内容紹介
本書は,英語における格体系の獲得の初期発達段階にある子供の観察を通して,非主格主語の現象を動詞の屈折形態の発達と関連づけて分析するものである。発話の詳細な分析の結果,主語の位置で用いられる主格,属格,対格の形態をもつ代名詞の振る舞いは,規則性をもっており,大人の文法で見られるのと同じ素性照合のメカニズムによって認可されると主張する。この非主格主語の現象は,代名詞や動詞の形態変化が豊ではないという英語の特性に起因すると論じ,このことを示すことによって,主語として用いられる主格,非主格形態の代名詞の分布が,動詞の屈折形態についての言語知識の発達と密接に関連していることを明らかにしている。