内容紹介
その誕生から一世紀の歴史を経て、自動車産業は過去に例を見ない劇的な転換期を迎えている。自動車の所有から移動サービスの利用へというユーザーの自動車との関わり方の転換、自動運転の実用化や電気自動車の普及を目指した新規事業者の参入という競争環境の激変、深刻化する大気汚染や普及台数の増加、試験時と実走行時の排気ガス清浄度の乖離に起因する環境規制の強化とそれを背景にした新素材の採用など、自動車産業の様々な側面において急激な変化が起きている。
本書はこれら自動車産業の一大転換の嚆矢となった、新車開発におけるモジュール化の導入とその部品産業への影響を中心に扱う第1編と、電動化、中国市場、新素材、自動運転といった最新のトピックスを扱う第2編からなり、いずれも多くの完成車メーカーや部品メーカーへの取材を通して得られた知見や各社提供の資料に基づいた学際的研究の成果である。今後の自動車産業研究のマイルストーンとなるのみならず、自動車や自動車産業、産業構造の激変に興味を持つ一般読者にとっても知的好奇心を大いに刺激するものとなろう。