20世紀ロシア史と日露関係の展望 議論と研究の最前線

著者名
松井康浩 編
価格
定価 3,740円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0012-6
仕様
A5判 並製 228頁 C3031
発行年
2010年3月
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内容紹介

本書は,21世紀になり改めて注目を集めるロシアを様々な観点から20世紀の歴史の中で捉えなおすとともに,世界的なロシア史研究の潮流を提示し,あわせて膠着が続く日露関係からの脱却の展望を探るものである。「超大国」ロシア理解のための議論の最前線。

目次

序論  松井康浩
 第1節 ロシアの現状と歴史研究の可能性
 第2節 ソ連崩壊後二〇年のロシア・ソヴィエト史研究
 第3節 本書の構成
 
 第1部 二十世紀ロシアの知と知識人
 
第1章 二十世紀初頭ロシア思想の新たな見かた  佐藤正則
       知的転換と知識人の間の論争をめぐって  
 はじめに
 第1節 二十世紀初頭ロシアにおける知的転換と知識人の間の論争
 第2節 <観念論・宗教哲学者>の場合 その1:ベルジャーエフ
 第3節 <観念論・宗教哲学者>の場合 その2:ブルガーコフ
 第4節 マルクス主義者の場合:ボグダーノフ、ルナチャルスキー、バザーロフ
 第5節 <観念論・宗教哲学者>とマルクス主義者との哲学論争に対する新たな見かた
 おわりに
 
第2章 二十世紀ロシア知識人のライフストーリー研究の可能性  松井康浩
       歴史家の青年期の日記を分析する試み  
 はじめに
 第1節 オシャーニナのケース
 第2節 マニコフのケース
 おわりに  ライフストーリー研究のさらなる可能性に向けて  
 
 第2部 ソヴィエト体制下の国家と社会
 
第3章 権力と人民との「対話」  浅岡善治
       初期ソヴィエト政権下における民衆の投書  
 はじめに
 第1節 「対話」の形成
 第2節 「対話」の成果投書はいかに活用されたか
 おわりに  「対話」の行方  
 
第4章 ソ連における検閲  寺山恭輔
 はじめに
 第1節 ブリュムとガリャーエヴァの研究
 第2節 検閲機関グラヴリトの構造、スタッフ
 第3節 検閲の実際、掲載禁止事項
 第4節 出版社、図書館、古書店、外国書籍、その他活字以外の分野に対する検閲
 第5節 検閲への抵抗とグラヴリトの崩壊
 おわりに  検閲研究の可能性  
 
 第3部 近現代ロシアの経済
 
第5章 ロシアの経済発展  佐藤芳行
       伝統的社会、資本主義および計画経済  
 はじめに  問題の設定  
 第1節 開発途上地域としてのロシア
 第2節 ソ連体制の成立
 おわりに
 
第6章 ソ連経済史研究の新しい流れ  上垣 彰
 はじめに
 第1節 アルヒーフ史料全面公開後の経済史研究:ポール・グレゴリー
 第2節 問題別研究状況
 第3節 ソ連経済史と現代世界経済
 おわりに
 
 第4部 日露関係の過去・現在・未来
 
第7章 日露友好の必須条件  バールィシェフ、エドワルド
       二十世紀初頭の両国間関係を事例にして  
 はじめに
 第1節 日露関係における地理的な非対称性  「恐露病」の源泉  
 第2節 日露関係における文明的な疎外性  「西洋」との関わり合い  
 第3節 第一次世界大戦期における日露関係の緊密化とその裏面
 おわりに  「例外的な友好」の時代の教訓と日露の将来  
 
第8章 「4でも0でも、2でもなく」再論  岩下明裕
       日露の今とこれから  
 はじめに  「北方領土問題」と日露関係の転換点  
 第1節 北特法改正をめぐり、はっきりしたこと
 第2節 日露関係の現状と国際関係におけるシナリオ
 おわりに
 
 あとがき  松井康浩

著者紹介

佐藤正則(さとう まさのり) 第1章
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了
九州大学大学院言語文化研究院・准教授
主要研究業績:
『ボリシェヴィズムと<新しい人間>  20世紀ロシアの宇宙進化論  』水声社(2000年)
ボグダーノフ『信仰と科学』(翻訳)未来社(2003年)

松井康浩(まつい やすひろ) 序論・第2章・あとがき
九州大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学
九州大学大学院比較社会文化研究院・教授
主要研究業績:
『グローバル秩序という視点  規範・歴史・地域  』(編著)法律文化社(2010年)
"Stalinist Public or Communitarian Project? Housing Organisations and Self-Managed Canteens in Moscow's Frunze Raion, " Europe-Asia Studies, Vol. 60, No. 7 (2008)

浅岡善治(あさおか ぜんじ) 第3章
東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了
福島大学人文社会学群人間発達文化学類・准教授
主要研究業績:
「ネップ期の農村壁新聞活動  地方末端における『出版の自由』の実験  」奥田央編『20世紀ロシア農民史』社会評論社(2006年)所収
Крестьянская печать и селькоровское движение в период НЭПа // ХХ век и сельская Россия. Под редакцией Хироси Окуда (CIRJE Research Report Series CIRJE-R-2). Токио. 2005

寺山恭輔(てらやま きょうすけ) 第4章
京都大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得認定退学
東北大学東北アジア研究センター・准教授
主要研究業績:
「1930年代ソ連の対モンゴル政策」『東北アジア研究センター叢書』第32号(2009年)
「ロシア史料に見る18~19世紀の日露関係」第1集~第5集『東北アジア研究センター叢書』(2004~2010年)

佐藤芳行(さとう よしゆき) 第5章
東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
新潟大学経済学部・大学院現代社会文化研究科・教授
主要研究業績:
『帝政ロシアの農業問題土地不足・村落共同体・農村工業』未来社(2000年)
Agricultural Involution in Late Imperial Russia, Niigata University Scholars Series, Vol.VI (2005)

上垣 彰(うえがき あきら) 第6章
東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
西南学院大学経済学部・教授
主要研究業績:
『ルーマニア経済体制の研究』東京大学出版会(1995年)
『経済グローバリゼーション下のロシア』日本評論社(2005年)

バールィシェフ,エドワルド(Baryshev, Eduard Anatolievich) 第7章
九州大学大学院比較社会文化学府博士課程修了
九州大学大学院比較社会文化研究院・日本学術振興会・外国人特別研究員
主要研究業績:
『日露同盟の時代 1914~1917年  「例外的な友好」の真相  』花書院(2007年)
「ロシア革命とシベリア出兵構想の形成  本野一郎の外交政策と米国  」『ロシア史研究』第84号(2009年)

岩下明裕(いわした あきひろ) 第8章
九州大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学
北海道大学スラブ研究センター・教授
主要研究業績:
『日本の国境  いかにこの「呪縛」を解くか  』(編著)北海道大学出版会(2010年)
『国境・誰がこの線を引いたのか  日本とユーラシア  』(編著)北海道大学出版会(2006年)

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