人文科学
Eugenics in Japan (日本の優生学)
- 定価 3,080円(税率10%時の消費税相当額を含む)
優生学は近代生物学の生成過程で誕生し,不幸にもナチス・ドイツに利用され,一つの極端な形で現実化する。我が国においても,明治維新以来,富 国強兵に役立つ欧米の近代科学や思想が導入され,独自の優生政策として結実した。ハンセン病患者隔離政策はその一例であり,1990年代に至るまで法的強 制力をもって実施されてきた。本書は,我が国における優生学思想の沿革と政策化の過程を欧米各国のそれと比較しながら解明するものである。 日本人読者にも分かりやすい平易な英文で叙述されているほか,重要項目(人名・文献名・法案...
呂太后期の権力構造
- 定価 3,960円(税率10%時の消費税相当額を含む)
前195年,中国史の礎を築いた漢王朝の劉邦没す。その後に生じた皇帝未亡人呂太后とその一族と,劉氏一族・家臣団の間に生じた権力闘争とその結末として起きた「諸呂の乱」の真相とその背景を,史書を徹底的に読み込むことで解明する。書き換えられた漢帝国初期の歴史がいま甦る。 (さらに…)
朝鮮中近世の公文書と国家
- 定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
朝鮮中近世(おおむね高麗・朝鮮時代に相当/10世紀初から19世紀末)における重大な変革期のひとつとして,高麗が事元(モンゴルへの藩属)した13世紀半ばから,朝鮮王朝の基礎が整えられる15世紀初までの期間が挙げられる。「高麗事元期」「朝鮮初期」と称されるこの時期には,王氏高麗から李氏朝鮮への易姓革命が起こり,政治・社会・文化の各方面で深甚な変化が生じている。この影響は,当然,文書制度にも及んでおり,文書の有する様々な要素が大きく変貌を遂げた。このように,高麗事元期から朝鮮初期にいたる約二百年間は,...
継承されるキリスト教教育
- 定価 4,840円(税率10%時の消費税相当額を含む)
西南学院史における教育者群像の分析,波多野培根から村上寅次への教育精神の継承,そして現在の教育現場の描写を軸にしてキリスト教教育の歴史を繙く。西南学院百年の歴史を底流から照らし出した必携の書。 (さらに…)
始めから考える
- 定価 5,280円(税率10%時の消費税相当額を含む)
20世紀を代表する哲学者ハイデッガーは、終生「存在」を考えたと言われる。しかし何事も、有名であるからと言って、それがよく理解されているとは限らない。ハイデッガー哲学の主題である「存在」も、そういうものの一つである。一般人は「存在」など分かり切ったことだと思っているし、哲学研究者は、有名なハイデッガーが言っているのだから、「存在」はきっと重要な問題に違いないと信じている。いずれの場合も、「存在」がどういう問題なのかは、ハイデッガーの努力に反して、ハイデッガーの登場後も、容易に見逃されてしまうのであ...
言語学からの眺望 2013
- 定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
意味論・語用論,統語論,音韻論など様々な視角から総合的な言語研究を行う26編の論文集。福岡言語学会創立40周年記念。 (さらに…)
古代東アジアの知識人 崔致遠の人と作品
- 定価 5,280円(税率10%時の消費税相当額を含む)
『古代東アジアの知識人崔致遠(さいちえん)の人と作品』(九州大学韓国研究センター叢書2)は九州大学教育研究プログラム・研究拠点形成プロジェクト(P&P/B2)として採択された「崔致遠撰『桂苑筆耕集』に関する総合的研究」(平成十三年度~ 十四年度)と科学研究費補助金(基盤研究〈B〉平成十七年度~ 平成十八年度)「朝鮮古代の文人官僚・崔致遠の人と作品に関する歴史文学的研究」の研究成果を選択的に整理し編集した論集である。 二つの研究プロジェクトの課題は、日本の東洋学の成果に基づき、朝鮮学の研究...
麻生太吉日記 第三巻
- 定価 11,000円(税率10%時の消費税相当額を含む)
大正後期から昭和への改元を見るこの時期は、麻生太吉にとっても多難な時期であった。第一次大戦の反動不況に加え関東大震災の発生による経済不況に対応すべく三井・住友等と連絡を図りながら福岡県下の中小銀行の合同や信託銀行の設立を企図した。他方、炭鉱事業においては鈴木商店系の炭鉱を傘下におさめ、セメント事業の展開のため鉄道輸送の充実展開を図った。麻生太吉が主要な役割を果たした九州水力電気は宮崎県・熊本県へ進出している。政治的にも貴族院議員の辞職、政友会の分裂の中で、程度大切油断大敵を心に刻んでいる。 (さ...
リヒトホーフェン日本滞在記
- 定価 3,740円(税率10%時の消費税相当額を含む)
幕末から明治初期に日本を訪れ,滞在記や日本および日本人に関する著作を著した外国人は数多い。R. オールコックやE. サトウのような英国人外交官の諸著作が有名であるが,本書のようにドイツ人の著した滞在記は珍しい。本書は幕末の1860年と明治初年の1870年の二度にわたり訪日を果たした,プロイセン出身の近代地理学の大家フェルディナント・フォン・リヒトホーフェン(1833~1905)が日本滞在中の体験を記した日記の翻訳である。一度目目の滞在記では江戸とその周辺の印象,幕府との条約締結交渉の過程や攘夷に...
フィヒテの社会哲学
- 定価 8,580円(税率10%時の消費税相当額を含む)
グローバル時代,多元的な世界の時代を迎え,カントの法哲学が復権され,ヘーゲルもまたネオ・プラグマティズムからのアプローチによって再発見されつつある。しかるに両者の中間にいたフィヒテは,ドイツ・ナショナリズムの悪しき煽動者,国粋的な国家主義による全体主義社会の思想家,ナチズムの起源の一人として,依然として闇に葬られたままである。その理由の一つは,フィヒテの社会哲学を総体的に見ようとせず,自分の政治的立場に都合のよい文言だけをつまみぐいして,フィヒテの思想だと述べてきた研究者たちの姿勢にもあるだろう...