子ども社会学の現在 いじめ・問題行動・育児不安の構造

著者名
住田正樹
価格
定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0135-2
仕様
A5判 上製 328頁 C3037
発行年
2014年9月
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内容紹介

社会の急激な変化に伴って子どもの問題行動も多様化し、複雑化し、また大人の理解を越えるような問題行動も見られるようになった。本書は、「いじめ」をはじめとする子どもの問題行動と、その対応策としての集団活動の有効性を実証し、また子どもの発達にとっての居場所の存在の重要性を明らかにするとともに、親の問題としては育児不安を取り上げて克明に分析し、現代の混沌とした社会において子どもおよび子どもに関わる諸問題を社会学的方法によって研究していくことの意義と課題について考察したものである。

目次

 
 第1部 子どもの発達と居場所
 
第1章 子どもの居場所と子どもの発達
 
 1 子どもの「居場所」問題の社会的背景
 2 子どもの「居場所」の形成条件
 3 子どもの「居場所」と子どもの発達
  (1) 子どもの「居場所」と子どもの発達
  (2) 子どもの「居場所」の類型
 4 現代社会と子どもの「居場所」
 
第2章 子どもの居場所と臨床教育社会学
 
 はじめに
 1 教育社会学と臨床教育社会学
  (1) 科学性と実践性
  (2) 臨床研究と応用研究
  (3) 研究活動と実践活動
 2 臨床教育社会学の対象と方法
  (1) 臨床教育社会学の対象
  (2) 臨床教育社会学の方法
 3 子どもの居場所の臨床教育社会学
  (1) 子どもの問題行動と子どもの居場所
  (2) 子どもの居場所と臨床教育社会学
 
 第2部 子どもの問題行動と集団活動
 
第3章 「いじめ」の構図と集団活動
 
 はじめに
 1 「いじめ」の定義の再検討
 2 「いじめ」と集団的遊び
  (1) 集団的遊びとしての「いじめ」
  (2)「いじめ」の被害者の子ども
 3 「いじめ」の定義と条件
 4 「いじめ」のタイプとその特性
  (1)「いじめ」のタイプ
  (2)「いじめ」のタイプの特性
 5 現代の「いじめ」
 6 「いじめ」と集団活動
  (1)「いじめ」の即時的対応
  (2)「いじめ」の漸次的対応  「いじめ」の対応としての集団活動  
 
第4章 生徒の非行行動と教師集団の指導性  F県の事例調査から  
 
 1 問題の設定
 2 分析の手順と枠組み
 3 調査結果の分析
  (1) 中学生の非行行動の実態
  (2) 生徒の非行行動に対する教師集団の指導的活動とその効果
  (3) 学校の非行対策と関係機関との協力
  (4) 教師集団のモラール
 4 まとめと今後の課題
 
第5章 子どもの集団活動と学校・地域の連携  コミュニティの学校支援  
 
 1 子どもの生活変貌
  (1) 今どきの子どもたち
  (2) 子ども観の変容
 2 子どもの私生活化  私生活優先の時代  
  (1) 子どもの私生活領域の拡大
  (2) 私生活化への傾斜
 3 学校教育と子どもの集団生活
 4 子どもの集団活動
  (1) 学校の集団指導
  (2) 地域の支援
 
 第3部 母親の育児不安と育児サークル
 
第6章 父親の育児態度と母親の育児不安
 
 1 問題の所在
  (1) 父親の育児参加
  (2) 母親の育児不安と父親の育児参加
 2 分析の枠組み
 3 調査方法
 4 調査結果の分析
  (1) 夫婦関係の類型化
  (2) 年齢と就業形態
  (3) 父親の育児行為に対する期待と評価
  (4) 育児の担当と夫婦間のコミュニケーション
  (5) 母親の育児観と父親の育児参加
  (6) 母親の育児不安と父親の育児態度に対する満足度
 5 要約と結論
 
