生意気盛り[新装版]

著者名
ジャン・パウル/恒吉法海 訳
価格
定価 9,400 円 (税別)
ISBN
978-4-7985-0250-2
仕様
A5判 上製 564頁 C1097
発行年
2018年9月
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内容紹介

『生意気盛り』はドイツの作家ジャン・パウルの代表的作品の一つで、初版完結は1805年のことであった。話の筋は、ある富豪が遺言で一人の夢想家の青年を包括相続人に指定することから始まる。この青年が実務能力を備えたとき遺産を継承すると遺言は定めてあるが、青年は詩人気質を矯正できない。助っ人にこの青年の双子の弟、放浪のフルート奏者が登場する。弟は諷刺家で、兄と一緒に抒情と諷刺の二重小説を書こうと提案する。話は次第に兄の実務能力養成から外れ、弟が背後で見守る兄の一人旅、最後にはこの双子の兄弟のある娘への恋愛葛藤に移って行く。

冒頭の富豪の本名はリヒター (ジャン・パウル)であり、小説の中の小説とか、一人の女性をめぐる双子の愛といった同一性の問題が全体の構成の軸となっている。同時にまた当時の時代、貨幣が人間の意識を支配していく市民の時代が、微細に観察されている。村の牧歌的にしてまた貧しい生活ばかりでなく、都市での多様な生活も描写され、貴族の生存様式に対しては愛憎半ばする対応がなされる。 最後の仮装舞踏会の場面は、ジャン・パウルらしい洗練されたパラドクシカルの愛の場面となっている。この場面は、特に音楽家シューマンに影響を与えていて、『パピヨン』との関連でよく論じられているものである。

目次

   第一小巻
 
第一番 方鉛鉱 遺書  葡萄酒[涙]店
第二番 チューリンゲンの白雲母 J.P.F.R.の市参事会員への手紙
第三番 ザクセンの魔法の土[鉄石髄」 二等賞の相続人選  スウェーデンの牧師
第四番 アストラカンのマンモスの骨 魔法のプリズム
第五番 鼠色の条紋を持つフォークトラントの大理石 先史
第六番 銅色ニッケル [全能なる]ヴルトのあれこれ
第七番 菫石 少年時代の小村  偉大な男
第八番 コバルト華 公証人試験
第九番 硫黄華 伸展詩
第十番 臭木 散文家達の去勢雄鶏の戦い
第十一番 黄櫨 陽気な混乱
第十二番 偽糸掛貝 曲馬
第十三番 輝かしい斑点を持つベルリンの大理石 誤認と認識
第十四章 分娩椅子の模型 エーテルの製粉所の計画  魔法の夕べ
第十五番 車渠貝 町  家具付き部屋
第十六番 珪藻土 詩人の日曜日
第十七番 紫檀 薔薇の谷

   第二小巻
 
第十八番 ウニの化石 ふくれっ面の精神
第十九番 泥灰岩 夏の時期  クローターの猟
第二十番 レバノン山脈のヒマラヤ杉 ピアノ調律
第二十一番 巨口貝あるいはヴィトモンダー 展望
第二十二番 サッサフラス[樟の根皮] ペーター・ノイペーターの誕生日
第二十三番 鼠色の木賊の寄せ集め クローターとグランツの卓話
第二十四番 輝炭 庭園  手紙
第二十五番 エメラルドの流れ 音楽の音楽
第二十六番 美しい帆立貝と化石の筍貝 諍うコンサート
第二十七番 シュネーベルクの剥石の晶簇 会話
第二十八番 雨降 新しい事情
第二十九番 粒の粗い方鉛鉱 贈与
第 三 十 番 ザクセンの毒砂 貴族についての会話
第三十一番 磨臼の目立て石 案
第三十二番 駝鳥の胃の中のヘラー硬貨 人間嫌いと後悔

   第三小巻
 
第三十三番 線条雲母 兄弟  ヴィーナ
第三十四番 毬 写字の時間
第三十五番 緑玉髄 夢想  歌唱  祈禱  夢想
第三十六番 帆立貝 夢想からの夢
第三十七番 えり抜きの晶簇 新しい遺言
第三十八番 透石膏 ラファエラ
第三十九番 貝蛸 旅立ち
第 四 十 番 ホウセキミナシ 旅館  旅の楽しみ
第四十一番 腰高貝 乞食の杖
第四十二番 虹色の長石 人生
第四十三番 磨かれた琥珀の柄 役者  仮面の紳士  卵ダンス  買い物する女
第四十四番 ザクセンの金雲母 冒険
第四十五番 猫目石 飲と食の賭け  少女
第四十六番 透明柘榴石 新鮮な一日
第四十七番 チタン 空想の[孤独な]カルトゥジオ修道院  洒落
第四十八番 放射状黄鉄鉱 ローゼンホーフの夜
第四十九番 葉状鉱 旅の終わり
第 五 十 番 ダックスフントの半分の膀胱結石 ハスラウの市参事会に対するJ.P.F.R.の手紙

   第四小巻
 
第五十一番 剥製の四十雀 旅と  公証人職展開
第五十二番 剥製の鶲 上品な生活
第五十三番 バイロイトのゲフレース近郊の十字架像石 債権者の狩猟図
第五十四番 スリナムのアイネイアス[子守鼠] 絵画  手形証書  果たし状
第五十五番 居嘴鳥 若きヴァルトの悩み  宿泊
第五十六番 飛鰊 伝記作者の手紙  日記
第五十七番 千鳥 二重生活
第五十八番 海兎 思い出
第五十九番 筍貝 校正  ヴィーナ
第 六 十 番 沢鵟 スケート
第六十一番 セント・ポール島のラブラドル[曹灰長石] ヴルトの意地悪な反論  除夜
第六十二番 シュティンクシュタイン 準備
第六十三番 チタン電気石[ルチル] 仮装舞踏会
第六十四番 ピラトゥス山の珪藻土 手紙  夢遊病者 
 
 訳注
『生意気盛り』解題
 解題補足 文献紹介
 あとがき

著者紹介

ジャン・パウル
 
ジャン・パウル(Jean Paul:1763-1825)はドイツの作家。ドイツ文学史上印税だけで生活し得た最初の作家とされる。本名はヨハン・パウル・フリードリヒ・リヒター(Johann Paul Friedrich Richter)であるが、筆名は敬愛したジャン・ジャック・ルソーにちなむ。それ以上に敬愛した作家は英国のスウィフトやスターンであり、諷刺家と感傷家の両面性を有する。バイロイト侯国の田舎の地で牧師の息子として生まれ、父の死後は家庭教師をしながら作家を目指した。『見えないロッジ』でモーリッツに見いだされ(1792年)、成功して行ったが、生誕の地や牧歌的子供時代への憧れは終生消えることがなかった。

恒吉法海(つねよし のりみ)
 
1973年、東京大学大学院独語独文学修士課程修了。
九州大学名誉教授。
 
著書
 『ジャン・パウル ノート』(九州大学出版会、1984)
 『続 ジャン・パウル ノート』(九州大学出版会、2003)
 
主要訳書
 ジャン・パウル『ヘスペルス あるいは四十五の犬の郵便日』(九州大学出版会、1997)第35回 日本翻訳文化賞受賞
        『ジーベンケース』(九州大学出版会、2000)
        『彗 星』(九州大学出版会、2002)
 ヘルマン・グラーザー、ヨーハン・シュレンク『ジャン・パウル エッセンス』(共訳、同学社、2012)

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