学際研究
- 定価 5,060円(税率10%時の消費税相当額を含む)
現代の学問のキーワードの1つは,学際性(interdisciplinarity)である。国際性が諸国家のつながりであることを意味するように,学際性とは諸学問のつながりを意味する。ここでいう学問とは専門分野(discipline)であり,自然科学,社会科学,人文学における個別の分野を指す(本書第4章)。著者であるレプコは,古代ギリシアから現代に至る専門分野の成り立ち,さらに学際性の持つさまざまな背景を踏まえ,具体的な学際研究のプロセスについて,主に大学生・大学院生を読者として意識し,解説している...

背表紙キャサリン・アーンショー
- 定価 3,740円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書はそれぞれ四章から成る「自己の中の外部」、「自己と外部」と題する二つの部で構成され、全体で七編の19世紀、20世紀のイギリス小説を考察する。 第一部の題「自己の中の外部」は、自覚的な意識が及ばない、自己の中のいわば外部である無意識を指している。今日私たちは、フロイトやラカンの高度に洗練された精神分析の知見の影響下にあるが、19世紀のイギリスの作家たちは、「無意識」についてもっと素朴な洞察を独自に持っていて、それを作品に描いている例があると考えられる。本書の第一部の目的は、個々の作品に固有の問...

ケンブリッジ大学英語・学術研修への招待
- 定価 3,740円(税率10%時の消費税相当額を含む)
歴史上の偉人やノーベル賞受賞者が輩出しているケンブリッジ大学。同大学の31カレッジの1つが1347年創設のペンブローク・カレッジである。同校で実施されている語学・学術研修に九州大学が1996年に参加して以降,700人近い学生たちが受け入れられてきた。本書は本研修に長らく関与してきた英語科教員が研修事業の企画立案や研修の実際,参加学生に課される9ヵ月に及ぶ事前研修の全課程をまとめたものである。カレッジ内の寮生活や様々な伝統行事への参加などを通して学生たちは国際人として成長を遂げていく。実践的な英語...

Architectural Study of the Stoas of the Asklepieion at Ancient Messene
- 定価 24,200円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ヘレニズムに建設されたギリシア古代都市メッセネのアスクレピオス神域は,ギリシア本土における複合建築として注目すべき形態を備えていた。なぜなら,ドリス式周柱式神殿がある中庭を四方からコリント式のストアが囲い込んでいたからである。本書は,2001年から2004年に行われた熊本大学ギリシア古代建築調査団の調査成果をもとに,徹底的かつ明確な分析によってその建築的特性と意義を明らかにしたものである。正確で詳細な実測図や記録写真によって,建築史の基礎資料が調えられている。さらに設計法,建設技術,建築装飾の分...

生と死の探求
- 定価 2,200円(税率10%時の消費税相当額を含む)
「生まれ,死ぬ」という普遍的な問題に対して,九州大学文学部の教員が,各分野それぞれの視点から,大学生に分かりやすく説く。文学部で2011年度に150人以上の聴講学生を集めて行われた人気の授業を踏まえ,さらに内容を充実させて出版。東アジア・南アジア・西アジアという地域の視点から,また,新旧の美術作品や墓という具象物から,また,洋の東西の文学から,生死がどのように捉えられてきたのかを明らかにする。序と結では,哲学・宗教学の視点から,問題を全体的・普遍的に見直す。生と死という時代のテーマを正面から見据...

オーロラ・リー
- 定価 5,060円(税率10%時の消費税相当額を含む)
時代は繁栄と貧困が際立つ対比をなすヴィクトリア時代。 ロンドン~パリ~トスカーナと舞台を移しながら繰り広げられる,3人の愛と別れ,そして感動のクライマックス。該博な古典の知識と思索を重ね19世紀イギリス詩壇で一世を風靡し,女性解放思想の旗頭ともなったエリザベス・バレット・ブラウニングの代表作の一大叙事詩が今ここに蘇る。 オーロラ・リー 幼くしてイギリス人とイタリア人の父母を失うも,自立と芸術の道を選んだ新進女流作家。ロムニー・リー オーロラの従兄で,先祖伝来の恵まれた地位と財産を貧民救...

麻生太吉日記 第二巻
- 定価 11,000円(税率10%時の消費税相当額を含む)
第二巻(1917(大正6)~1922(同11)年)においては、太吉が炭鉱業と同様に心血を注いだ電力事業がいっそうの展開を見せ、大分県下で水力開発の執念が実る。また飯塚にも及んだ米騒動や、伊藤傳右衛門と柳原白蓮の離婚騒動について言及がされる。巻末には大正8年の飯塚町の絵地図および大正12年の九州水力電気株式会社の電気供給区および電気系統図を収録。 (さらに…)

ゲームと情報の経済分析[応用編]
- 定価 5,280円(税率10%時の消費税相当額を含む)
多くの国々で翻訳されている Games and Information の原著第4版の第1部を基礎編として,第2・3部を応用編として刊行。本書はゲーム理論の方法を積極的に取り入れ,情報の経済学の基本から最新のトピックスまでを,身近な例を使って説明した情報の経済学の定評あるテキストである。経済学はいうまでもなく,社会科学を学ぶのに必要な基礎的視点を養うために大変有用である。大胆な構成と興味深い例示によって,現代社会における人々の行動,制度の在り方などについて一層の理解を深めることができる。今回の改...

「青き清浄の地」としての里山
- 定価 1,980円(税率10%時の消費税相当額を含む)
著者自身による豊富な実例を挙げつつ,最近のフィールド調査結果や数理生態学などの理論的分析に基づいて「里山は自然生態系と比べても生物多様度が高い」という生態学的知見をまず提供する。次にこれを受けて「人間は自然環境に弊害である」という価値基準を批判し,未来に再び「自然と人間の良い関係」を実現するための礎としての里山論を提唱する。ここで里山は,宮崎駿の漫画「風の谷のナウシカ」に描かれたユートピア「青き清浄の地」へと抽象化され,彼が作品に込めた願いへの肯定的な解答になっていく。自然保護・環境保全活動の関...

漱石とカントの反転光学
- 定価 7,040円(税率10%時の消費税相当額を含む)
「カントの超絶唯心論がバークレーの超絶実在論にどうだとか云つたな」。『三四郎』の問いから「則天去私」へ解釈の補助線を引いてみる。そして「経験的実在論にして超越論的観念論(カント)」から「明暗双双」に深まりゆく言語批判的な世界反転光学の道と、巽軒井上・西田・ジェイムズの形而上学的実在論との根本差異を凝視する。ここにプラトン=デカルト的な二元思考を革命的に転覆する、漱石の〈生死一貫〉のリアリズム詩学の源泉がある。 銀地のカバーに、黒地の帯。そこに銀文字で綴った上の紹介文からも読み取れる...
