ケインズ経済学の基礎現代マクロ経済学の視点から

著者名
田中淳平
価格
定価 4,600 円 (税別)
ISBN
978-4-7985-0038-6
仕様
A5判 上製 320頁 C3033
発行年
2010年12月
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内容紹介

完全競争的なワルラスモデルを起点に据えて理論の体系化を図る現代の主流派マクロ経済学に対抗して,本書では固定価格的な非ワルラスモデルを起点に据えたケインズ経済学の動学的一般均衡論的基礎付けを展開することで,不況やデフレといった短期のマクロ経済現象を説得的に分析するための新たな理論体系の構築を試みている。また,議論の展開に際して主流派モデルとの比較検討を重視しつつ単純なケースから順に検討を進めている点で,本書は現代的手法を用いたケインズ経済学の再構築に興味を持つ研究者向けの研究書としてだけでなく,主流派とケインズ派の対立の構図に留意しながら上級マクロ経済学を学びたいと考える学生向けの教科書としても利用可能な内容となっている。

目次

 はしがき
 
第1章 現代マクロ経済学におけるケインズ経済学の位置付け
 1.1 新古典派モデルとケインズモデル:基本構造の比較
  1.1.1 新古典派モデル
  1.1.2 ケインズモデル
 1.2 新古典派によるケインズ経済学批判
  1.2.1 新古典派総合のパラダイム
  1.2.2 「新しい古典派」の興隆
 1.3 ケインズ経済学のミクロ的基礎付け1:非ワルラスモデル
  1.3.1 競売人の不在と再決定仮説
  1.3.2 非ワルラスモデルの基本構造
  1.3.3 非ワルラスモデルに対する評価
 1.4 ケインズ経済学のミクロ的基礎付け2:小野モデル
  1.4.1 小野モデルの基本構造
  1.4.2 小野モデルに対する評価
 1.5 ケインズ経済学のミクロ的基礎付け3:ニューケインジアンモデル
  1.5.1 BKモデルの基本構造
  1.5.2 価格硬直性を導入したBKモデル
  1.5.3 ニューケインジアンモデルに対する評価
 1.6 現代マクロ経済学の方法論
 1.7 本書のアプローチ
 付録A ベビーシッター組合の寓話
 付録B 最適化問題(1.27)の解法
 付録C 一部の企業のみが最適価格を設定できるBKモデル
 
第2章 静学的非ワルラスモデルの展開
 2.1 独占的競争型の非ワルラスモデル
 2.2 基本モデルの2階級モデルへの拡張
  2.2.1 カレツキアンモデル
  2.2.2 2階級・独占的競争型の非ワルラスモデル
 2.3 名目賃金の内生化
  2.3.1 相対賃金仮説
  2.3.2 労使交渉仮説
 付録 大瀧モデルの検討
 
第3章 非ワルラスモデルの動学的展開に向けての予備的考察
 3.1 貯蓄と投資の関係
  3.1.1 2期間ワルラスモデル
  3.1.2 2期間非ワルラスモデル
 3.2 資本蓄積の効率性と雇用の関係について
  3.2.1 過剰ストック調整の厚生的含意:新古典派モデルの場合
  3.2.2 過剰ストック調整の厚生的含意:ケインズモデルの場合
 3.3 期待の取り扱いを巡って
  3.3.1 完全予見の想定とその利点
  3.3.2 完全予見の想定の問題点と貨幣経済のジレンマ
 付録 新古典派生産関数の定義とその性質
 
第4章 動学的経済における財政政策
 4.1 動学的経済における財政政策:ワルラスモデルの場合
  4.1.1 基本モデルの構造
  4.1.2 政府部門の導入
  4.1.3 世代重複的構造の導入
 4.2 動学的経済における財政政策:非ワルラスモデルの場合
  4.2.1 基本モデルの構造
  4.2.2 政府部門の導入
  4.2.3 世代重複的構造の導入
  4.2.4 まとめ
 付録 資本蓄積を考慮した非ワルラス型の基本モデル
 
第5章 資産価格バブル,過剰投資,および景気循環の経済分析
 5.1 ラムゼイモデルにおける資産価格バブルと過剰資本蓄積
  5.1.1 合理的バブルの理論
  5.1.2 ラムゼイモデルの基本構造
  5.1.3 ラムゼイモデルにおけるバブルと資本蓄積の関係
 5.2 一般化されたラムゼイモデルにおける資産価格バブルと過剰資本蓄積
  5.2.1 分権的経済の定式化
  5.2.2 最適資源配分条件
  5.2.3 分権的経済の動学分析
 5.3 ピグー・サイクル
 5.4 景気循環に関するケインズの洞察:『一般理論』の第22章
 5.5 古典的なケインズ的景気循環論
  5.5.1 ハロッド=ドーマーの不安定性原理
  5.5.2 サミュエルソン=ヒックスの乗数加速度モデルとグッドウィンの非線形加速度モデル
  5.5.3 カルドアのS字型投資関数に基づく景気循環モデル
  5.5.4 要約
 5.6 ケインズの景気循環論:新しい定式化
  5.6.1 企業の最適投資決定
  5.6.2 マクロ経済の一時的均衡
  5.6.3 「短期」のマクロ動学
  5.6.4 「中期」の定常状態からの乖離としての景気循環
  5.6.5 実質賃金の伸縮性と「長期」の定常状態の安定性
  5.6.6 結論的要約
 
第6章 国債負担の経済分析
 6.1 標準的な国債発行の次世代負担論
 6.2 モディリアーニ=ダイアモンドの国債負担論
  6.2.1 世代重複モデルの基本構造
  6.2.2 国債発行が資本蓄積や家計の効用に与える影響
 6.3 政府のポンジーゲームと財政の持続可能性
 6.4 子世代への利他性と国債負担
  6.4.1 家計の利他性を考慮した基本モデル
  6.4.2 利他性を考慮した場合の国債負担
 6.5 不完全雇用下における国債負担:岩本・小野論争
 6.6 不完全雇用下における国債発行の短期的効果
  6.6.1 ベンチマークモデル
  6.6.2 財政政策の経済厚生効果
  6.6.3 遺産動機を考慮した場合
 6.7 不完全雇用下における国債発行の長期的効果
  6.7.1 基本モデルの構造
  6.7.2 国債残高の変化が経済に与える影響
  6.7.3 期待が完全予見ではない場合
  6.7.4 要約
 付録 非ワルラスモデルにおける若年から老年への所得移転の効果
 
参考文献
索引

著者紹介

田中淳平(たなか じゅんぺい)
北九州市立大学経済学部准教授。
1974年生まれ。
2003年神戸大学大学院経済学研究科修了。博士(経済学)。
専攻はマクロ経済学。

学術図書刊行助成

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