人文科学
賦霊の自然哲学
- 定価 9,680円(税率10%時の消費税相当額を含む)
物理学者フェヒナー、進化生物学者ヘッケル、そして発生生物学者ドリーシュ。本書はこれら実証主義的自然科学者としての出自を持つ3名が、「ネオ・ロマン主義的自然哲学者」へと変貌していく消息を追うものである。 自然科学は、ガリレオ・ガリレイに端を発する世界の数学的・数量的把握へと帰着する。フェヒナー、ヘッケル、ドリーシュはしかし、この数学的自然科学から出発しながら、世界の質を問う自然哲学へと移行する。フェヒナーは「植物の魂」の生活を語り、精神物理学から「物質に宿る魂」を導出、魂の存在とその不死を説く。ヘ...

Phase and Ellipsis
- 定価 7,480円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は、生成文法理論の極小主義プログラムに基づき、省略現象が統語的に認可される統一的なメカニズムを提唱するものである。提案するメカニズムでは、Chomsky (2007, 2008) の素性継承理論に従ってE素性 (Merchant (2001)) が選択的に継承されることにより、(i)フェイズ主要部の補部が省略されるタイプと、(ii)フェイズ全体が省略されるタイプ(非フェイズ主要部の補部の省略)の両タイプの説明の可能性を探る。これをもとに、「なぜ主要部の補部のみが省略可能なのか」という事実につ...

帝国陸海軍の戦後史
- 定価 4,400円(税率10%時の消費税相当額を含む)
近代日本のなかで主要な政治勢力の一翼を担った帝国陸海軍は、太平洋戦争の敗戦とともに「解体」を余儀なくされ、政治・社会の表舞台から姿を消した。しかし、このことは旧軍の政治的・社会的な一掃を意味せず、対日占領を挟む戦後史のなかで、一部の組織や制度は「再編」されて存続した。こうした過程を〈帝国陸海軍の戦後史〉としてとらえた場合、旧軍エリート(概ね終戦時に佐官級以上であった職業軍人)の政治的な言動は、どのように位置付けることができるのであろうか。 本書では、かかる問いに対して、三つの視点 ? GHQ...

ワードクエスト
- 定価 1,980円(税率10%時の消費税相当額を含む)
英語の学習はRPG(ロールプレイングゲーム)に似ています。技や呪文を覚え、敵を倒していくように、単語や熟語の意味を覚え、英文を攻略していく──。はじめのうちは単純な技と呪文(単語と熟語)で弱い敵(簡単な英文)しか倒せませんが、自身の能力を高めれば、もっと強い相手にも立ち向かえるようになります。しかし、冒険を進めるうちに敵(英文)は強力になり、徐々に苦しくなります。レベルを上げるには、さらなる経験値が必要で、忍耐力が試されます。高校までは、大学入試を目安として、必要となる単語のレベルはある程度基準...

アリストテレスの知識論
- 定価 4,950円(税率10%時の消費税相当額を含む)
古代ギリシアの哲学者アリストテレスの著作集には、「オルガノン(学問の道具)」と呼ばれる著作群が存在する。その1冊である『分析論後書』は、古来、アリストテレス哲学の方法論を提示する著作であるとみなされてきた。しかし、この書で展開される方法論については、『自然学』や『形而上学』を代表とする彼の他の著作において明示的に使用されていないという問題点がしばしば指摘される。この批判が正しいものであった場合、アリストテレス哲学における『分析論後書』の布置が見失われてしまうのではないか。本書は、『分析論後書』が...

日本における地政学の受容と展開
- 定価 4,070円(税率10%時の消費税相当額を含む)
地政学とは、一般に対外政策において地理的条件を重視する考え方のことを指し、20世紀初頭に国家と領土に関する学問としてスウェーデンの国家学者チェレーンによって提唱された。本書では、20世紀初頭における地政学の成立から第一次世界大戦後のドイツにおける興隆、英米における展開を辿ったのち、1920年代の日本における地政学の受容とその後の展開、さらには戦後の反省について検討した。1920年代の日本の地理学においては、新興学問としての地政学を地理学の一部として認めるか否かが議論され、概ね、地政学は地理学の一...

「昭和の大合併」と住民帰属意識
- 定価 4,620円(税率10%時の消費税相当額を含む)
住民の帰属意識は、「昭和の大合併」(1950年代)において、その賛否をいかに左右したのだろうか?本書はこの疑問を中心に据え、四つの合併事例(長野県上伊那郡宮田村、岡山県英田郡西粟倉村、福岡県筑紫郡太宰府町、奈良県天理市)を分析するものである。「昭和の大合併」は日本の第2次全国規模市町村合併政策であり、中央政府(とりわけ当時の自治庁)がこれを司法措置で推進した。住民帰属意識とは、自らが住まう地域等に対して住民が抱く意識、ローカル・アイデンティティのことである。分析の結果、三つの事例においてはこの帰...

出会いと雰囲気の解釈学
- 定価 5,280円(税率10%時の消費税相当額を含む)
雰囲気は、誰もが日常的に言及しうるが、実体をもたないために対象化を前提とする学問領域にとって取り扱いにくい事象・概念とされてきた。しかし人の経験や行為を扱う限り、ないがしろにすることも難しい。心理学においては、対象化しがたいものを対象化する方略によってこの難問を回避しようとした。しかしそれは、雰囲気の意味を不問に付すことにもつながった。本書は、小学校の参与を通じて、私達の生きているところやその日々にとって、雰囲気とは何なのかを問い、そのための方法を求めるものである。第Ⅰ部では、心理...

炭鉱と美術
- 定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
日本の近代化を支えた石炭産業。地下深くの坑道で体験した恐怖や不条理をキャンパスにぶつけた炭鉱夫がいた。生まれ育った故郷の炭鉱町の転変が創作の原風景となった美術家もいた。本書は、北海道、常磐、宇部、筑豊、三池の主要産炭地の盛衰の歴史の中で、彼らが展開した美術活動を読み解くものである。また炭鉱の職場サークルが従業員の芸術文化活動に対して担った役割や、地域のサークル活動との関係を明らかにすることで、産炭地における文化的土壌の形成過程が解明される。今日、炭鉱遺産は近代化産業遺産としても注目を集めており、...

監獄の近代
- 定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
明治政府は従来とは大きく異なる国家体制や法制度を整えながら近代化をめざした。明治の社会において、人びとは様々な自由と権利を獲得し経済発展による恩恵を享受した一方で、大きな社会変動にうまく適応できず、貧困に陥ったり、反政府活動や政治運動に身を投じたりするなどして犯罪者となり、監獄に収容されることも決して珍しくなかった。かかる犯罪者を社会から隔離し、更生させ、再び社会復帰させる場としての監獄の諸制度も作られていった。新たな時代の監獄を、明治社会のなかでどのように位置づけていくのか。監獄行政に携わった...
