戦後日本の産業立地政策開発思想の変遷と政策決定のメカニズム

著者名
根岸裕孝
価格
定価 5,200 円 (税別)
ISBN
978-4-7985-0241-0
仕様
A5判 上製 256頁 C3033
発行年
2018年9月
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内容紹介

産業立地政策とは「産業 (企業) の望ましい立地を目指す政策」であるが、その「望ましさ」は政策に関わるプレイヤーによって異なり、「効率性」と「公正性」という二つの異なる論理を巡るプレイヤー間の対立や妥協のなかで揺れ動いてきた。

主要なプレイヤーの一つである通産省は、1960年代末まで経済成長優先の「効率性」に基づく政策を主張したが、産業立地政策の理念法ともいうべき「工業再配置促進法」の制定 (1972年) を契機に「公正性」つまり国土の均衡ある発展を追求するようになった。工業再配置政策は、田中角栄の政策ビジョン『日本列島改造論』のサブシステムであり、大都市圏から地方圏への工場移転政策を通じて、産業を所管する官庁である通産省が国土政策に乗り出す契機となった。また「テクノポリス法」(1983年) は、地方圏の先端技術産業集積と産学住のまちづくりとして世界的にも注目を集めたが、他省庁との関係からその理念を十分に発揮できたとは言い難かった。

1990年代後半になると、グローバリゼーションの進展に伴い産業立地政策は、その理念を「公正性」から「効率性」へと大きく転換し、国土の均衡ある発展を目指した産業立地関連諸法の多くが廃止された。

本書の目的は、戦後日本の産業立地政策のなかで特に重要な新産業都市・工業再配置政策・テクノポリスの理念および成果そして政策転換について解明することである。40年間というタイムスパンを通じた産業立地政策の理念の揺らぎを、政治家や中央省庁、地方自治体、経済界、学界やマスコミなどの多くのプレイヤー間の対立と妥協を通じた政策の形成と廃止のプロセスから明らかにする。

目次

 はしがき
 図・表一覧
 法律名・法律番号と略称について
 
第1章 問題の所在
 
第2章 産業立地政策に関する先行研究と本研究の視点
 
 第1節 はじめに
 第2節 産業立地政策の社会的意義に関する諸説
 第3節 「産業立地政策」を巡るプレイヤー間の対立と協調
 第4節 システムとしての開発主義における産業立地政策
 第5節 小 括  産業立地政策とプレイヤーおよび経済思想  
 
第3章 基礎素材型産業の基盤整備と立地政策  成長政策との連動と産業基盤供給  
 
 第1節 はじめに
 第2節 基礎素材型産業の立地を巡るプレイヤー間の対立・協調と政策形成
 第3節 新産業都市・工業整備特別地域の評価  産業基盤整備を軸に  
 第4節 小 括  産業基盤供給偏重の立地政策の背景とその実証  
 
第4章 工業再配置促進法の制定とその廃止  福祉政策としての産業立地政策の意義と限界  
 
 第1節 はじめに
 第2節 工業再配置促進法を巡る諸説とその限界
 第3節 工業再配置促進法の成立・廃止を巡るプレイヤー間の対立・協調
 第4節 工業再配置促進法の成果と同法廃止による大都市工業集積の変貌
 第5節 小 括  工業再配置政策の意義と限界  
 
第5章 テクノポリス法と地方圏工業振興  地方自治体主導の産業立地政策の意義と限界  
 
 第1節 はじめに
 第2節 先行研究の意義と限界
 第3節 テクノポリス政策の形成を巡るプレイヤー間の関係性
 第4節 テクノポリス政策に関する定性的・定量的評価
 第5節 小 括  テクノポリス政策が目指した理想と成果および限界  
 
第6章 九州経済の構造変化と産業立地政策  産炭地域振興と自動車産業の誘致  
 
 第1節 はじめに
 第2節 産炭地域振興と産業立地政策
 第3節 北部九州における自動車産業の誘致・育成と地方自治体
 第4節 小 括  自動車産業の誘致を通じた北部九州地域経済振興の成果と限界  
 
第7章 結びに  結論と今後の課題  
 
 あとがき
 参考文献
 索 引

著者紹介

根岸裕孝(ねぎし ひろたか)
 
1992年、九州大学大学院経済学研究科修士課程経済工学専攻を修了し、(財)日本立地センター
入所。研究員として産業立地政策・地域産業政策に関する調査研究に従事する。2001年、宮崎
大学教育文化学部講師(経済政策)。同助教授・准教授を経て2016年、同地域資源創成学部
(地域経営論)准教授。2018年、同教授となる。博士(経済学、九州大学)。
 
主な著書
 (単著)
『中小企業と地域づくり  社会経済構造転換のなかで  』鉱脈社、2014年
 (分担執筆)
『テクノポリス・頭脳立地構想推進の歩み』日本立地センター、1999年
『半導体クラスターへのシナリオ  シリコンアイランド九州の過去と未来』西日本新聞社、2001年
『日本のIC産業』ミネルヴァ書房、2003年
『現代の金融と地域経済』新評論、2003
『経済地理学の成果と課題 VI』大明堂、2003年
『地域構造論の軌跡と展望』ミネルヴァ書房、2005年
『まちづくりの伝道師達  宮原発!! 小学生からはじめるまちづくり  』第一法規、2005年
『市民参加のまちづくりコミュニティビジネス編  地域の自立と持続可能性  』創成社、2007年
『日本の地誌  九 州  』朝倉書店、2012年
『福島 農からの日本再生 内発的地域づくりの展開』農山漁村文化協会、2014年
『日本経済と地域構造』原書房、2014年
『グローカル時代の地域研究』日本経済評論社、2017年
『まちづくりとしての地域包括ケアシステム  持続可能な地域共生社会をめざして』東京大学出版会、2017年
『キーワードで読む経済地理学』原書房、2018年

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