地域包括ケアを実現する高齢者健康コミュニティいつまでも自分らしく生きる新しい老いのかたち

著者名
馬場園 明・窪田昌行
価格
定価 1,800 円 (税別)
ISBN
978-4-7985-0132-1
仕様
A5判 並製 192頁 C3047
発行年
2014年6月
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内容紹介

高齢者に病気や障害が起こり、病院・施設に入院・入所したりすることによって、トランスファーショックが起こることが知られています。トランスファーショックとは、「適応能力が低下した高齢者の環境が大きく変化すると精神的な落ち込みが起こる現象」です。そして、不活発になったり、認知症が進行したり、孤独に苛まれて悲しむことになったりします。この原因はケア・生活・人生が断裂してしまったことによるもので、悲しむべき実態といえます。これを防ぐには、同じ場所で最期まで生活する"Aging in place"を実現する必要があります。高齢者健康コミュニテイは"Aging in place"を実現するシステムです。
「高齢者健康コミュニテイ」の理念は、「高齢者の生活が継続できるようにケアを行い、自分の人生で起こったことを前向きに肯定して統合すること」を支援することです。すなわち、「高齢者が自分の人生はよいことも辛いこともあった。さまざまな方にお世話になったが自分も社会に貢献できた。生まれてきてよかったと統合すること」を支援するのです。そして、「本人の意思の尊重」、「残存機能を活用した自立支援」、「生活とケアの連続性の維持」を「高齢者健康コミュニテイ」の三大原則とします。「高齢者健康コミュニテイ」の定義は、「生活支援・健康支援・介護・医療サービスを提供する複合施設と自立型、支援型、介護型高齢者住宅及び高齢者自宅をネットワークで結び、地域包括ケアシステムの機能を満たすコミュニテイ」です。そして、高齢者が最後まで自立して生活できるように、「疾病や障害の予防の支援」や「こころのケア」に、「ホームベース型健康支援」を用います。「ホームベース型健康支援」の定義は、「自らの生活の場(Home)という安心・安定した環境のなかで、本人自身の内発的動機付けを尊重し、目標達成型で生活習慣の改善をめざしてもらい、支援者は本人ができることをできるように支援すること」です。
「高齢者健康コミュニテイ」の概念がわが国の高齢者のケアの再構築を促進し、日本のどこでも高齢者の意思が尊重され、変化していくニーズに対応して、同じ場所で継続的にケアを行っていくことができるようになることを期待したいと思います。

目次

 はじめに
 
第1章 わが国の高齢者を取り巻く状況と高齢者ケアの問題点
 
 人口動態の変化と高齢化にともなう問題
 長期入院が引き起こす問題
 不足する高齢者に適した住まい
 医療・介護制度改革の行方
 今後の高齢者ケアのニーズ
 
第2章 米国のCCRCから学ぶ

 米国のCCRC
  CCRCとは
  米国でCCRCが注目されている理由
  3種類の住まいと医療センター・リハビリテーション施設
  CCRCが入居者に提供する4つの特色
   ■継続したケアの提供を実現するシステム
   ■経営の安定性の確保 
   ■一時金の返還システム
   ■質の高いホスピタリティサービスを提供するシステム
 代表的なCCRCとエリクソンシニアリビング
  米国のCCRC開発・運営事業者
   ■サンライズシニアリビング
   ■ホリデーリタイアメント
   ■ライフケアサービス
   ■エメルタスアシステッドリビング
  エリクソンシニアリビングのケーススタディ
 CCRCでの一日の生活の流れ
  自立型住まいにご入居のAさん(女性、86歳)
  自立型住まいにお住まいのBさんご夫婦(夫88歳、妻85歳)
  支援型住まいにお住まいのCさん(男性、97歳)
 
第3章 高齢者健康コミュニティ

 北欧に学ぶ高齢者ケア
  スウェーデンの高齢者ケア
  デンマークの高齢者ケア
 今後の高齢者ケアのあり方
 高齢者健康コミュニティの理念と原則
 高齢者健康コミュニティ実現に必要な6つの要件
 
