複雑系とシステムリスク分析

著者名
時永祥三 編著
価格
定価 4,620円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-87378-924-8
仕様
A5判 上製 280頁 C3034
発行年
2006年12月
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内容紹介

本書では,複雑系による解析手法を基礎として,システムリスク分析を行う方法論を展開している。内容は,エージェント理論,リスク構造・状態推定およびデータマイニングの3部に分かれ,分野としては,人工株式市場などの市場分析から,ネットワーク構造解析,株価時系列分析やクレジット審査システム構成などをカバーしている。

目次

         第1部 エージェント理論
第1章 複雑系とシステムリスク分析の基本
  1.1 システムリスクの分析手法
    1.1.1 現代のシステムリスク分析と複雑系
    1.1.2 複雑系を構成する理論
  1.2 本書の構成
    1.2.1 第1部:エージェント理論と GP 手法
    1.2.2 第2部:リスク構造・状態推定
    1.2.3 第3部:データマイニング
第2章 エージェントによる連係・交流分析
  2.1 セル平面とクラスタ形成
  2.2 連係・交流のエージェントシミュレーション
    2.2.1 インターネット・マーケティングとコミュニティ
    2.2.2 インターネット・コミュニティの類型
    2.2.3 コミュニティにおける体験共有と反発
  2.3 基本モデル
    2.3.1 セル平面上のエージェントモデルと交互作用
    2.3.2 不動点定理を用いた均衡分析
  2.4 2値へと制限したエージェントモデル
    2.4.1 状態変数が2値であるエージェント挙動
    2.4.2 複数の状態変数のエージェントモデル
    2.4.3 期待値の計算方法
    2.4.4 エージェントによる GP 学習への拡張
  2.5 GP による関数近似の原理
    2.5.1 GP の研究と応用
    2.5.2 GP の原理
    2.5.3 木構造とスタック
    2.5.4 カオス力学系近似の例題
  2.6 エージェントの GP による予測と均衡条件
  2.7 応用例
    2.7.1 1状態エージェントモデルの応用例
    2.7.2 複数の状態をもつエージェント
    2.7.3 状態参照における重み導入によるクラスタ形成
    2.7.4 コミュニティ形成との関連分析
  2.8 むすび
第3章 GP 学習するマルチエージェントによる
     オークション市場
  3.1 オークション市場とエージェントによる分析
  3.2 エージェントによるオークション市場のモデル化
    3.2.1 入札型オークションの構成
    3.2.2 オークションとエージェント
    3.2.3 エージェントの私的価値
  3.3 GP 学習によるエージェントモデリング
    3.3.1 入札エージェントの GP によるモデリング
    3.3.2 GP 個体の評価基準
    3.3.3 GP による遺伝的操作
    3.3.4 イングリッシュ・オークションのエージェントモデル
  3.4 エージェントによるオークション分析
    3.4.1 入札型オークションのシミュレーション
    3.4.2 イングリッシュ・オークションのシミュレーション
  3.5 売り手が複数の場合への拡張
    3.5.1 売り手が複数のオークション
    3.5.2 売り手の予測モデル
    3.5.3 シミュレーション結果
    3.5.4 パラメータについての依存性
  3.6 ダブルオークションの構成
    3.6.1 ダブルオークション市場の特性
    3.6.2 ダブルオークション市場におけるエージェント
    3.6.3 市場価格の GP 予測とエージェント行動
  3.7 エージェントの学習と行動
    3.7.1 オークションのルール
    3.7.2 エージェントの私的評価
    3.7.3 ダブルオークションにおけるエージェント予測
    3.7.4 オークションにおける GP 個体の評価基準
  3.8 電力ダブルオークションのシミュレーション
    3.8.1 需要が一定の場合
    3.8.2 顧客の需要が変化する場合
  3.9 むすび
第4章 人工株式市場エージェントによるマルチフラクタル
  4.1 マルチフラクタルと特徴抽出
  4.2 人工株式市場システム構成の概要
    4.2.1 学習するマルチエージェントによる人工株式市場
    4.2.2 算術式による予測モデル
    4.2.3 GP による算術式の近似
    4.2.4 エージェントの行動と株価のマルチフラクタル性
    4.2.5 モノフラクタル性が失われる要因
  4.3 マルチフラクタル性の検証
    4.3.1 人工市場株価のマルチフラクタル性検証
    4.3.2 人工株価のマルチフラクタル性
    4.3.3 マルチフラクタル表面の生成
  4.4 マルチフラクタルからの特徴抽出
    4.4.1 マルチフラクタルからのモノフラクタル予測
    4.4.2 モノフラクタル予測手法適用による抽出
  4.5 特徴抽出の応用例
    4.5.1 人工的なマルチフラクタルからの特徴抽出
  4.6 むすび
第5章 GP 学習するマルチエージェントシステムの構成と
     需給プライシング分析
  5.1 需給プライシング
  5.2 商品需要予測と振動
    5.2.1 エージェント理論とプライシング
    5.2.2 マルチエージェントシステムへの拡張
    5.2.3 GP による有理関数の近似
    5.2.4 GP とカオス制御
  5.3 システム推定と制御の応用例
    5.3.1 システム推定の例
    5.3.2 マルチエージェントにおけるプライシング制御
  5.4 商品市場での需給変動
    5.4.1 生産・在庫調整と変動
