純化の思想家ルソー

著者名
細川亮一
価格
定価 5,280円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-87378-944-6
仕様
A5判 上製 320頁 C3010
発行年
2007年7月
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内容紹介

ルソーはその矛盾を統一へともたらさねばならない矛盾の思想家でなく,選択を迫る純化の思想家であり,この純化の力が独自のルソー思想を可能にした。本書は人間・市民・孤独な散歩者という三つの理念型を四つの鍵概念(幸福・自由・秩序・神)の光のもとで見ることによって,純化の思想家ルソーを描く試みである。

目次

序 章 純化の思想家
  第一節 ルソーの統一像への試み
    一 矛盾の思想家?
    二 人間と市民を統一する試み
    三 ルソーという人間への還帰
    四 選択肢の提示
    五 純化の力
    六 三つの理念型(人間・市民・孤独な散歩者)
  第二節 ルソー思想の原理と鍵概念
    一 大原理
    二 人間の本性は後戻りしない
    三 動物から精神的存在へ
    四 最初から始める
    五 ルソー思想に通底する鍵概念(幸福・自由・秩序・神)
  第三節 ルソー思想の展開
    一 ヴァンセンヌの霊感
    二 『学問芸術論』
    三 『人間不平等起源論』
    四 『新エロイーズ』
    五 本書の課題と展開
第一章 人  間
  第四節 人間か市民かの選択
    一 万物の創造者の手で作られたばかりのときにはすべてが良い
    二 人間と市民の区別
    三 家庭教育か公教育か
    四 人間愛か祖国愛か
    五 人間を一つにせよ
    六 人間への依存から事物への依存へ
  第五節 自然の秩序
    一 秩序のうちに位置をもつ
    二 消極教育
    三 第二の誕生とモラルな秩序
    四 自己保存の自然法
    五 良心の法としての自然法
    六 福音書の教えとしての自然法
    七 憐れみの情から生まれる自然法
    八 モラルな秩序にある自然人
  第六節 『エミール』のなかの『社会契約論』
    一 physique – moral – civil
    二 人間から市民へ?
    三 『社会契約論』 からの抜粋の意味
    四 国家の構成員と市民の義務
    五 祖国をもたない者も少なくとも国をもっている
    六 『エミールとソフィー』
第二章 市  民
  第七節 反自然法論としての『社会契約論』
    一 自然法
    二 自然法の無力
    三 人間の自然本性・構造を変える
    四 廃止されえない基本法は存在しない
    五 完全な人為としての社会契約
    六 社会契約と自然法
    七 全面的な譲渡による自然状態から国家状態への移行
    八 完成された人為
  第八節 国家の秩序
    一 人間をあるがままの姿で捉える
    二 人的国家
    三 社会契約
    四 自分自身と契約している
    五 一般意志としての主権
    六 主権の限界
    七 立法権と執行権
    八 政府の構造と政治体の死の必然性
    九 意志主義
  第九節 自然の道と脱自然の道
    一 一緒になって一つの完全な全体をなす
    二 第四の法と公教育・祖国愛
    三 国家宗教と一般社会・特殊社会
    四 法に従うこととしての自由
    五 人間と市民の共存可能性
    六 自分のため・他人のため
    七 幸福な瞬間と第二の誕生
    八 政治学と倫理学
    九 ピュシスとノモス
第三章 孤独な散歩者
  第十節 私を語る
    一 思想を語ることから私を語ることへ
    二 善良な者として
    三 第三の理念型としての孤独な散歩者
    四 自然人
    五 神に向かって語る
  第十一節 神の秩序
    一 神義論としてのルソー思想
    二 神義論としての『社会契約論』
    三 神義論としての『エミール』
    四 神は義しい
    五 すべては結局秩序を取り戻す
  第十二節 孤独な散歩者の幸福
    一 公共の幸福から孤独者の幸福へ
    二 自分の魂と語り合う喜び
    三 永遠性としての現在
    四 生へと生まれる
    五 自然との同一化
    六 私の消失
終 章 人間・市民・孤独な散歩者
    一 社会化以前の人間
    二 幸  福
    三 自  由
    四 秩  序
    五 神
    六 純化の思想家ルソー
あとがき
人名索引
事項索引

学術図書刊行助成

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