内容紹介
英語の学習はRPG(ロールプレイングゲーム)に似ています。技や呪文を覚え、敵を倒していくように、単語や熟語の意味を覚え、英文を攻略していく──。はじめのうちは単純な技と呪文(単語と熟語)で弱い敵(簡単な英文)しか倒せませんが、自身の能力を高めれば、もっと強い相手にも立ち向かえるようになります。しかし、冒険を進めるうちに敵(英文)は強力になり、徐々に苦しくなります。レベルを上げるには、さらなる経験値が必要で、忍耐力が試されます。
高校までは、大学入試を目安として、必要となる単語のレベルはある程度基準がありますが、大学に入るとそのリミッターは突然解除されます。英文はあらゆるジャンルにわたり、学術レベルの英文を攻略するために覚えなければならない単語の数は一気に膨れ上がります。大学生に要求される英単語のレベルは、決して低くなく、単に高校での学習の延長線上にあるわけでもありません。
そんな単語の学習には様々な方法があります。出会った英文で必要となった知識を少しずつ覚えていくというのも1 つのやり方です。しかし、部活にバイトに(恋に)忙しい大学生が読める英文の数は限られてしまいます。また、授業で扱う英文にもどうしても偏りが出てきてしまいます(教員の好みも出てしまいます)。この方法で学習を進めると、特定の種類の敵(英文)なら攻略できるようになるかもしれませんが、残念ながら万能の勇者になれません(もちろん浴びるように英文を読めばその限りではありませんが、時間が制約となります)。
一方、英単語帳で学習を進めることは、これから先の冒険で必要になるであろう技や呪文を集めた攻略本を読んでおくことに等しいと言えます。それらを習得するには一定の訓練が必要ですが、待ち受ける強敵に対して十分な準備ができます。また、英単語帳でバランス良く学習をしていれば、どんな敵が来ても(どんな分野であっても)戦いに備えることができます。
それ故、英単語帳に対する需要は旺盛で、様々な単語帳が出版されていますが、その多様な英単語帳群において、本書には以下の特徴があります。
・大学生による大学生のための英単語帳
大学生である執筆チームが、自分たちが学びたい単語、学ぶべき単語を選定したため、「大学生にとって本当に必要な単語」のみを掲載しています。
・徹底したユーザー調査
単語帳をどのように使っているか、どのような情報が必要か、どのようなレイアウトが見やすいかなどについてアンケートを実施し、400件以上の回答を分析しました。さらに、ワークショップ形式で高校生の意見も取り入れ、徹底的に「ユーザー目線」で制作しました。
・データを利用した客観的な分析
教員に対して行ったアンケート結果から、「大学生が読むべき英語の本」を選定し、データ化(約70万語)しました。そのデータを基に、コーパス言語学の手法を用いてキーワードとなる英単語を統計的に抽出しました。また、20冊以上の市販本をデータベース化し、大学生向けの単語帳として客観的な基準に基づいて「本当に掲載すべき語」を厳選しています。
・実用的なカテゴリーで単語を掲載
英単語は「学術」、「SDGs」、「留学」というカテゴリーで分類し、実際に必要になる場面に応じて学習できるようにしました。
*「学術」セクションは、社会的課題を整理するために役立つ5つのサブセクション(エリア横断、国家と地域、地球・環境、人と社会、人間・生命)にさらに分類し、テーマごとに学習をしやすくなるように工夫しました(掲載語数:約700語(派生語等も含む))。学術セクションでは、注釈に「語源」も意識的に取り入れています。単語を語源から理解することで、意味が記憶に残りやすくなります。また、各サブセクションの最後に「リスト」と呼ばれる、特定のカテゴリー(「数学・統計」、「実験器具」など)に属する単語群が掲載されています。
*「SDGs」セクションでは、国連が定めた「持続可能な開発目標」のそれぞれのゴールごとに単語を厳選して掲載しています。単語の選定に関してSDGsに依拠するという試みは、本書が初めてのものでしょう(掲載語数:約400語)。SDGsセクションでは、17のゴールそれぞれの説明を冒頭に示しています。また、例文・フレーズの代わりに、単語の背景知識を説明するための詳しい注釈が載っているものもあります。
*「留学」セクションは、実際に学生が現地に行くことを想定し、授業から恋愛まで、幅広い場面をカバーしています(掲載項目数:約300項目)。留学セクションでは学生同士の会話が提示され、その中に登場する重要な単語や表現が「Words & Phrases」として掲載されています。その他にも関連して使えそうな表現は「Other expressions」に、知っておくと留学で役立つ情報は「Did you know?」に掲載されています。
さらに、本書に関連する情報を集めた特設サイトが開設されています。音声データも、収録ができたものから順に掲載していきますが、コロナウィルス禍の影響で作業が滞っていますので、もう少しお待ちください(2020年4月25日現在、「留学」セクションが公開済みです)。本書とともに、ぜひ楽しみながら英単語の冒険を進めてください。