アクティブ・ラーナーを育む 新時代を拓く基幹教育

著者名
九州大学基幹教育院 次世代型大学教育開発センター 編
価格
定価 3,850円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0285-4
仕様
B5判 並製 154頁 C3037
発行年
2020年4月
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内容紹介

九州大学では、アクティブ・ラーナーの育成を目指す新カリキュラム「基幹教育」を2014年度より開始しました。その最大の特色となるのが、全学部新入生必修の先進的なアクティブ・ラーニング科目として開発された「基幹教育セミナー」と「課題協学科目」です。本書では、この2つの必修科目の実施事例を通して、担当教員の専門分野や教育経験を問わない、「誰でもできるアクティブ・ラーニング」のための教育手法や科目運営体制を詳しく説明します。

そこで特に重要なポイントとして取り上げるのが、担当教員向けに新たに作成された実施要領・マニュアルであり、また全新入生が受講する大規模なアクティブ・ラーニング科目をマネジメントしていくための科目運営上の様々な工夫です。

アクティブ・ラーニングは、すでにその導入の初期段階を終え、今後はごく一般的な、教員であれば「誰でもできる」教育手法として定着していく(べき)ものと見なされています。本書では、九州大学が一歩先んじて「それ」をどうやって実現したのか、その実践的なノウハウを余すところなく紹介します。

目次

 
第1章 基幹教育  アクティブ・ラーナー育成のための新たな教育システム  
 
 1.1 本書のねらい
  1.1.1 本書の特色とその背景
  1.1.2 「誰でもできるアクティブ・ラーニング」のために
 1.2 そもそも「基幹教育」とは?
  1.2.1 「基幹教育」の基本理念 ──アクティブ・ラーナーの育成
  1.2.2 基幹教育と専攻教育の相互関係 ──樹木のイメージから
 1.3 アクティブ・ラーナー育成のためのアクティブ・ラーニング
  1.3.1 アクティブ・ラーナーに求められる様々な力
  1.3.2 「高校までの学び」から「大学での学び」への転換
  1.3.3 2つの必修科目におけるアクティブ・ラーニング
 本書のよりよい活用のために
  観点①:大規模なアクティブ・ラーニング型科目の運営体制
  観点②:不慣れな担当教員をサポートする『手引き』の存在
  観点③:具体的な授業実施例の紹介
  観点④:アクティブ・ラーニングに馴染みにくい学生への対応
  観点⑤:先進的な教育ICT環境の活用
  観点⑥:教員集団による自律的な科目改善の仕組みとその成果
 
第2章 基幹教育セミナー  対話と内省を通じた新たなキャリア教育  
 
 2.1 科目の概要
  2.1.1 科目の主旨について
  2.1.2 科目の運営体制の構築
  2.1.3 科目開発の経緯と工夫
 2.2 具体的な授業内容の紹介  『手引き』に即して
  2.2.1 全クラス共通の基本的な枠組
  2.2.2 授業の基本構成
  2.2.3 授業の進行スケジュールと各回の活動のねらい
  2.2.4 成績評価について
  2.2.5 授業のための各種ツールの紹介
  2.2.6 休講の代替措置について
 2.3 実施事例①:通常クラス
  2.3.1 クォーター化以後の授業内容(全8回)
  2.3.2 クォーター化以前の授業内容(全15回)
 2.4 実施事例②:英語クラス  英語で自分を問い直す
  2.4.1 英語クラス設置の経緯
  2.4.2 受講学生の動向
  2.4.3 授業実施上の様々な工夫
  2.4.4 実施事例の紹介
  2.4.5 学生の反応
  2.4.6 今後に向けて
 2.5 実施事例③:特別クラス(2016年度まで)
  2.5.1 基幹教育セミナーにおける合理的配慮の必要性
  2.5.2 特別クラスの開設と実施事例
 2.6 実施事例④:再履修クラス(2017年度以降)
  2.6.1 再履修クラスの設置
  2.6.2 受講学生の動向
  2.6.3 授業の実施事例の紹介
  2.6.4 学生の反応
  2.6.5 今後に向けて
 2.7 自己アセスメント①:学生アンケートから
  2.7.1 調査方法
  2.7.2 調査内容
  2.7.3 分析結果
  2.7.4 分析結果から見えてきたもの
  2.7.5 今後の課題の検討
 2.8 自己アセスメント②:担当教員アンケートから
  2.8.1 調査方法・内容
  2.8.2 アンケート結果の分析
  2.8.3 その他の質問項目について
 2.9 振り返りと今後の展望
  2.9.1 実施時期について
  2.9.2 内容について
  2.9.3 今後の展望
  2.9.4 さいごに
 
