フィリピン・ルソン島西部、噴火前のピナトゥボ山南西麓一帯に住むアエタ族(ネグリート族)の経済・社会生活の動態的な編成をめぐる民族誌。出来事をめぐって浮きぼりにされるアエタ社会固有の存在様式を明らかにする。
本書は、文化人類学者・清水展氏が若き日にまとめたフィールドワークの成果であり、噴火により失われる前の先住民の文化や社会を今日に伝える貴重な資料である。第22回澁澤賞受賞。
第1章 序 論 第1部 出来事の諸相 第2章 景観のなかの歴史 1 ピナトゥボ・アエタの概況 2 平地民との拮抗関係 外部の制限的導入 3 共時態としての過去認識 出来事の物語化と空間配置 第3章 アモック事件をめぐる素描 1 エスト君の家族 2 事件のあらまし 3 早すぎた変容の苦悩 第4章 開発プロジェクトの併呑受容 1 カキリガン集落の出現 2 多角的な生業 3 定着犁耕農業プロジェクト 第5章 病いの体験 1 霊魂と精霊 2 アニト・セアンス 3 事例研究 4 病いをめぐる即興劇 第2部 社会編成の動態 第6章 社会集団の編成 1 拡大家族の構成 2 結婚に関するふたつの言説 3 望ましい結婚の手続き 第7章 結婚をめぐるダイナミズム 1 恋愛の試み 2 出来事としての結婚 3 駆け落ちの実践とその意味 4 コミュニケーションの陥穽と外部の危険 5 危険の回避とイトコ婚への傾斜 6 略奪婚が切りひらく地平 第8章 バンディ(婚資) 出来事の懐柔をめぐって 1 バンディの理由 慣習または養育費 2 バンディの意味 怒りの慰撫、他者の懐柔 3 なぜ怒るのか 逸脱、侵犯、秩序の乱れ 4 剥奪との妥協 高額なバンディと妻方居住 第9章 結 論 付 録 パン・ダロイ夫婦家族の経済生活 注 釈 参考文献 あとがき
清水 展(しみず ひろむ) 1951年 横須賀生まれ 東京大学教養学部教養学科卒業 東京大学大学院社会学研究科博士課程中退 東京大学教養学部助手、東京大学東洋文化研究所助手、 九州大学教養部助教授、九州大学大学院比較社会文化研究院教授、 京都大学東南アジア研究所教授を経て、 現在、関西大学政策創造学部特別任用教授 社会学博士(東京大学)、専攻 社会人類学 2017年 第107回 日本学士院賞受賞
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