新 患者の権利 医療に心と人権を

著者名
池永 満
価格
定価 3,080円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0106-2
仕様
A5判 上製 640頁 C0036
発行年
2013年7月
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内容紹介

患者の権利運動の先導者・弁護士池永満の30年以上に渡る活動の軌跡。自己決定権,インフォームド・コンセント,カルテ開示,患者安全施策,WHO提唱の苦情手続きを日本に導入した患者の権利オンブズマン運動,さらには脳死・臓器移植問題,ハンセン病訴訟など1990年代以降の代表的論文や提言・活動記録を一冊に収録。「医療に心と人権を」という著者の遺したメッセージは安全
な医療を求めるすべての人に光を与えるだろう。

目次

 推薦の辞(河野正輝・五十川直行)
 序文
 
第一章 患者の権利運動30年の基盤をつくったもの
 
 第一節 「医療に心と人権を」
 第二節 「患者の権利宣言案」と宣言案アンケート調査(1985年)
 第三節 患者の権利法の制定を求めて(1)
         患者の権利法をつくる会結成総会(1991年10月6日)への報告から  
 第四節 患者の権利法の制定を求めて(2)
         「患者の権利法」制定運動の意義と現段階  
 
第二章 苦情調査申立権を促進する歩み
 
 第一節 21世紀市民社会にふさわしい医療構造を築くために
         日本における患者の知る権利・自己決定権確立の歩み  
 第二節 医療・福祉の現場における患者(利用者)の権利の促進のために(1)
         患者の権利オンブズマン創立アピール(1999年)  
 第三節 医療・福祉の現場における患者(利用者)の権利の促進のために(2)
         患者の権利オンブズマン活動とサービスの質  
 第四節 医療・福祉の現場における患者(利用者)の権利の促進のために(3)
         患者の権利オンブズマン誕生の背景とボランティア活動が生み出したもの  
 第五節 司法手続とは別個の裁判外苦情手続の必要性
 
第三章 自己決定権の確立に向けた歩み
 
 第一節 インフォームド・コンセント法制度化に向けた歩みの現状と今後の課題(1)
         インフォームド・コンセント論の浸透過程  
 第二節 インフォームド・コンセント法制度化に向けた歩みの現状と今後の課題(2)
         医療法改正付則により設置された検討会の報告とその後の展開  
 第三節 総括的インフォームド・コンセント論
 第四節 臨床試験における被験者のインフォームド・コンセント手続
 第五節 「認知症」患者におけるインフォームド・コンセント手続
 第六節 裁判外苦情手続におけるインフォームド・コンセント論の展開状況
 第七節 当面の法制度化に関する私の提案
 
第四章 情報に対する患者の権利とカルテ開示
 
 第一節 法制化までの歩みの概略
 第二節 カルテの取扱いはこれで良いのか(1)
         1996年第26回医事法学会総会研究大会「医療情報と患者の人権」への報告  
 第三節 カルテの取扱いはこれで良いのか(2)
         1996年第26回医事法学会総会研究大会シンポジウム「医療情報と患者の人権」における討論から  
 第四節 カルテの取扱いはこれで良いのか(3)
         患者は真実を知りたがっている(1992年日弁連アンケート調査結果より)  
 第五節 診療記録開示の意義と法制度の必要性
         厚生労働省2003年「診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会」における参考人陳述  
 第六節 個人情報保護法の制定と診療記録を適用下においた意義と今後の課題
         羽生正宗さんとの対談(2004年)  
 第七節 診療情報の提供・開示・共有が生み出すもの
         2008年「理学療法学会」における教育講演  
 第八節 不開示苦情調査事例が示したカルテ開示制度化の現状と新たな展開
 
第五章 安全な医療を受ける患者の権利
 
 第一節 「安全な医療を受ける権利」確立への歩みと展開過程
         安全な医療と事故防止のために〜共同の営みと患者の権利の視点から  
 第二節 医療事故防止の課題と医療従事者の役割(1)
         2003年日本医労連「安全・安心の医療実現に向けた医療労働者交流集会」における記念講演  
 第三節 医療事故防止の課題と医療従事者の役割(2)
         2003年日本医労連「安全・安心の医療実現に向けた医療労働者交流集会」における参加者との意見交換  
 第四節 患者の安全を確保するための医療政策の展開(1)
         歩み始めた患者安全政策  
 第五節 患者の安全を確保するための医療政策の展開(2)
         医療事故調査手続と第三者機関の役割  
 第六節 患者の安全を確保するための医療政策の展開(3)
         医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案をどのように評価するか  
 
