日本の生命倫理 回顧と展望

シリーズ名
熊本大学生命倫理論集1
著者名
高橋隆雄・浅井 篤 編
価格
〔品 切〕(参考:本体価格 3,800円)
ISBN
978-4-87378-943-9
仕様
A5判 上製 404頁 C3312
発行年
2007年4月
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内容紹介

学内共同研究の成果である「熊本大学生命倫理研究会論集」シリーズは第6巻をもって一応完結し,これからは,国内外の研究者との共同研究を通じて生命倫理研究に貢献していきたい。その一環として,新しい論集を刊行することになった。第1巻のテーマは「日本の生命倫理:回顧と展望」である。今の時期は,これまでの広範多岐にわたる活動を振り返るとともに将来を展望することが必要であろう。生命倫理の各領域の研究者に様々な観点から執筆していただいた。大きく分けると「総論」,「自己決定・医療情報」,「生命と法」,「職業倫理」,「ドイツ・フランスへの視点」,「政策・学会」の6領域である。これでかなりの範囲がカバーできると思われる。続刊でもそれぞれのテーマについて論じつつ日本の生命倫理の現状と行方を示していく予定である。

目次

第1部 総  論
第1章 日本での生命倫理学のはじまり …………………… 加藤尚武
   1.生命倫理学の成立
2.日本の哲学の状況
3.分子生物学の状況
4.さまざまな生命倫理的事件と学会の設立
5.「自己決定」は日本に定着するか
6.日本的生命倫理学は可能だろうか
第2章 日本の臨床倫理に関する回顧と展望 ……………… 浅井 篤
   1.はじめに:個人的な回顧から
2.何のための回顧と展望か
3.具体的項目
4.各論について
5.おわりに
第3章 日本の生命倫理におけるケア論 …………………… 高橋隆雄
   1.はじめに
2.日本における「ケア」の用法とソースブック
3.ケア論の見取り図
4.日本のケア論の展望
第4章 医師・患者関係の変遷 ……………………………… 粂 和彦
――医療における医学と倫理――  

1.はじめに
2.「医療」と「医学」の相違
3.「病気」と「患者」の関係
4.パターナリズム至上主義的な医師・患者関係の時代
5.米国における患者の権利運動と医療の質の監視
6.日本における患者側の市民運動
7.カルテ・レセプト開示と医療情報の共有
8.インフォームド・コンセントの限界
9.新しい医師・患者関係の構築
10.おわりに
第2部 自己決定・医療情報
第5章 日本の生命倫理と「人の誕生」の問題 …………… 八幡英幸
   1.日本の生命倫理の起源について
2.日本の生命倫理の特質について
3.生命倫理か,生命倫理学か
4.いくつかの量的調査から
5.日本の生命倫理,その未来に向けて
第6章 障害の位置――その歴史のために―― …………… 立岩真也
   1.共通性と難しさ
2.日本の場合
3.現  在
第7章 日本の精神科医療の回顧と展望 ……… 北村總子・北村俊則
――精神疾患を有する者の医療における自己決定―― 

1.はじめに
2.20世紀日本の精神科医療 第1期:私宅監置と施設収容
3.20世紀日本の精神科医療 第2期:精神衛生法の制定
――精神病院への強制入院の法制化――
4.20世紀日本の精神科医療 第3期:精神保健法の成立
――任意入院制度の導入――
5.20世紀日本の精神科医療 第4期:任意入院の優先
6.20世紀日本の精神科医療 第5期:
他害行為を行ったとされる精神障害者に対する強制医療
7.日本の精神科医療の問題点
8.精神疾患を有する者の医療における自己決定:今後のあるべき姿
第8章 遺伝医療と倫理問題 ………………………………… 松田一郎
――遺伝情報への対応を中心として―― 

1.はじめに
2.日本における遺伝医療に関連したガイドライン制定の背景
3.遺伝情報とそれを巡る倫理問題
第9章 医療情報と「プライバシー」 …………………… 板井孝壱郎
――「個人情報保護法」を中心とした回顧と展望―― 

1.はじめに――「個人情報保護法」をめぐる現場の「混乱」――
2.「回顧」――「プライバシー」概念の変容と
「個人情報保護法」成立をめぐる経緯を中心に――
3.「展望」――医療の現場に即した
「個人情報保護法」のあり方のために――
4.おわりに
第3部 生命と法
第10章 終末期における法と判例 …………………………… 稲葉一人
   1.終末期医療における問題意識
2.終末期問題を論ずる難しさ
3.死についての法的な仕組みないし考え方
4.法のもとでの判断・決定のルール
5.具体的な本人や家族の意思の位置付け
6.先  例
7.主要な報告書
第11章 日本の医事法学――回顧と展望――……………… 甲斐克則
   1.序
2.日本の医事法学第1期:基盤構築期
3.日本の医事法学第2期:伸展期
4.日本の医事法学第3期:成熟期
5.日本の医事法学の課題と展望
6.結  語
第4部 職業倫理
第12章 医療専門職倫理 ……………………………………… 西村高宏
――日本における医師の
「職業倫理」徹底化のための処方箋――

1.はじめに
2.「プロフェッショナル・オートノミー」とは何か?
3.医師の「職業倫理」をめぐる諸外国の現状と日本の課題
4.日本における医師の「職業倫理」徹底化のための処方箋
5.おわりに
第13章 看護と生命倫理 ……………………… 森田敏子・岩本テルヨ
   1.はじめに
2.看護における倫理の歴史的な概観
3.看護の倫理規定と患者の権利擁護
4.看護者の役割・責任の増大と倫理的能力の必要性
5.看護の倫理を巡る看護界の動向
6.看護実践現場で看護者が直面する倫理的困難
7.看護は生命倫理にどう関わっていくのか
8.おわりに
第5部 ドイツ・フランスへの視点
第14章 ドイツの生命倫理への視点 …………… トビアス・バウアー
   1.はじめに
2.ドイツにおける「生命倫理」の概念
3.ドイツの生命倫理の歴史と現状
4.日本の生命倫理の視点からみたドイツの生命倫理
第15章 フランスの生命倫理への視点 ……………………… 磯部 哲
   1.はじめに
2.フランス生命倫理法
3.フランス尊厳死法
4.わが国の生命倫理関連の制度
5.おわりに
第6部 政策・学会
第16章 生命倫理政策 ………………………………………… 菱山 豊
   1.はじめに
2.日本の生命倫理政策を振り返って
3.日本の生命倫理政策の今後の課題
4.おわりに
第17章 日本生命倫理学会の歴史 …………………………… 青木 清
   1.ライフサイエンスの誕生
2.組換えDNA実験の誕生と社会
3.文部省バイオサイエンス部会とガイドラインの施行
4.日本の生命倫理学会の設立
5.厚生省お
よび日本医師会の生命倫理懇談会
6.医学系大学倫理委員会の動向
7.国際的生命倫理との関わり
8.上智大学と生命倫理
9.本章を終えるにあたって

その他

熊本大学生命倫理論集
日本の生命倫理 自己決定論のゆくえ 生命という価値 医療の本質と変容
学術図書刊行助成

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