リトルリーグの社会学 前青年期のサブカルチャー

著者名
ゲイリー・アラン・ファイン/住田正樹 監訳
価格
定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-87378-985-9
仕様
A5判 並製 360頁 C3037
発行年
2009年7月
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内容紹介

リトルリーグ・ベースボールの5リーグ10チームを対象に,3年間にわたって参与観察調査とインタビュー調査を実施して,アメリカの前青年期の少年たちの社会化過程を解明していったエスノグラフィー研究。子どもの道徳的社会化,少年下位文化,性と攻撃性,アイデンティティという前青年期問題を取り上げて分析するとともに,小集団研究,シンボリック相互作用論,質的調査法に新たな視点を提供する。

目次

 はじめに
 凡例
序章
  1 野球  アメリカのシンボル
  2 リトルリーグの世界
  3 前青年期の子どもの世界
  4 調査設計
第1章 リトルリーグと成人組織
  1 人的資源
  2 環境
  3 ルールと裁定
  4 指導者としてのコーチ
  5 観客としての親
  6 結論
第2章 スポーツと遊びのリトルリーグ
  1 労働としてのリトルリーグ
  2 遊びとしてのリトルリーグ
  3 労働という性格/遊びという性格
第3章 道徳的社会化(1)  大人による社会化  
  1 大人と子どもの社会化
  2 道徳的秩序の描写
  3 大人による道徳的秩序の社会化
第4章 道徳的社会化(2)  仲間による社会化  
  1 適切な感情
  2 自制心
  3 勝利の渇望
  4 前青年期の社会的結束
  5 選手はコーチを評価する
  6 仲間の社会化
第5章 子どもの性と攻撃性
  1 前青年期
  2 前青年期における性
  3 前青年期の攻撃性
  4 発達の必須要件の社会的性質
第6章 子どもの文化と小集団活動
  1 独自の文化(idioculture)としてのリトルリーグ野球チーム
  2 独自の文化の内容
  3 集団のメンバーシップに関する尺度としての独自の文化
  4 リトルリーグの独自の文化の創造と持続
  5 独自の文化の比較
  6 チーム
  7 チームの文化
  8 地理的距離
  9 文化および構造に対する文化の影響
第7章 子どもたちのサブカルチャー
  1 共通の文化的内容
  2 文化の拡散
  3 同一化
第8章 子ども・スポーツ・文化
  1 社会化
  2 労働と遊び
  3 文化という縦糸
  4 まとめ
補論1 リトルリーグの活動効果
  1 リトルリーグの利点に関する主張
  2 リトルリーグに対する批判
  3 まとめ
補論2 子どもの集団活動と参与観察
  1 調査者とエスノグラフィーの対象者との関係性
  2 調査者の役割
  3 調査者の個性
  4 倫理的問題に関する大人の役割
  5 子どもとのラポールとアクセス
  6 子どもが用いる言葉の社会的意味に関する大人の理解
補論3 調査の設定とデータ収集の方法
  1 コミュニティ
  2 データの収集方法
 訳注および注
 監訳者あとがき
 参考文献
 索引

著者紹介

ゲイリー・アラン・ファイン(Gary Alan Fine)
1950年生まれ。
1972年ペンシルバニア大学卒業,1976年ハーバード大学から社会心理学の博士号取得。
その後,ボストン大学講師,ミネソタ大学助教授,ジョージタウン大学教授を経て,
本書執筆時の1987年はジョージア大学社会学部教授。
1997年からはノースウェスタン大学社会学部教授。

住田正樹(すみだ まさき) (はじめに,序章,第1章)
東京大学大学院教育学研究科博士課程退学(教育社会学専攻)
放送大学教授・九州大学名誉教授 教育学博士
[専攻] 教育社会学,発達社会学
[主要著書]
『子どもの仲間集団の研究 第2版』(九州大学出版会,2000)
『地域社会と教育  子どもの発達と地域社会  』(九州大学出版会,2001)
『子どもたちの「居場所」と対人的世界の現在』(共編著,九州大学出版会,2003)

田中理絵(たなか りえ) (第3章,第4章)
九州大学大学院教育学研究科博士課程修了(教育社会学専攻)
山口大学准教授 教育学博士
[専攻] 教育社会学,発達社会学
[主要著書・論文]
『家族崩壊と子どものスティグマ 新装版  家族崩壊後の子どもの社会化研究  』(九州大学出版会,2009)
「家族崩壊と子どもの社会化:家族崩壊の意味づけ」住田正樹・多賀太編著『子どもへの現代的視点』(北樹出版,2006)
『人間発達論』(共編著,放送大学教育振興会,2009)

横山 卓(よこやま たかし) (第5章)
九州大学大学院人間環境学府博士後期課程(教育社会学専攻)
福岡女子短期大学講師
[専攻] 教育社会学,逸脱行動の社会学,地域社会と教育
[主要著書・論文]
「少年の非行・被害と地域組織活動  地域住民の意識と活動参加の様態  」九州大学大学院人間環境学府編,九州大学大学院教育学コース『飛び梅論集』創刊号,2001.
「地域における子どもの人間関係  地域の大人との関係を中心に  」日本子ども社会学会編『子ども社会研究』8号,2002.
「地域住民の少年非行観  自由記述の分析を通して  」住田正樹・多賀太編著『子どもへの現代的視点』(北樹出版,2006)

東野充成(ひがしの みつなり) (第2章(共訳),第7章,第8章,補論1,補論2,補論3)
九州大学大学院人間環境学府博士後期課程修了(教育社会学専攻)
九州工業大学大学院講師 教育学博士
[専攻] 教育社会学
[主要著書・論文]
「モデルの身体と現代少女文化」住田正樹・多賀太編著『子どもへの現代的視点』(北樹出版,2006)
『子ども観の社会学』(大学教育出版,2008)
「青年の自立・キャリア形成のために」神山敬章・高島秀樹編『生涯学習概論』(明星大学出版部,2009)

山瀬範子(やませ のりこ) (第2章(共訳),第6章)
九州大学大学院人間環境学府博士後期課程(教育社会学専攻)
四国大学短期大学部助教
[専攻] 教育社会学,保育学,教育と家族
[主要著書・論文]
「『少子化社会対策基本法』立法過程にみる子ども観」(共著)『保育学研究』第44巻第2号,2005.
「父親の育児行為とは何か?  一般的認識と父母の認識とのずれと一致  」住田正樹・多賀太編著『子どもへの現代的視点』(北樹出版,2006)
「『育児』概念の捉え直しの試み  〈父親の育児参加〉をめぐって  」『九州教育社会学会研究紀要』創刊号,2008.

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