第六章 精神医療・臓器移植・末期医療と患者の権利
 
 第一節 精神医療における患者の権利促進のために
         精神医療改善国連原則から10年  
 第二節 臓器移植と患者の権利(1)
         脳死・臓器移植と社会的合意  
 第三節 臓器移植と患者の権利(2)
         脳死臨調最終答申と患者の権利  
 第四節 臓器移植と患者の権利(3)
         今、なぜ、患者の権利か  
 第五節 補稿:臓器移植法  その後の展開  (久保井 摂)
 第六節 尊厳死と末期医療「延命治療」と患者の権利(1)
         東海大「安楽死」事件刑事判決について  
 第七節 尊厳死と末期医療「延命治療」と患者の権利(2)
         「延命治療」と患者の権利  
 
第八節 尊厳死と末期医療「延命治療」と患者の権利(3)
         「尊厳死法」制定運動と自己決定権  
 
第七章 ハンセン病問題の総括と患者の権利促進の課題
 
 第一節 らい予防法に対する「法曹の責任」を問う
 第二節 ハンセン病療養所在園者は訴える
 第三節 二度と同じ過ちを繰り返さないために
 第四節 終わりの始まり
 第五節 補稿:「らい予防法」違憲国家賠償訴訟について(八尋光秀)
 第六節 熊本地裁「ハンセン病判決」後の経緯と「患者の権利法制定」提案
 
第八章 患者の権利運動  次世代へのバトン  
 
 第一節 今こそ、患者の権利の法制化を
 第二節 患者の人生を支援する多くの医療専門家を
 
資料
 
  1 患者の諸権利を定める法律要綱案
  2 精神病者の保護及び精神保健ケア改善のための原則(抜粋)
  3 ヨーロッパにおける患者の権利の促進に関する宣言本文
  4 九州弁護士会連合会 九州・沖縄五国立療養所全在園者に対する調査報告書
  5 NPO法人患者の権利オンブズマン第九九一号苦情調査報告書
      精神医療に対する苦情事例  
  6 医療事故調査委員会報告書(A大学医学部附属病院 医療事故調査委員会)
  7 厚生労働省『診療情報の提供等に関する指針』
  8 NPO法人患者の権利オンブズマン「医療記録開示の法制化を求める意見書」
  9.1 NPO法人患者の権利オンブズマン「プライバシーポリシー(個人情報保護方針)」
  9.2 NPO法人患者の権利オンブズマンにおける「個人情報の保護と取扱いに関する規約」
  9.3 相談者から面談相談受付時に徴取している「同意書」
  9.4 ボランティアを委嘱する際に提出を求める「誓約書」
 10 B病院苦情調査報告書
 11 医療事故調査制度の創設に向けた基本的提言について
 12 NPO法人患者の権利オンブズマン第1101号苦情調査申立事件調査報告書
      産科医療における「安全な医療を受ける権利」に関わる苦情調査事例  
 13 NPO法人患者の権利オンブズマン第1102号苦情調査申立事件調査報告書
      緩和ケアにおける「尊厳の中で死を迎える権利」に関わる事例  
 14 厚生労働省「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」
 15 日弁連「臨死状態における延命措置の中止等に関する法律案要綱(案)」に関する意見書
 
 あとがき
 編集後記(池永早苗)

著者紹介

池永 満(いけなが みつる)
1970年 九州大学法学部(政治専攻)卒業
1977年 弁護士登録
1991年 患者の権利法をつくる会初代事務局長
1994年 九州弁護士会連合会・人権擁護に関する連絡協議会委員長
       (その後,常設の人権擁護委員会に発展的に改組され初代委員長)
1999年 NPO法人患者の権利オンブズマンを創立,理事長に就任
2004年 弁護士法人奔流を設立し,代表社員弁護士に就任
2004年から3年間 福岡大学法科大学院教授(担当講座「医療・福祉における患者(利用者)の人権」,
       「環境訴訟の実務」,「民事紛争処理手続論」,その他)
2009年度 福岡県弁護士会会長・九州弁護士会連合会副理事長・日本弁護士連合会常務理事
2010年度 福岡県弁護士会常議員会議長
2012年 弁護士法人奔流顧問弁護士・NPO法人患者の権利オンブズマン理事長・
       NPO法人九州アドボカシーセンター理事・日弁連法務研究財団法科大学院評価委員など
2012年12月 死去

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