    5.4.2 情報管理の進展と在庫減少
    5.4.3 ボラティリティ抑制効果
  5.5 むすび
         第2部 リスク構造・状態推定 
第6章 ジャンプ過程を含む変動要因モデルにおける
     IS によるテイル分布推定
  6.1 テイル分布推定
  6.2 評価関数のテイル分布推定
    6.2.1 モンテカルロシミュレーションにおけるデルタ法
    6.2.2 IS によるテイル部分評価
    6.2.3 層化サンプリングへの拡張
  6.3 ジャンプ過程を含む変動要因で記述される確率モデル
    6.3.1 確率過程の記述
    6.3.2 確率微分と2次の偏微分方程式
    6.3.3 生産コストが分離されるモデル
    6.3.4 有限差分法の適用
  6.4 応用例
    6.4.1 Case 1 の VaR 評価への応用
    6.4.2 Case 2 の VaR 評価への応用
  6.5 むすび
第7章 GP による状態方程式近似と
     粒子フィルタ法を用いた状態推定
  7.1 粒子フィルタによる状態推定の基本モデル
    7.1.1 非線形・非ガウス時系列モデル
    7.1.2 PF による時系列からの状態推定
    7.1.3 粒子フィルタと GP による方程式近似
  7.2 時系列からの状態推定の応用例
    7.2.1 既知の生成モデル
を用いた場合の近似
    7.2.2 実際の時系列への適用
  7.3 GARCH モデルの推定
    7.3.1 GARCH モデルとリスク分析
    7.3.2 GARCH タイプモデルへの拡張
  7.4 GARCH モデル推定の応用例
    7.4.1 既知の GARCH 生成モデルを用いた場合の近似
    7.4.2 実際の時系列への適用
    7.4.3 その他の時系列への応用
  7.5 むすび
第8章 GP 手法によるネットワーク構造分析
  8.1 ネットワーク構造と推定・設計問題
  8.2 遅延トモグラフィとリンク遅延分布の推定
    8.2.1 遅延トモグラフィ問題の概要
    8.2.2 PLE によるサブモデルの解法
    8.2.3 PLE によるゆう度最大化の定義
    8.2.4 Pseudo-EM アルゴリズムによるパラメータ推定
    8.2.5 PLE の収束性および一致性条件
  8.3 GP によるトポロジーの推定
    8.3.1 GP による関数近似との対応
    8.3.2 GP 適用における制限
  8.4 ネットワーク推定の応用例
    8.4.1 人工的に生成したネットワーク
  8.5 GP によるワークフロー管理システムの設計
    8.5.1 ワークフロー管理システムと設計問題
    8.5.2 ワークフロー管理システムの概要
    8.5.3 フローの制御方法について
    8.5.4 ノードでの処理
    8.5.5 ワークフローの評価と改善の方法
  8.6 GP によるシステム最適化
    8.6.1 GP の原理と個体によるワークフロー表現
    8.6.2 スプリット表現への対応
    8.6.3 順序依存性のチェック
  8.7 ワークフロー設計の応用例
    8.7.1 文書の署名の例
    8.7.2 ノードへのアクティビティ制限の影響
  8.8 むすび
         第3部 データマイニング 
第9章 GP 手法による株価分析システム
  9.1 時系列データ管理と生成モデル
  9.2 時系列モデルの近似とカテゴリ化
    9.2.1 時系列データの特徴による時系列分類
    9.2.2 システム構成の概要
  9.3 時系列カテゴリ化への応用
    9.3.1 人工的に生成した時系列の場合
    9.3.2 ノイズを含む場合
    9.3.3 株価セグメントのカテゴリ化
    9.3.4 他の手法によるカテゴリ化との比較
  9.4 GP 手法による時系列の階層的認識
    9.4.1 GP による第2階層認識システムの構成
    9.4.2 sliding window による時系列認識への拡張
    9.4.3 GP による関数近似とルール推定
  9.5 時系列予測への応用
    9.5.1 sliding window による時系列セグメント識別
    9.5.2 株価予測への適用:上昇下降の2分類の場合
    9.5.3 株価予測への適用:上昇下降無変化の3分類の場合
    9.5.4 比較分析
  9.6 むすび
第10章 遺伝的プログラミングによる
     クラスタ特徴記述システム
  10.1 クラスタ特徴記述について
  10.2 GP によるクラスタ特徴記述システム
    10.2.1 GP 手法の特徴と利点
    10.2.2 システム構成の概要
    10.2.3 クラスタへの分解
  10.3 GP 手法の基本とクラスタ特徴記述
    10.3.1 GP によるルール生成への遺伝的操作
  10.4 応用例
    10.4.1 人工的データに対する特徴記述の特性
    10.4.2 German Credit を用いたクラスタ検索
    10.4.3 実際のデータへのクラスタ特徴記述分析
    10.4.4 間接的な比較分析
  10.5 むすび
第11章 ニューラルネットワークと GP による
     クレジット審査システム
  11.1 クレジット審査システム
  11.2 ニューラルネットワークと GP によるルール生成
    11.2.1 クレジット判別・審査のモデル化
    11.2.2 Neurorule などの従来手法
    11.2.3 ニューラルネットワーク学習と離散化手法
    11.2.4 GP によるルール生成
  11.3 クレジット審査の応用例
    11.3.1 企業倒産予測への応用
    11.3.2 German Credit を用いた性能の相互比較
    11.3.3 格付問題への応用
  11.4 むすび
参考文献
索 引

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