第3章 課題協学科目  対話と協働を通じた初年度からの文理融合型教育  
 
 3.1 科目の理念と科目開発の経緯
  3.1.1 科目構想の背景
  3.1.2 科目開発と新たな運営体制の構築
 3.2 科目の概要
  3.2.1 大クラスと小クラス
  3.2.2 教室テーマ・協学課題と教員チーム
  3.2.3 授業のスケジュール
 3.3 授業開始までの運営体制と準備
  3.3.1 運営体制:各部局との調整、教員チームの編成、情報の共有
  3.3.2 教員チームによる準備:授業設計の概要とチームリーダーの役割
  3.3.3 教室テーマの選択・決定
 3.4 初回ガイダンス
  3.4.1 全体ガイダンス
  3.4.2 教室テーマ別ガイダンス
 3.5 小クラスにおける授業の設計・実施
  3.5.1 授業設計の際のポイント
  3.5.2 グループ活動を効果的に行うためのポイント
  3.5.3 授業を適切にマネジメントするためのポイント
 3.6 最終週の授業内容
  3.6.1 全体総括
  3.6.2 各種の授業アンケート
 3.7 配慮が必要な学生への対応
 3.8 学生アンケートに基づく科目の自己アセスメント
  3.8.1 科目専用アンケートの調査方法と内容
  3.8.2 探究的分析
  3.8.3 検証的分析:グループ学習経験の効果
  3.8.4 検証的分析:教室テーマ選択の効果
 3.9 今後の展望
 授業実施例①データ・データ・データ(How we make decisions)
  教室テーマと大クラスでの授業について
  協学課題1「良い選択ってなんだろう? 数理モデルの視点から考える」
   1.教室テーマと協学課題の関係および授業の基本的な設計
   2.各週の実践
   3.結果、評価、反省など
  協学課題2「意思決定における思考と感情の役割」
   1.教室テーマと協学課題との関係
   2.授業の基本的な枠組
   3.各週の実践
   4.授業の学習効果と反省点
  協学課題3「データが先? 主張が先?  価値観にさかのぼって考える」
   1.教室テーマと協学課題の関係
   2.授業の基本的な枠組
   3.授業各回の具体的な活動
   4.学生からのフィードバックを受けて
 授業実施例②「大問題」から育てるアクティブ・ラーナー
  教室テーマと協学課題の関係
  各週の実践
  学生からの反応と反省
 
第4章 基幹教育の今後の展望  文理分断からの脱却を目指す包括的な教育システムへ  
 
 4.1 初年次からの文理融合教育の実践
 4.2 リベラルサイエンスという新科目の構想
 4.3 高年次課題協学科目の可能性
 4.4 大学院基幹教育の拡充
 4.5 今後の課題
  4.5.1 アクティブ・ラーニング教育のさらなる高度化
  4.5.2 4学期制への移行
  4.5.3 ディシプリン科目の見直し
 
 あとがき
 索引

著者紹介

九州大学基幹教育院 次世代型大学教育開発センターは、平成28年7月に基幹教育院が文部科学省

教育関係共同利用拠点「次世代型大学教育開発拠点」として認定されたことに伴い、拠点事業を

担う組織として発足しました。

この拠点事業では、

 ・科目の壁を越えて、科学の基礎的な観点や共通する方法論を基盤とした授業開発や教育

  改善を推し進める基幹教育院の組織文化を活かした、リベラルサイエンスの取組を行う

 ・大学院生や新任教員を中心に、教育に関する職能開発のFDを行う

 ・大学諸活動の現状把握やそれに基づいた方針策定を支える人材を養成するプログラム

  開発や研修を行う

という3つの目的を掲げ、それぞれを「リベラルサイエンス教育開発モジュール」「大学教職員

職能開発モジュール」「専門的職員養成モジュール」が担う体制を採っています。

各モジュールが、他機関などと協力しながら、公開体験授業や人材養成研修の企画・運営を行う

とともに、基幹教育院に限らない九州大学内の優れた教育実践を学内全体や他大学に紹介し、大

学教育の更なる活性化とパワーアップを図る場(セミナー・講演会など)の提供も行っています。

学術図書刊行助成

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