人文科学 歴史・地理
筑肥国境脊振山争論文書
- 〔品 切〕(参考:本体価格 2,400円)
江戸時代,天和,貞享,元禄年間にわたって筑前と肥前が争った脊振山の境界論争は,元禄六年,幕府の評定所による裁許により肥前側の全面勝利という形で決着をみた。この争論に関しては,福岡藩が完敗したためか福岡側には文書がほとんど残っておらず,これまでは佐賀側のいわば勝者側の史料によって考察するほかなかった。 しかし今回,実際に折衝にあたり,情報の収集にあたった筑前側の村の史料が発見された。この史料は,肥前側当事者および福岡藩との間で交わされた文書,私人または百姓代表から庄屋への情報等,多岐にわたる。この...
城郭の縄張り構造と大名権力
- 〔品 切〕(参考:本体価格 17,000円)
徳川政権創立期は,戦国期抗争の拠点となった土豪・国人層の多数の城郭が整理・統合され,全国規模での本城・支城の再編が行われた時期である。当期社会が国民全体を軍役システムの体系の中に位置付ける国家であったと認識した場合,大名領国の本城・支城の縄張り(曲輪・堀・土塁・石垣等から造られた城郭の形)の構造にこそ,社会の実像が最も端的に投影されているものと考えられる。それにもかかわらず,戦国・近世史研究で,城郭遺構が史料として正当に扱われることは殆どない。当然ながら,城郭遺構自体は,文字史料のように事象を事...
フランス・インド会社と黒人奴隷貿易
- 定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書では,18世紀フランス重商主義政策の具現であるインド会社に着目し,その独占事業であった黒人奴隷貿易の制度的基盤と実務を考察する。官僚主導型の会社組織と実業界との結合を析出すると同時に,西アフリカにおけるフランス商業圏の確立を明示し,近世フランス国際商業の発展を解き明かす。 (さらに…)
フランス絶対王政と領主裁判権
- 定価 6,380円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本刊行物は,故志垣嘉夫氏(元九州大学大学院比較社会文化研究科科長)の多数の論考の中から,「アンシアン・レジーム期フランスの領主裁判権」に関する労作を選び出し,まとめたものであって,我が国の西洋近世国制史研究に多大な寄与をなすことが期待されうる著作である。その章別構成は,氏が生前自ら構想しておられた博士論文の草稿(未完)にほぼ依っている。本著作は,刊行・未刊行史料の緻密な分析に基づく本格的な実証研究の成果である。その意図するところは,アンシアン・レジーム期における王権の伸長を過度に強調する通説...
中・近世西欧における社会統合の諸相
- 定価 9,020円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本論文集は,中・近世西欧において社会諸層がそれぞれの属する共同体や領主制の枠組みを越え多様な回路で取 結ぶ複合的な関係を,「社会統合」のキーワードのもと,「都市・農村関係」,「領主制」,「生産・流通」,「権力構造」の4側面につき実証的に読み解くことを狙いとしている。 (さらに…)
認知考古学の理論と実践的研究
- 〔品 切〕(参考:本体価格 7,000円)
認知考古学はプロセス考古学とポストプロセス考古学の対立を超える21世紀の新パラダイムとなる可能性をもつ。本書は,伝播論や形式学などの考古学における普遍的かつ基本的問題に関わる理論的枠組みを認知的視点から再構築することをめざす著者が,認知考古学とは何かを日本考古学の資料を用いて世に問う本格的理論と実践の著である。 (さらに…)
ヨーロッパ中世古文書学
- 定価 15,400円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書はヨーロッパ古文書学の父,フランス実証主義史学の確立者として知られるジャン・マビヨン(1707年没)の主著に関する世界で最初の現代語訳である。著者は17世紀の戦乱による史料の散逸と誤った準則の横行を前にして,「文書は古ければ古いほど疑わしい」とする通説と闘うため,そして「歴史は正しく保存されない限り死滅する」との固い信念から,デカルトの新しい合理的方法論に基づいて,真偽判別の要素を文書の材質,書体,文体,下署,印章,日付事項に分類し,総合的視点から新しい準則を導き出すことに成功,ここに近代...
西海捕鯨の史的研究
- 定価 9,350円(税率10%時の消費税相当額を含む)
平戸藩生月島の益冨組を軸とする江戸期の捕鯨組識である鯨組経営の実態や,維新後のわが国捕鯨業の衰退・転換過程のなかで設立された捕鯨会社の経営実態の特質を分析する。また,鯨組主益冨氏の捕鯨業全般を記した絵と文章で構成された『勇魚取絵詞』の成立の経緯とその意義を究明する。 (さらに…)
イギリス関税改革運動の史的分析
- 定価 7,150円(税率10%時の消費税相当額を含む)
20世紀の初頭,パックス・ブリタニカ体制の中心国イギリスで関税改革運動=論争が高揚した。イギリス商業界の政策志向を分析しつつ,チェンバレンの帝国構想に接近し,世紀転換期におけるイギリス帝国主義の特質を解明する。
近世の地方金融と社会構造
- 定価 11,000円(税率10%時の消費税相当額を含む)
江戸期における九州の金融中心地,豊後日田の金融資本「日田金」の生成・発展そして没落過程から前近代における地域金融をとらえるとともに,金融を必要とする当時の社会構造を,藩政史・農村史など多方面から追求する実証的な地域金融史。