内容紹介
運転者の特性の違いは,危険発生時に衝突を回避できるか否かに大きく関わっている。本書は,事故防止のために最も重要な要素である運転者の特性について,ばらつきや加齢による変化などの科学的知見を提供し,それを踏まえて,走行実態の問題点と安全運転のあり方を示したものである。
序章から10章までの章では,事故分析を始め,制動実験及び反応実験,追従走行実験,観測調査,視力測定,意識・態度の調査など,事故と運転者の特性に関わる諸項目を学際的な立場で広く取り上げている。各章の知見は安全な車間距離に関連する体系を成すものであるが,分野ごとの独立した研究の成果でもあり,特定の実務あるいは研究に関連して活用することも有効である。
筆者はこれまで,科学警察研究所,自動車安全運転センター,交通事故総合分析センター,それぞれの研究部門に所属を移しながら,安全運転の問題に取り組み,多様な調査,実験,分析を実施してきた。本書は,その筆者の長年にわたる研究の集大成と言えるものである。