カトリック信徒の移動とコミュニティの形成潜伏キリシタンの二百年

著者名
叶堂隆三
価格
定価 8,000 円 (税別)
ISBN
978-4-7985-0244-1
仕様
A5判 上製 450頁 C3036
発行年
2018年9月
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内容紹介

2018年7月、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」がUNESCOの世界遺産に登録された。その登録運動もあり、江戸時代において、現在の長崎市外海(そとめ)地区から五島に移住があったことは広く知られている。実際には外海からは五島に限らず黒島や平戸島、北松浦半島の九十九島の半島、長崎港沖の島嶼にも移住が生じ、これらの地からさらなる移住が生じた結果、長崎県内に多くのカトリック信徒の集住地が形成されることとなった。こうした信徒の移住は長崎県外にも展開され、福岡県や宮崎県に長崎の信徒の「飛び地」が存在している。

本書は、江戸後期から明治期になぜ長崎の信徒の移住が頻繁に生じたのかを国内外の移動や移民研究の観点を用いて解き明かし、いわゆるキリシタン・ロマンの霧に隠れている、信仰と生業を基盤とする信徒の暮らしと移住の背景を明らかにするものである。信徒の移住の中には、明治期には外国人神父の宣教戦略が、大正・昭和期以後には国の開拓政策や地域政策が、それぞれ関与したものも含まれている。今日、歴史のひだに埋もれつつあるこうした事実を、残存する諸資料と現地での聞き取り調査等を通して明らかにしていく。

長崎の潜伏キリシタンとその子孫の「旅」の足跡を辿り、信徒が山間や海辺の移住地に集落を形成し、教会を設立してきた数世代に及ぶ生活を社会学の視点から解明する。

目次

 序
 
第1章 長崎のカトリック信徒の移動
       他出の背景とコミュニティ志向性  
 
 第1節 長崎の信徒の移動  ディアスポラと開拓移住  
 第2節 開拓移住の背景  農地の細分化と過剰人口  
 第3節 移動の特徴  コミュニティ志向性・社会資源・政策の関与  
 第4節 移住地の多様性  移住地の規模・信徒割合・土地所有の状況  
 第5節 移住の時期区分  第1次移住から第4次移住まで  
 
第2章 西彼杵半島と第1次移住地
       移住世帯の母郷と江戸期の移住地  
 
 第1節 長崎市外海  他出の背景とド・ロ神父の開拓事業  
 第2節 新上五島町  地域内の条件不利地への移住と他出  
 第3節 佐世保市黒島  大規模な移住と集落社会の維持  
 
第3章 長崎市の半島と長崎港外の島嶼
       佐賀藩領の第1次移住地  
 
 第1節 長崎市の地域状況  長崎市への信徒の移住  
 第2節 小榊  島から半島に逆スプロールした居住の展開  
 第3節 小ヶ倉大山町・深堀善長谷  山地の購入と佐賀藩の賦役  
 第4節 伊王島町(馬込・大明寺)  信徒の増加と開拓地  
 
第4章 平戸島への移住と居住地の展開
       第2次移住地と新たな移住の発生  
 
 第1節 平戸島中南部  集落単位の移住の特徴と居住の多様性  
 第2節 平戸島大久保半島・古江半島  居住における同郷性と他出傾向  
 
第5章 北松浦半島への移住と居住の展開
       第2次移住地と生産基盤の転換  
 
 第1節 佐世保市矢岳神崎  生産基盤の転換と世帯の増加  
 第2節 佐世保市長串褥崎  水産業の隆盛と新たな移動の発生  
 
第6章 教役者主導の開拓移住とその展開
       第3次移住地と第4次移住地  
 
 第1節 平戸市田平地区田平  多様な来住形態と出身地別の居住の展開  
 第2節 平戸市田平地区と松浦市の開拓地  田平からの居住の拡大と家族状況  
 第3節 大村市竹松  児童施設の設立と信徒の居住の展開  
 第4節 平戸島紐差地区木ヶ津(坊主畑)  ド・ロ神父主導の移住地の比較  
 第5節 福岡県行橋市新田原  トラピスト修道院の進出と連鎖的移動  
 
第7章 都市(近郊)への農業移住と炭鉱における家族形成
       第3次移住地  
 
 第1節 佐世保市の都市と産業の展開  軍事都市における農業需要  
 第2節 佐世保市への信徒の移住と居住の展開  明治・大正・昭和初期  
 第3節 平戸市平戸  平戸島への後発的移動  
 第4節 諫早市  無線局の配置転換と信徒の増加  
 第5節 佐世保市北松地区  産炭地への移住と家族形成  
 
第8章 第二次世界大戦前の国の政策と開拓移住
       第4次移住地  
 
 第1節 開拓政策
 第2節 宮崎市田野法光坊集落  長崎の信徒の連鎖的移動と定住  
 第3節 福岡市西区能古島(大泊)  共同建造物をめぐる島内の対立  
 
第9章 第二次世界大戦後の農業政策・地域政策と移住・集落移転
       第4次移住地  
 
 第1節 佐世保市・平戸市・大村市  自作農創設特別措置法に基づく開拓地  
 第2節 福岡市城南区茶山  小作地の開放と五島出身者の集住  
 第3節 上五島町青方  過疎地域対策緊急措置法に伴う団地の誕生  
 
第10章 結 論
       カトリック信徒の移動における類縁関係の関与とモダニティ  
 
 第1節 信徒の農村間移動に関する基本的視点
 第2節 信徒の移動の社会的特徴
 第3節 日本の近代化と長崎の信徒の開拓移住
 
 文献一覧
 あとがき
 索 引

著者紹介

叶堂隆三(かなどう りゅうぞう)
 
1990年、早稲田大学文学研究科博士課程後期単位取得退学。
現在、下関市立大学教授。博士(学術、山口大学)。
 
著 書
「山の教会」・「海の教会」の誕生』(九州大学出版会、2018 年)
五島列島の高齢者と地域社会の戦略』(九州大学出版会、2004 年)

学術図書刊行助成

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