人文科学 歴史・地理
人新世とツーリズム
- 定価 4,950円(税率10%時の消費税相当額を含む)
人新世とは何か。 今や、自然科学だけではなく社会・人文科学の分野から人新世に関する議論が活発になっている。本書は、「人新世という時代に私たちはいかに生活し、地球システムをいかに維持していくべきか。また、地球を改変する力、営力となったツーリズムは人新世時代にどう向き合うべきか」を問うたものである。 第1部「人新世という時代」では、人新世議論の発端となった2000年、2002年のクルッツェンらの報告を紹介し、産業革命以後の人新世時代を3つのステージに分けて、その歴史的変遷を概観する。そして、クルッツ...
長崎平戸の宗教地誌
- 定価 5,940円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ユネスコの世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」には、九州北西部の島々が多数含まれている。これらの島々には長い間、「二つのキリスト教」が存在してきた。その島の一つが、長い歴史の中で世界と直接繋がり、日本史の表舞台にもたびたび登場してきた長崎県の平戸島である。 平戸島とその周辺地域には、在来の神道や仏教の諸宗派はもちろんのこと、かつての潜伏キリシタン、カトリック教会、修験道の山伏、琵琶法師の一流派、新興宗教系のシャーマンなど、実に魅力的で多種多様な宗教的要素が今日まで複雑に同居してきた...
中世玄界灘地域の朝鮮通交
- 定価 8,580円(税率10%時の消費税相当額を含む)
中世日朝関係は、多数の日本人通交者が朝鮮と交易を展開したという多元性が特徴とされてきた。『朝鮮王朝実録』や『海東諸国紀』などの朝鮮側の史料には、日本の史料では確認できない様々な階層の通交者が来朝したと記されている。しかし、「深処」と称される対馬以外の地域から来る日本人通交者の大半は、15世紀より既に対馬や博多の通交勢力が派遣していた偽使であることが解明された。こうした研究成果により、日朝通交における日本人通交者の多元性は、ともすれば偽使派遣勢力が作り出した虚構に基づく幻想に過ぎないと捉えられてき...
清代北京の首都社会
- 定価 8,580円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は首都とは何か、清代北京の三つの空間構造より論を起こし、北京首都社会論を提起する。本論では第一に首都北京における水害救済と食糧流通、第二に火災と消防組織、第三に治安統治と戒厳体制の三領域を考察し、北京首都社会における特質を解明する。三領域を考察する際に、首都北京を統治する清朝政府の諸政策も論じられる。本書は問題を可能な限り具体的に考察し、事象の実態を捉え、それがどのように変化するのかという研究方法を重視している。本書では、北京と台北に架蔵されている非編纂の行政文書である檔案史料を分析し、事象...
モノから見た海域アジア史
- 定価 1,980円(税率10%時の消費税相当額を含む)
古来より国と国、地域と地域を分け隔て、結びつけた「海域」は人・モノ・文化の交流の舞台となってきた。その海域からアジア史を見ると、従来の枠組みからは見えなかった歴史が見えてくる。本書は中世の海域アジアを行き交った様々なモノ、石材・木材・陶磁器・貴金属を通じて考古学・日本史・東洋史を専門とする各研究者が日本とアジア、ユーラシアの交流の諸相を解説したものである。写真・図版多数収録。 (さらに…)
土器製作技術からみた稲作受容期の東北アジア
- 定価 8,800円(税率10%時の消費税相当額を含む)
考古学、植物考古学、自然人類学の成果や理化学的年代測定の蓄積により、先史時代の長江中下流域でイネ、黄河流域以北でアワ・キビの栽培化がはじまり、その後、これらが東北アジア諸地域に広がった過程が明らかになりつつある。とくに、イネ栽培を伴う農耕の伝播期において、移住や大きな文化変化が生じていたことは注目される。東北アジアにおける初期農耕の伝播に関する議論において、土器は主要な研究対象とされてきた考古資料である。土器研究では文様や形態的が主な分析項目とされてきたが、その製作技術は注目される。製作技術は土...
「民」を重んじた思想家 神田孝平
- 定価 5,940円(税率10%時の消費税相当額を含む)
神田孝平は、幕末から明治初期にかけて、思想家、官僚として活躍する。思想家としての神田は民衆を「愚民」と捉えず、現存する彼らを政治・経済の担い手と位置づける。また官僚としての神田はこの民衆への評価に立脚した政策を数多く構想する。そして、この政策論が政府の方針と異なる場合、自らの信念を曲げることなく、自らの思想家としての影響力を行使しても、自らの構想を実現しようともする。このように神田は特色のある思想家、官僚ではあるものの、現在では忘れられた人物となりつつある。彼の業績を掘り起こし、その実像を読者に...
朝鮮前期の国家と仏教
- 定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
従来、朝鮮王朝政府は、建国以来、朱子学を国家の根本思想とする「崇儒政策」を実施する一方で、高麗時代に隆盛した護国仏教を排斥・抑圧する「斥仏政策」「抑仏政策」を推進したとされてきた。ところが、従来の研究は、新国家の形成理念である朱子学と個人の信仰である仏教が朝鮮社会で共存していた状況を考慮せず、「崇儒」と「斥仏」「抑仏」を安易に結びつけていた。また、「斥仏政策」「抑仏政策」の概念が生み出された背景についても、関心が乏しかった。他方、近年、韓国の学界を中心に、近代以来の研究史を展望した上で、通説であ...
第3インタナショナルへの道
- 定価 7,480円(税率10%時の消費税相当額を含む)
著者のインタナショナル(国際社会主義)史研究は、1919年3月コミンテルン創立大会への西欧からの数少ない出席者のひとりとして知られるオランダ社会主義者兼土木技師S.J. リュトヘルスの国際的活動への一国史的な枠組みを超えた追跡調査を手がかりに、『リュトヘルスとインタナショナル史研究』より始まった。4冊目の著作となる本書によって、ようやくコミンテルン創設という本テーマのクライマックスにまで辿り着いた。第1次世界大戦勃発によって第2インタナショナルが事実上「崩壊」したあと起こった国際反戦社会主義運動...
ドイツ=東アジア関係史 1890-1945
- 定価 6,820円(税率10%時の消費税相当額を含む)
1940年に日本と軍事同盟の関係を築く以前に、ドイツはそもそも中国との間に広範な通商関係を持っていた。とりわけ第一次世界大戦後に中国における植民地を失うことになったドイツにとっては、武器の販路や天然資源の供給元として中国は依然として重要な存在であった。また中国にとっても進出の野心を強めつつある隣国の日本に対してドイツとの関係強化を図ることは必然の流れであった。本書は、帝政ドイツ・ヴァイマル共和国・ナチスドイツ、清朝・中華民国・「満洲国」、そして日本(大日本帝国)と、国家の形態や国家間の関係はさま...