内容紹介
本書の対象とした構造は大きく分けて,地下鉄や共同溝,地下駐車場のような断面の大きな地中構造物と,橋梁などの地上構造物を支える杭基礎の2つである。これら2種類の地中構造物の耐震設計に関し,現在,実務で使用されている耐震設計法を初学者にも理解できるように平易に解説した上で,現時点で無理なく使用できると思われる解析ツールを用いた合理的な耐震設計法を提案し,執筆者の研究結果も使用してわかりやすく解説した。また,参考資料には橋脚を設計するために必要な,基礎構造物を含んだ地盤の減衰定数の取り方に関する知見と,橋梁の耐震設計において今後避けることができない桁と橋台パラペット部の衝突問題に関する知見を紹介した。
改訂増補に際しては,文意の取りにくい個所や,見にくい図表の改善を図るとともに,内容に関しては,1:地中構造物縦断方向の耐震設計に資するため,地盤ひずみの評価法,立坑の影響,箇所別地震動の評価手法など,および2:短杭の耐震設計に関して,それぞれ新しい研究成果を加筆した。また,内容の理解を確かなものとするため,巻末に記述の正誤を問う50題の設問と解答を追加した。