第7章 母親の育児不安と育児サークル
 
 1 問題の所在
 2 分析の枠組み
  (1) 育児サークルへの参加タイプ
  (2) 育児不安のタイプ
 3 調査の概要
 4 調査結果の分析
  (1) 対象者の属性と人間関係
  (2) 育児サークル活動の効果
  (3) 育児サークル活動と育児不安
 5 要約と結論
 
  第4部 子ども社会学の現在
 
第8章 現代日本の子ども観
 
 1 問題とアプローチ
 2 調査結果の分析
  (1) 信念・価値的体系の側面
  (2) 認知的体系の構造
  (3) 心象的体系の構造
 3 要約と結論
 
第9章 子ども社会学の現状と課題
 
 1 子どもの社会参加
  (1) 社会的動物としての人間
  (2) 社会の補充要員
 2 子どもに対する社会学の無関心
     なぜ子どもは社会学の対象にならなかったか  
  (1) 社会の非成員と研究対象からの排除
  (2) 子ども調査の困難
 3 子どもに対する社会学的関心
  (1) 子どもへの関心の高まり
  (2) 子ども社会学の出現
 4 子ども社会学の意義と対象
  (1) 子ども社会学の意義
  (2) 子ども社会学の対象
 5 子ども社会学の課題
     子どもの社会化と子どもの仲間集団を中心に  
  (1) 子どもの社会化研究の課題
  (2) 子どもの仲間集団研究の課題
 
補 論 社会化研究と仲間集団研究の課題
 
 1 社会化研究の課題
  (1) 社会化の概念
  (2) 社会化研究の概観
  (3) 社会化の過程
  (4) 社会化のメカニズムと内容
  (5) 現代の社会化の特徴
  (6) 社会化研究の課題
 2 子どもの仲間集団研究の課題
  (1) 子どもの社会化と仲間集団  仲間集団研究の意義  
  (2) 子どもの仲間集団の現実
  (3) 子どもの仲間集団研究の現状と課題
 
 あとがき
 索  引

著者紹介

住田正樹(すみだ まさき)
1944年 兵庫県に生まれる
    慶應義塾大学文学部卒業(社会学専攻)
    東京大学大学院教育学研究科博士課程退学(教育社会学専攻)
    香川大学助手,講師,助教授を経て
1982年 九州大学教育学部助教授
1991年 九州大学教育学部教授
1996~1998年 九州大学教育学部長・九州大学大学院教育学研究科長
2000年 九州大学大学院人間環境学研究院教授
現 在 放送大学教授・九州大学名誉教授・博士(教育学)
専 攻 発達社会学・教育社会学

〈主要著書・訳書〉
著書:
『子どもの仲間集団と地域社会』(九州大学出版会 1985),『子どもの仲間集団の研究』(九州大学出版会 1995[第2版 2000]),『地域社会と教育』(九州大学出版会 2001)
編著書:
『現代教育学の課題』(共編著 北樹出版 1991),『現代教育学を学ぶ』(共編著 北樹出版 1996),『人間の発達と社会』(共編著 福村出版 1999),『子どもの発達と現代社会』(共編著 北樹出版 2002),『子どもたちの「居場所」と対人的世界の現在』(共編著 九州大学出版会 2003),『教育文化論』(共編著 放送大学教育振興会 2005),『生徒指導』(共編著 放送大学教育振興会 2006),『子どもへの現代的視点』(共編著 北樹出版 2006),『人間発達論』(共編著 放送大学教育振興会 2009),『子どもと地域社会』(編著 学文社 2010),『子どもと家族』(編著 学文社 2010),『子どもの発達社会学』(共編著 北樹出版 2011),『児童・生徒指導の理論と実践』(共編著 放送大学教育振興会 2011),『家庭教育論』(編著 放送大学教育振興会 2012)
訳書:
教育社会学』(共編訳 九州大学出版会 2004),『リトルリーグの社会学』(監訳 九州大学出版会 2009)

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