目次
はじめに
初出一覧
凡 例
序 章 保育実践へのエコロジカル・アプローチに向けて
1.本研究の問題意識
2.本研究の構成
第Ⅰ部 生きられた環境の保育実践研究の必要性
第1章 環境概念についての理論的諸問題
「生きられた環境」の記述へ向けて
1.ダーウィンの進化論 世界観の変容と有機体─環境論の誕生
2.ユクスキュルの環境論 動物が生きる環境への問い
3.シェーラーの人間論 人間の世界の固有性への問い
4.デューイの経験論 有機体─環境のトランザクションとしての経験と成長
5.教育的状況において生きられた環境を記述する方法
第2章 保育環境研究とその課題
保育環境研究のメタ理論の必要性
1.保育環境研究とその課題
2.体験の保育学とその課題
第3章 現象学的保育研究の功績と課題
他なるものの意味作用の背景化
1.フッサールの現象学的方法
2.現象学的保育研究における理論的課題
3.保育環境の実在論に基づく生きられた経験の科学へ
第Ⅱ部 エコロジカル・アプローチに基づく生きられた環境の保育実践研究論
第4章 記述される経験の側面性と記述の相補性
プラグマティズムを手がかりにした保育実践研究論
1.経験を記述する保育実践研究─表情的記述と機能的記述
2.記述される経験の側面性
3.プラグマティズムから保育実践研究を捉えなおす
4.保育実践研究の地平 経験の多様性の尊重へ向けて
第5章 環境の「意味」と「価値」の記述と経験の成長
エドワード・リードの生態学的経験科学
1.エコロジカルな「意味」と「価値」を含んだ経験科学の構築
2.多元的リアリティをもつ経験概念の再興
3.経験の成長へ向けた探求 記述のパラドクスを超えて
4.子どもにとっての「意味」と「価値」を探求すること
第6章 「そこにあるもの」のリアリティの探求
「自然な実在論」から捉えなおす保育環境のアフォーダンス
1.保育者は子どもと「共通のリアリティ」をもつことができるのか
2.パトナムの「自然な実在論」
3.アフォーダンスの記述を通した環境のリアリティの探求
4.保育における「そこにあるもの」の価値
第Ⅲ部 生きられた環境の記述的保育実践研究
第7章 人的環境:「みんなにとってのヒロシ」との出会い
1.主体性のジレンマとその克服の試み
2.人間─環境のトランザクションの記述から教育的関わりを問いなおす
3.保育者─環境─子どもという系の記述
4. 「環境としての子ども」の記述
5. 「みんなにとってのヒロシ」のリアリティと研究の課題
第8章 物的環境:「贈与される砂」との出会い
1.環境を通した保育と環境との出会いの創発性
2. 「ありふれたもの」の充たされざる意味
3.潜在する環境の「意味」と「価値」との出会い
4.保育環境に潜在する「意味」と「価値」に開かれること
第9章 自然や社会の事象:「気づかれていない命」との出会い
1.保育者と子どもはどのように自然と出会うか
2.種との出会い:「くりかえす命」のリアリティ
3.野菜との出会い:「食べられる命」のリアリティ
4.馬との出会い:「表現する命」のリアリティ
5. 「気づかれていない命」と自然体験
6.エコロジカル・アプローチの射程と限界
終 章 生活のなかで日常を超えるエコロジカル・アプローチ
保育における「出会われていない環境」の探求と自己変容
1.日常を超えることの教育的意味
2.環境との出会いの記述がメディアとなるとき
3. 「出会わせようとする」ことの陥穽
4.保育環境への姿勢
5.私自身にとっての保育環境のリアリティ
文献一覧
あとがき
索 引