ふるまいの創造ナミビア・へレロ人における植民地経験と美の諸相

著者名
香室結美
価格
定価 3,600 円 (税別)
ISBN
978-4-7985-0247-2
仕様
A5判 上製 238頁 C3039
発行年
2019年1月
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内容紹介

本書は、南部アフリカ・ナミビア共和国に暮らすヘレロの人びとの美的センスと衣服をめぐるふるまい、そして現代生活に適合したファッションとして今日もなお革新され続けるロングドレスの創造過程を描き、一見「伝統」とは無関係の奇妙なスタイルがなぜ人々に愛され、誇りや楽しみを与えているのかを明らかにしようとするものである。

19世紀末から20世紀初頭にかけてドイツ帝国の植民地支配を受けたナミビア共和国。20世紀初頭には、バンツー系牧畜民であるヘレロ族ら先住民族に対して、ナチス・ドイツのホロコーストに先立つ20世紀最初のジェノサイドといわれる虐殺が行われ、ヘレロは人口の8割を失った。しかし彼らは、ドイツからの解放後も「敵」であった筈のドイツ人入植者に由来する衣服を着用し続けてきた。特にヘレロの女性は足先までのスカートに、何枚も重ね履きするペチコート、しまったウエストにふくらんだ肩という西洋由来のドレスの型を継承しながらも、重要な家畜であるウシの角に似せたヘッドドレス(オシカイバ)や、ヘレロ社会に伝わるオーラル・ヒストリーを象徴する色をドレスに取り込み、「自分たちの衣服」を形作ってきた。集団としての「ヘレロ」、そしてヘレロ固有のドレスが入植者を始めとするさまざまな人々との接触によって成型され、洗練され続けている過程を描く。

「他者」と共にあることで形づくられる「自己」の姿とは? そして、ヘレロ・スタイルに見られる複数の「自己」のあり方とは?

『サプール』やヨシダナギの写真集などをはじめとして、アフリカの人びとのファッションに関心の集まっている今日、アフリカ人の知られざる美意識をカラー写真とともに伝える。

目次

 まえがき
 凡例
 
序 章 ヘレロの人々とファッション
 
第1章 本書の概要
 
 1 なぜロングドレスか?
 (1)日常に根ざしたドレス
 (2)植民地経験の表出
 (3)日常的相貌と歴史的相貌
 2 歴史と日常における想像力とスタイルの習得
 (1)発明、想像、創造
 (2)植民地における歴史的創造と衣服
 (3)日常における創造
 (4)ふるまいの技法
 3 調査方法と調査地概要
 (1)現地調査
 (2)ヘレロ、ンバンデル、ヒンバ
 4 各章の概要
 
第2章 衣服を着る主体 植民地的遭遇と「ヘレロ」の形成
 
 1 はじめに
 2 ドイツ植民地時代における「ヘレロ」の創造と破壊
 3 強く美しいハム系牧畜民としてのイメージ
 4 想像から政策へ
 5 おわりに
 
第3章 衣服と色 記念式典における象徴的相互関係
 
 1 はじめに
 2 オテュルパの活動と記念式典
 (1)記念式典の始まり
 (2)サミュエル・マハレロの二面性と植民地主義の遺産
 3 オテュルパの形成に関する議論
 (1)アイデンティティ・ポリティクス
 (2)身体と象徴
 (3)社会の理念型
 4 三色の旗とチーフたち
 (1)三つの旗隊
 (2)赤とマハレロ
 (3)白とゼラエウア
 (4)緑とングヴァウヴァ
 5 おわりに
 
第4章 ロングドレスのふるまい方 他者との接触と日々の上演
 
 1 はじめに
 2 ヘレロ文化としてのロングドレス
 3 ドイツ人入植者との接触と軍隊的ふるまい
 4 ウシとの接触、およびヘレロ女性同士の接触と美的ふるまい
 (1)家畜であるウシとの接触
 (2)個々のヘレロ女性間の接触
 5 ヒンバとの接触と現代的ふるまい
 6 おわりに
 
第5章 四つのファッションショー 媒介される複数の世界
 
 1 はじめに
 2 地方のモデリング・コンテスト 牧畜民的ふるまい
 3 首都のレジェンダリードレス・コンペティション 流行デザインの希求と革新
 4 元宗主国ドイツでのファッションショー 起源との再遭遇
 (1)ドイツ人のドレスとの再遭遇
 (2)「サプール」に見るコンゴとフランスの遭遇の事例
 5 首都の国際ファッションショー 国家における「ローカル」ファッション
 6 おわりに
 
終 章 共にある未来へ
 
 あとがき
 年表
 注
 参考文献
 索引

著者紹介

香室結美(かむろ ゆみ)
熊本大学文書館特任助教。専門は文化人類学。
2007~08年、ドイツ・ボン大学交換留学。
2014年熊本大学大学院社会文化科学研究科博士後期課程単位取得退学。
博士(学術、熊本大学)。
2016~2017年度、水俣市立水俣病資料館学芸員(熊本大学・特別事業教員)。
2018年度より現職。

学術図書刊行助成

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