第4章 高齢者健康コミュニティのケーススタディ

 玉昌会グループの取り組み
  沿革と高齢者介護福祉事業への取り組み
  高齢者健康コミュニティ構築へ向けての取り組み
   ■ニーズに応じた住まいの提供
   ■生活支援サービスによる自立支援
   ■終末までのケアの継続性
  今後の課題
 豊資会グループの取り組み
  沿革と高齢者介護福祉事業への取り組み
  高齢者健康コミュニティ構築へ向けての取り組み
   ■ニーズに応じた住まいの提供
   ■生活支援サービスによる自立支援
   ■終末までのケアの継続性
  今後の課題
 竜門堂グループの取り組み
  沿革と高齢者介護福祉事業への取り組み
  高齢者健康コミュニティ構築へ向けての取り組み
   ■ニーズに応じた住まいの提供
   ■生活支援サービスによる自立支援
   ■終末までのケアの継続性
  今後の課題
 梶原内科医院の取り組み
  沿革と高齢者介護福祉事業への取り組み
  高齢者健康コミュニティ構築へ向けての取り組み
   ■ニーズに応じた住まいの提供
   ■生活支援サービスによる自立支援
   ■終末までのケアの継続性
  今後の課題
 今後の高齢者健康コミュニティの構築に向けて
 
第5章 高齢者の自立を支える

 高齢者健康コミュニティで行うホームベース型健康支援
  ホームベース型健康支援
  前向きの態度
  自己効力感
  周囲からの支援
  ホームベース型健康支援の具体例
 介護予防のための支援
  介護予防とは
  運動器の機能向上
  栄養改善の支援
  口腔機能向上プログラム
  閉じこもり予防支援
 高齢者のこころの支援
  高齢者の睡眠障害の支援
  認知症と支援
   ■認知症とは
   ■認知症の予防
   ■認知症高齢者の支援
  うつ病と援
   ■うつ病とは
   ■うつ病の予防
   ■うつ病高齢者の支援
  高齢者のこころの状態を理解するには
 
 おわりに

著者紹介

馬場園 明(ばばぞの あきら)
1959 年生まれ。1984 年九州大学医学部卒業,1990 年岡山大学医学研究科社会医学系衛生学修了(医学博士)。1993 年ペンシルバニア大学大学院修士課程修了(臨床疫学修士)。岡山大学医学部講師,1994 年九州大学健康科学センター助教授を経て,2005 年より九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座教授。著書に『介護福祉経営士テキスト実践編II 2 介護福祉マーケティングと経営戦略エリアとニーズのとらえ方』(日本医療企画,2012 年),『介護予防のための栄養指導・栄養支援ハンドブック』(共著,化学同人,2009年),『脱・メタボリックシンドロームのための健康支援』(中央法規出版,2008 年),『現代のエスプリ(No.440)』(共著,至文堂,2004年)等がある。

窪田昌行(くぼた まさゆき)
1954 年生まれ。1979 年九州大学工学部卒業,1981 年同大学院修士課程修了。1993 年ペンシルバニア大学ビジネススクール修了(MBA)。2000 年岡山大学医学研究科社会医学系衛生学(医学博士)。建設会社で病院の企画・計画を担当,経営コンサルティング会社では高齢者施設の研究・経営指導を行う。2006 年産学連携「医療福祉経営マーケティング研究会」事務局長。2014 年,日本型CCRC を普及するためにNPO 法人高齢者健康コミュニティを設立,理事長を務める。(株)CCRC 研究所代表,(株)プラスネット取締役。著書に『複合機能型シニア住宅の事業収支構造』(共著,綜合ユニコム,2009 年),『病医院の事業多角化戦略モデルプラン集』(共著,綜合ユニコム,2007 年)等がある。

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