内容紹介
スイスは連邦政府,州に該当する26のカントン,そして地方政府に該当する約3,000の自治体から成る連邦国家であるが,その本格的な財政分析はこれまでわが国では研究の空白地帯であった。本書は,このスイスのカントンと自治体に焦点を据えて,その財政構造,税財政制度,そして政府間財政関係を詳細に分析している。「スイス財政連邦主義」という書名は,スイスにあっては高度に分権化された税財政制度・財政構造が存在していること,また,複数の政府(連邦政府とカントン・自治体)間での連携によって行財政運営上の効率性が図られていることを含意している。
分権化を財政面で徹底していくとどのような課題があるのか,またその克服策は何かという点で,わが国の今後の地方財政の在り方に対して示唆する点も多い。