーススタディ
  9.6.1 地熱貯留層の地温探査
  9.6.2 温泉の地温探査
  9.6.3 地すべりの地温探査
  9.6.4 漏水の地温探査
  9.6.5 金属鉱床の地温探査
 
引用文献および引用画像
参考文献
あとがき
索 引

著者紹介

水永秀樹(みずなが ひでき)
 
1990年 九州大学大学院工学研究科資源工学専攻博士課程修了
同  年 九州大学工学部資源工学科助手
1992年 九州大学工学部資源工学科助教授
1997年10月〜1998年9月 カリフォルニア大学バークレー校・客員研究員
現  在 九州大学大学院工学研究院准教授 工学博士(九州大学)
専  門 物理探査学(主に電気探査と電磁探査の理論的および観測的研究)

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