日本式教育の海外展開とインパクト
- 定価 5,280円(税率10%時の消費税相当額を含む)
高等専門学校いわゆる「高専」は近年、アジア各国で注目され、高専をモデルにした教育機関が相次いで設立されるようになっている。海外展開については日本の高専も積極的な支援や協力をしており、KOSENは高専教育の代名詞ともなっている。また学力の習得に加えて徳育を重んじる日本の教育内容や教育方式は、海外で高く評価され、日本式の国際学校も設立されている。こうした日本式教育の輸出と輸入に際しては、受入国の教育文化風土を尊重するともに、受入国の教育行政においては日本式教育をベースにしながらも、自国の伝統を踏まえ...

人新世とツーリズム
- 定価 4,950円(税率10%時の消費税相当額を含む)
人新世とは何か。 今や、自然科学だけではなく社会・人文科学の分野から人新世に関する議論が活発になっている。本書は、「人新世という時代に私たちはいかに生活し、地球システムをいかに維持していくべきか。また、地球を改変する力、営力となったツーリズムは人新世時代にどう向き合うべきか」を問うたものである。 第1部「人新世という時代」では、人新世議論の発端となった2000年、2002年のクルッツェンらの報告を紹介し、産業革命以後の人新世時代を3つのステージに分けて、その歴史的変遷を概観する。そして、クルッツ...

分権国家スイスの制度改革
- 定価 5,940円(税率10%時の消費税相当額を含む)
スイスにおいて連邦主義の新たな活性化策(「連邦政府とカントンの間の役割分担と財政調整の再構築」)が2008年から実施されている。その四支柱は、連邦政府とカントン(州政府)の間での役割分担の再構築、連邦政府とカントンの間の垂直的連携、州政府間の水平的連携、垂直的・水平的財政調整である。本著では、制度の紹介と初期成果の分析に焦点を置いている。 改革に当たっての基本的な方針は、カントンの主体性の確保、補完性の原則、財政一致の原則(意思決定者・受益者・費用負担者を一致させること)、中立性の原則(四支柱の...

タマリンドの木に集う難民たち
- 定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
2013年12月、南スーダンの首都ジュバで生じた政治家同士の対立がもととなった武力衝突は、瞬く間に南スーダン全土を巻き込む内戦と化した。一民族をターゲットとした「ジュバ虐殺」の後、人々は国家から押し付けられた「民族対立」の中を生きている。今なお200万人以上の南スーダン人が、国内外で難民としての生活を余儀なくされている。 「ジュバ虐殺」から10年 虐殺を生き延びた南スーダン、ヌエル社会の人々は、隣国ウガンダで難民としての新たな生を営み始めた。難民とは、果たして私たちがイメージするように、脆弱で...

長崎平戸の宗教地誌
- 定価 5,940円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ユネスコの世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」には、九州北西部の島々が多数含まれている。これらの島々には長い間、「二つのキリスト教」が存在してきた。その島の一つが、長い歴史の中で世界と直接繋がり、日本史の表舞台にもたびたび登場してきた長崎県の平戸島である。 平戸島とその周辺地域には、在来の神道や仏教の諸宗派はもちろんのこと、かつての潜伏キリシタン、カトリック教会、修験道の山伏、琵琶法師の一流派、新興宗教系のシャーマンなど、実に魅力的で多種多様な宗教的要素が今日まで複雑に同居してきた...

焚き火の脳科学
- 定価 1,760円(税率10%時の消費税相当額を含む)
コロナ禍にキャンプにハマり、焚き火の魅力にとりつかれた脳科学者。焚き火に癒やされた彼は、この癒やしを自分の専門である脳科学で解明できないかと考え、焚き火に当たりながら自分の脳波を測定するという前代未聞の実験を思いつきました。脳科学の実験というものは、余計な刺激を遮断できるよう管理された環境下で行われるもので、自然の中でこんな実験をした科学者はいなかったのです。本書は、様々な困難を乗り越えてキャンパス内で脳科学実験を行い、これまで科学的に確かめられてこなかった焚き火の効果を明らかにしようとした科学...

溶融塩の性質と利用
- 定価 9,900円(税率10%時の消費税相当額を含む)
溶融塩は、高温安定性、酸素や水蒸気との低反応性、水と同程度の粘性、高いイオン伝導度や熱伝導度に優れた材料である。使用温度に合わせたいろいろな融点の溶融塩を提供できるため、原子力、水素、太陽熱、電力を結びつけることを目的に、原子炉の高温冷却材や太陽熱蓄熱材、高温作動燃料電池電解質材料、水素製造用熱媒体など多方面への利用可能性が期待されている。また、フッ化物塩や塩化物塩だけでなく、硝酸塩や硫化物塩の酸素酸塩などの多様な塩の組み合わせにより、多様な性質を発現する可能性に満ちた材料でもある。 本書では、...

明治日本のローカル・アントレプレナー
- 定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
幕末、尊王攘夷の急先鋒となっていた長州藩にとって、1864年の四国連合艦隊下関砲撃事件(幕末下関攘夷戦争)は、その攘夷を断念せざるをえないような西洋の衝撃(ウエスタンインパクト)を同藩に与えた。伊藤博文や井上馨とともにこの戦争に遭遇した笠井順八や豊永長吉にとっても、人生を左右することになるターニングポイントとなった。その後、長州藩は倒幕の主体勢力となって明治という新時代を迎えることになるが、旧長州藩士にとっても、新時代を生き抜いていくのは試行錯誤の連続であった。 本書は、旧長州藩士のその後につい...

アメリカ高等教育のガバナンス改革
- 定価 3,960円(税率10%時の消費税相当額を含む)
大学に社会から負託された使命をよりよく追求させるものは、大学の自律性か、それとも政府からの統制か。これは古くて新しい問いである。20世紀に公立高等教育機関のアクセス(量的拡大)とエクセレンス(学術的卓越性)を両立させた米国カリフォルニア州の高等教育マスタープランは、高等教育の機能別分化政策の成功例としてあまりに有名で、「カリフォルニア・アイデア」と称賛されてきた。特に、公立研究大学であるカリフォルニア大学(UC)の学術的卓越性は、同大学が有する州憲法に基づく高度な自治と共に、広く認知されてきた。...

Narrative Form of Realism
- 定価 11,000円(税率10%時の消費税相当額を含む)
日本の中国古典研究は漢学や清の考証学などの伝統を受け継ぎ、世界的にも高い水準に達しているだけでなく、中国近代研究も時代の問題意識を強く反映した思想的に意義ある研究を生み出してきた。「中国近代小説が如何に成立したか」という問題は近代文学研究の最も関心が高いテーマの一つであり、厚い蓄積がある。戦後日本知識人の深い反省のもと、竹内好は、魯迅の分析を通して中国の近代形成過程を「下からの近代化」と称した。これは日本の政府主導で行われた「上からの近代化」と対比として、梁啓超、魯迅等の民間知識人が様々な分野で...
