アメリカの福祉国家政策福祉切捨て政策と高齢社会日本への教訓

著者名
新井光吉
価格
定価 6,200 円 (税別)
ISBN
978-4-87378-745-9
仕様
A5判 上製 390頁 C3033
発行年
2002年7月
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内容紹介

 本書は戦後米国の歴代政権が実施した福祉国家政策を分析することによって,何故1997年以降に「福祉切捨て就労強制政策」が強行されるに至ったかを歴史的に解明している。
 まず序章は本書の分析視角である「二分法」(社会保険優遇と福祉抑制)が既に成立時の社会保障制度に内在しており,以後絶えず福祉の抑圧要因として働いてきたことを明らかにしている。次の第1章は1950年代に老齢年金が老齢扶助に代わって社会保障の中核となり,福祉も減少傾向を辿って「二分法」の正しさが証明されたかのように見えた時期を分析している。第2章は1960年代に入り,母子家庭が老人に代わって公的扶助の中心となり再び福祉を膨張させ,新たな福祉拡充策が実施されることになった点を明らかにした。1960年代の偉大な社会計画は社会復帰政策(教育・訓練)によって福祉母親の就労と自活を促し貧困の撲滅を図ったが頓挫した。ニクソン政権も最低所得保障を導入して経済的誘因によって貧民の就労を促そうとしたが,「給付に値しない勤労可能貧民」への所得保障には強い反発があり,老人,盲人,障害者など「給付に値する貧民」に限定した補足的保証所得のみが制度化された。以後福祉切捨ての標的は「給付に値しない貧民」に限定され,給付と引き換えに就労を求められることになった。第3章はレーガン政権が福祉給付の削減と勤労要件の強化を図ったが,勤労貧民の就労は促進されず,次のブッシュ政権では福祉受給が逆に膨張し,そのためにクリントンが1996年個人責任勤労機会調整法を成立させ,福祉制度の62年の歴史に終止符を打つ決定を行ったことを明らかにした。第4章は州政府が1988年家族援護法(州の裁量で福祉を抑制できる連邦規制免除)に基づいて「脱福祉勤労」計画を実施し,既に福祉削減に成果を挙げている点を解明している(福祉受給者は1993―99年に1,410万人から630万人に減少)。終章はメディケイド(医療扶助)など高齢者(給付に値する貧民)が主たる受給者となっている制度も母子家庭扶助の切捨てを梃子にして削減の対象に含められつつある現状を指摘し,米国社会でも急速に進展しつつある高齢化への影響を展望しながら,その教訓を補論「高齢社会日本の介護政策」を踏まえた上で考察する。

目次

序 章
  課題と構成/国際比較と福祉財政
第1章 「偉大なる社会」以前の福祉国家政策
  ニューディール福祉国家の限界/戦時期の政策/トルーマン政権の政策/
  アイゼンハワー政権の政策/福祉の危機
第2章 「偉大なる社会」期を中心とする福祉国家政策
  社会福祉拡充の背景/ケネディ政権の政策/ジョンソン政権の政策/ニク
  ソン政権の政策
第3章 制度改革期の福祉国家政策
  カーター政権の福祉見直し政策/レーガン政権の福祉解体政策/ブッシュ
  政権の政策/クリントン政権の福祉廃止政策
第4章 州の福祉改革――勤労福祉計画――  
  福祉改革/脱福祉就労計画の進展/福祉改革の実態/州の改革プログラム
終 章
補論 欧米諸国と比較した日本の高齢者介護政策
  日本の社会保障政策/高齢化社会の到来/欧米諸国の高齢者ケア政策/日
  本の介護保険
学術図書刊行助成

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