森林親和運動としての木育
- 定価 5,720円(税率10%時の消費税相当額を含む)
産業構造の変化や木の代替物の出現などにより、木の持つ価値や森林の果たす役割の大切さへの関心が失われ、森林と日本人との関係がかつてないほど遠のいてしまった時代を経て、現在は木や森林が我々の生活にもたらす豊かさが再認識されつつある。本書はそんな時代背景のなか、先進地熊本で実践されている「木育」を紹介するものである。著者らは2007年に任意団体「熊本ものづくり塾」を設立し、さまざまな木育イベントを年間2万人に提供しているほか、木育を担う人材の養成講座を開催し、これまで1,600名余の木育推進員を輩出し...

中世、ロワール川のほとりで聖者たちと。
- 定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は、フランスの中世社会においてキリスト教がどのように浸透していったのか、を読者と一緒に学ぶために編まれたものである。ここでは、中世の人々が日々目撃していた聖者やその聖遺物が起こす奇蹟に注目し、聖者文学のなかでも特に伝記と奇蹟譚を選び、その邦訳を試みた。歴史学者である訳者が専門とするロワール川流域において、4世紀から12世紀にかけて活躍した7名の聖者が取り上げられており、通読すれば、800年の間における人々の日常生活や信仰、聖者文学の様式や内容の変遷なども分かるように構成されている。何編もの聖...

A Grammar of Irabu
- 定価 11,000円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は,南琉球宮古伊良部島方言(沖縄県宮古島市)を体系的・包括的に記述した文法書である。消滅の危機にあるこの言語の構造と体系は,すべての言語学者を惹きつける魅力にあふれている。子音が母音のように,母音が子音のようにふるまう複雑な音節構造。フット構造をベースとしたトーンの交替が生み出す韻律システム。「語とは何か」を考えるきっかけを与えてくれる音韻論と形態論のミスマッチ。人称と数では十分に記述できない代名詞体系。複数の品詞を縦横無尽にまたぐ複雑怪奇な「形容詞」。節のアスペクトをも標示する格標識。情報...

老いる経験の民族誌
- 定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
人は誰でも老いてゆく 。 本書は高齢化の進む沖縄離島の事例をもとに、歴史的・地域的文脈のなかで「老いる」という誰しもの経験を、文化人類学的な視点から考察することによって、高齢社会における新たな議論の糸口を提示しようとするものである。 本土とほとんど変わらない高齢者への認識がある一方で、沖縄独特の長寿文化や長幼の序、高齢女性の宗教的な高いステイタスは以前のそれとは変化しながら存在し、文化的な基盤は人びとの日常と深く関係している。近代医療だけでなく民間療法とも付き合いながら自らの身体的な衰えと向...

移民とドイツ社会をつなぐ教育支援
- 定価 4,620円(税率10%時の消費税相当額を含む)
異なる文化的背景を持つ他者にどのように向き合い、そして共に生きていくのか。本書は、多文化社会ドイツにおける移民家庭への教育支援を事例に、教育支援がいかに移民とドイツ社会をつなごうとしているのか、またつなぐ契機となっているのかに注目し、異文化間教育の視点から考察したものである。移民がもたらした多文化社会という現実に、異文化間教育学の理論、移民の統合に関わる政策、そして教育支援の実践はいかに向き合ってきたのか。ノルトライン・ヴェストファーレン州における地域移民支援機関(RAA)に注目し、文献研究とフ...

舞台芸術マネジメント論
- 定価 3,520円(税率10%時の消費税相当額を含む)
音楽や舞踊、演劇に代表される舞台芸術は、アーティスト(演奏家)と聴衆が「その時間」「その場」を共有するという点で、他の芸術とは異なる運営上の特色や難しさを有している。本書は、舞台芸術の中でも特に音楽に焦点をあて、「芸術」(art)概念が変化した現代において、その魅力を、より多くの(かつ多様な)聴衆といかに共有できるかという観点から、人的体制のあり方や、運営を担うマネジメント人材の育成のしくみ作りについて、具体例をもとに論じる。コンサート(音楽祭、プロジェクトなど)の効果的な運営のあり方や、望まし...

On Weak-Phases
- 定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は、生成文法のミニマリストプログラムにおけるフェイズ理論の理論的問題点を指摘し解決することにより、フェイズ理論のさらなる発展に貢献するものである。生成文法は、人間の持つ言語機能の本質を見極め人間言語における普遍文法の特性を解明するという目標のもとに進展を続け、現在ミニマリストプログラムと呼ばれる研究局面に至っている。特に2000年代から現在にかけては、文の派生をフェイズという単位ごとに分割するフェイズ理論のもと、更なる革新的な発展が得られてきた。しかしながら、現行のFeature-Inher...

魯迅
- 定価 6,380円(税率10%時の消費税相当額を含む)
「芸術的完成さでは魯迅のあらゆる作品中で第一位を占める」(竹内好『魯迅入門』)。この言葉に象徴されるように、散文詩集『野草』は中国近代文学史上最高の文学者たる魯迅の最高傑作として称えられてきた。本書はこの作品集を中心に、全く新たな観点から魯迅の文学を捉え直すことを試みる。例えば、タイトルの『野草(Ye-cao)』は日本語訳としても同じく『野草』とされてきたが、よりふさわしい日本語訳として初めて"雑草"を提起する。高潔で凜とした"野草"のイメージに反して、魯迅自身は実際にはそこに日本語"雑草"の大...

麻生太吉日記 第五巻
- 定価 11,000円(税率10%時の消費税相当額を含む)
1932(昭和7)年から1933(昭和8)年までの日記。満州事変を契機に日本が国際社会から孤立を深めるこの時期,太吉も電力連盟や九州石炭鉱業懇話会の設立など,経済の統制化に関わらざるを得なくなる。セメント事業への本格参入の足掛かりとなる産業セメント鉄道の設立後に病臥し,12月8日永眠。享年77歳。この第五巻には,太吉生涯の年譜・参考文献・詳細な総索引も収録した。 (さらに…)

レコンキスタと国家形成
- 定価 7,040円(税率10%時の消費税相当額を含む)
レコンキスタ 800年に渡るイスラームとの接触と対峙 は,スペインの政治と社会にどのような性格を与えたのか。19世紀末からの,スペイン学界,またフランス学界や英米学界における中世スペイン史の研究動向を網羅的・批判的に検討し,レコンキスタが最も激しさを増した12世紀を中心に,「グレゴリウス改革の影響」「王権と司教座」「王権と騎士修道会」「教会領主と農民」「教会とイスラーム教徒住民」など,多様な論点から史料に基づいて解き明かす。中世のスペインでは,アストゥリアス王国やその後身のカスティーリャ・レ...
