中学校職員室の建築計画
- 定価 6,820円(税率10%時の消費税相当額を含む)
教育改革が進行したこの四半世紀,学校建築は充実し,華やかで夢のある建物が増えてきた。その一方,教師の立場は大きく変化し,批判を浴びることも多くなった。改革と雑用に振り回され,疲労困憊の教師もみられる。 学校という空間にあって,本来,生徒とともに主役であるはずの教師の空間はどうあるべきなのか。 30年余りの教師生活から研究者に転じた筆者が,中学校の職員室を研究テーマに取り上げ,今日に至る学校建築計画論を実証的に検証した渾身の書である。学校現場で直接苦労を経験した者のみが迫...
水の女
- 定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ヨーロッパ文学における「水の女」の系譜は,大小さまざまな流れから成り立つ。但し,その本流は,古代ギリシア神話を水源とし,キリスト教のもとで形を変えながら,中世やルネサンス期の民間伝承や民衆本を経て,近代ドイツのメールヒェンにて川幅を広げ,更にデンマークへと至り,世界文学という海原に流れ出る。 こうした流れの中でドイツ文学の役割は大きい。セイレンの後裔たちは,明るい海原ではなく,奥深い森の湖沼に現れるようになると,文学において頻出する「他者」となり,同時に内面化された「他者」となる。つまり,「水...
沖縄の社会構造と意識
- 定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
戦後60年を経た沖縄の社会構造と生活世界の現状をとらえるために行われた「沖縄総合社会調査2006」を,社会学的・社会福祉学的・マスコミ学的な視点から分析。共同研究によって沖縄県民の住民意識調査を行い, 統計的な情報を共有し, それに基づいて多様な角度からの分析を行う。同時に,二次利用として公開可能なミクロデータを構築することを目指し, 沖縄に関心をもつ研究者に大きく寄与する。現在における沖縄独自の優位性とは何かを問う。 (さらに…)
将来世代学の構想
- 定価 3,080円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は,哲学・倫理学,政治哲学,法社会学,経済学,医学,看護学,政策学,紛争解決学などの幅広い分野から「将来世代学」という新しい学問分野を構想するものである。各々の学問の現在の課題を将来世代への責任と人間の幸福という観点から検討・統括することにより,社会の総体に関わるパラダイムの再検討を迫る。 (さらに…)
都市交通政策概論
- 定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
近年,道路整備,自動車の燃費向上等によって都市の自動車交通問題は解決方向に向かいつつあるように見えるが,都市における交通渋滞,事故,環境問題,公共交通(軌道系公共交通,バス)の赤字問題等が根本的に解決しているわけでない。本書はこうした問題を個別的に検討するとともに,全体として自動車と公共交通の「バランス」はいかにして実現しうるかを検討している。具体的には自動車の適正な費用負担の重要性を述べるとともに,ヨーロッパやアメリカの都市構造を検討しながら分散型都市構造および大都市依存型都市構造の見直しの必...
コミュニケーションと共同体
- 定価 2,200円(税率10%時の消費税相当額を含む)
共同体が形作られるときには,人のあいだのやりとり,つまりコミュニケーションがなされる。コミュニケーションには様々な形態があり,文書に残すことができるような文字を使う言語によるものに加え,人が面と向かい合って話し合う時にはその人に関する見た目の情報や表情などが加わる。本書では,共同体とコミュニケーションの成立や維持,消滅について,人文学の視点から考察する。 (さらに…)
王昭君から文成公主へ
- 定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は,中国古代において近隣諸国を懐柔するために採られた外交政策として史上著名な和蕃公主の降嫁について論じようとするものである。中国の場合,いわゆる「隋唐世界帝国」あるいは「東アジア世界」について論じられる際,漢字・儒教・仏教・律令の四要素が重要視されてきた。しかし,儒教・仏教・律令がいずれも漢字と深い関係を有して伝播したものであるだけに,そもそも漢字を使用しない北方遊牧民族の場合には指標として当てはまらない。つまり,北方遊牧民族と隋唐との関係を考える際,これらの他に和蕃公主の降嫁が有する歴史的...
日本近・現代文学における知的障害者表象
- 定価 7,260円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は、主に文学作品における知的障害者の語られ方を通史的に考察することで、近代以降の日本における知的障害者観、人間観はいかなるものであるか、そして私たちはこれから人間をどのように語り得るのかを検討したものである。近代以降、学校等これまでなかった制度がつくられ、従来の士農工商は人間という概念にとって替わられた。士農工商では共同作業ができず、学校などが成り立たないから、教育で伸ばすべき意志や理性をもち、国家・社会に益する存在としての人間概念が、近代社会を成立させる上で必要とされたのである。明治二十年...
英国ルネサンス演劇統制史
- 定価 8,800円(税率10%時の消費税相当額を含む)
イングランドの演劇は中世以来聖史劇や奇跡劇そして道徳劇を中心としていたが,16世紀後半に世俗的な大衆演劇が発達し,シェイクスピアの登場でひとつの絶頂期を迎えた。演劇が隆昌をきわめようとしていたちょうどその頃,宮廷祝典局長を検閲者とする演劇の統制制度が整った。以後演劇は1642年の劇場閉鎖まで,反逆罪や煽動罪を規定する布令に加えて,祝典局長の検閲による統制を受けた。本書は,その統制のありようを歴史的・実証的に跡づける。歴史家や演劇史家は英国ルネサンス期の演劇統制を禁圧的と把握する傾向が強いが,本書...
要請としてのカント倫理学
- 定価 6,380円(税率10%時の消費税相当額を含む)
カント倫理学の核心は「あなたの意志の格率が,つねに同時に普遍的立法の原理として妥当しうるように行為せよ」という根本法則のうちにある。この根本法則は「純粋理性の唯一の事実」として与えられているが,その「与えられている」は「与える」ことを遡示している。このことは「私はかく意志し,かく命令する(sic volo, sic jubeo)」の意志から理解されねばならない。この意志は根本法則を与える意志(sic volo)である。そして立法する意志は命令する(sic jubeo)が,この実践的命題としての...