コミュニケーションと共同体

シリーズ名
九州大学文学部人文学入門3
著者名
光藤宏行 編
価格
定価 2,200円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0077-5
仕様
A5判 並製 214頁 C1336
発行年
2012年3月
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内容紹介

共同体が形作られるときには,人のあいだのやりとり,つまりコミュニケーションがなされる。コミュニケーションには様々な形態があり,文書に残すことができるような文字を使う言語によるものに加え,人が面と向かい合って話し合う時にはその人に関する見た目の情報や表情などが加わる。本書では,共同体とコミュニケーションの成立や維持,消滅について,人文学の視点から考察する。

目次

人文学  人をつなぐ,文字でつなぐ  ・・・・・編者 光藤宏行
 
     第I部 言語的視点
 
1 コミュニケーションの可能性について・・・・・菊地惠善
   はじめに
   1 コミュニケーションの成立条件
   2 言語と意味
   3 行為の意味
   おわりに
 
2 他者の発言にまつわる問題意識:哲学の観点から・・・・・吉原雅子
   はじめに
   1 なぜパズルなのか
   2 真なる命題を導く諸規則
   3 規則の自明性を疑う
   4 何を問題にしているのか?
   おわりに
 
3 他者の発言にまつわる問題意識:言語学の観点から・・・・・上山あゆみ
   はじめに
   1 「問題」を引き起こした状況の提示
   2 直接話法と間接話法
   3 引用の接続助詞ト
   4 混合話法(blended discourse)
   5 格助詞の違いの問題
   おわりに
 
4 コミュケーションと配慮表現  日本語史の観点から  ・・・・・青木博史
   はじめに
   1 記述の枠組み
   2 「命令・依頼」における配慮表現
   3 「断り」における配慮表現
   おわりに
 
5 コミュニケーションの道具としての言葉  「発話の繰り返し」と文法現象  ・・・・・西岡宣明
   はじめに
   1 英語の疑問文・否定文
   2 発話の繰り返し
   おわりに
 
     第II部 非言語的視点
 
6 音楽的・聴覚的思考に基づく虚構的コミュニケーション・・・・・東口 豊
   はじめに
   1 言語不全と孤独な自己
   2 理性的・視覚的思考の限界
   3 聴覚的知覚の特性
   4 音楽的・聴覚的思考の直接性と音楽言語の内面性
   おわりに
 
7 視線コミュニケーションの基盤・・・・・三浦佳世
   はじめに
   1 視線と進化
   2 目玉模様の効果
   3 視線による注意の補足
   4 視線方向の判断の正確さ
   5 視線の解釈と感情喚起
   6 視線と支配
   7 視線コミュニケーションの障害
   おわりに
 
8 表情を利用したコミュニケーション能力の測定・・・・・中村知靖
   はじめに
   1 表情認知能力テスト
   2 項目反応理論とは
   3 集団式表情認知能力テスト
   4 表情刺激とテストの実施
   5 項目反応理論による分析
   6 問題点
   おわりに
 
9 共同体の見かけ・・・・・光藤宏行
   はじめに
   1 共同体らしさと群化の要因
   2 考察
   おわりに
 
     第III部 歴史的・現代的視点
 
10 中・近世ドイツ都市と共同体・・・・・神寶秀夫
   はじめに
   1 中世都市
   2 近世都市
   おわりに
 
11 モンゴル時代多元社会におけるコミュニケーション・・・・・舩田善之
     言語接触からみたモンゴル語と漢語の翻訳文体・口頭語  
   はじめに
   1 モンゴル時代東ユーラシアの多元社会を伝える史資料
   2 モンゴル時代の漢語(中国語)会話教本
   3 モンゴル時代の公文書における翻訳文体
   4 『老乞大』の言語とモンゴル語直訳体の関係
   5 『老乞大』はモンゴル語からの翻訳文献か
   6 モンゴル語直訳体の漢語口頭語への影響
   おわりに
 
12 過疎高齢社会における社会参加活動・・・・・高野和良
   はじめに
   1 過疎化の経過と現状
   2 高齢化の進行と世帯の小規模化の地域性
   3 世帯の小規模化の進行
   4 世帯の小規模化と高齢者の社会参加活動
   5 地域社会と地域集団,組織
   6 過疎高齢者の地域集団,組織への参加状況
   おわりに
 
13 少子・高齢化時代の社会学・・・・・安立清史
   はじめに  現代社会の基本構図  
   1 問題の所在  2つの矛盾するベクトルの狭間で  
   2 問題解決の主体  政府と市場  
   3 第3の道  非営利組織・非営利セクター  
   4 日本の社会実験  介護保険とNPO  
   5 日本の課題  ガラパゴス化の出現と問題  
   おわりに  ガラパゴス化を越えて  
 
14 マスメディアなきマスコミュニケーション・・・・・鈴木 譲
   はじめに  マスメディアとマスコミュニケーション  
   1 従来のマスコミュニケーション理論
   2 マスメディアと政治権力
   3 インターネット
   4 中東民主化運動
   おわりに  「マスメディアなきマスコミュニケーション」の行方  

著者紹介

執筆者一覧(所属は九州大学文学部,*は編者)
 
菊地惠善(きくち えいよし) 哲学・哲学史研究室,教授
 
吉原雅子(よしはら まさこ) 倫理学研究室,講師
 
東口 豊(ひがしぐち ゆたか) 美学・美術史研究室,准教授
 
舩田善之(ふなだ よしゆき) 東洋史学研究室,講師
 
神寶秀夫(しんぽう ひでお) 西洋史学研究室,教授
 
青木博史(あおき ひろふみ) 国語学・国文学研究室,准教授
 
西岡宣明(にしおか のぶあき) 英語学・英文学研究室,教授
 
上山あゆみ(うえやま あゆみ) 言語学・応用言語学研究室,准教授
 
三浦佳世(みうら かよ) 心理学研究室,教授
 
中村知靖(なかむら ともやす) 心理学研究室・准教授
 
光藤宏行*(みつどう ひろゆき) 心理学研究室,講師
 
鈴木 譲(すずき ゆずる) 社会学・地域福祉社会学研究室,教授
 
安立清史(あだち きよし) 社会学・地域福祉社会学研究室,教授
 
高野和良(たかの かずよし) 社会学・地域福祉社会学研究室,准教授

その他

 九州大学文学部人文学入門(全4巻)
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