情報技術と差別化経済
- 定価 3,300円(税率10%時の消費税相当額を含む)
情報化経済の帰結は,すべての産業で差別化が進むことであるという仮説を展開したのが本書である。これを本書では「差別化経済」と呼ぶ。 差別化は製品差別化に代表される概念である。製品差別の諸理論を検討することにより,情報技術が製品差別をもたらし,また,それが情報技術の本質的な特徴からももたらされることを示した。 経済の基底に流れる大きな変化を「差別化経済」と捉え,ひとつの分析視角を提示したものである。 (さらに…)
経済成長分析の方法
- 定価 3,520円(税率10%時の消費税相当額を含む)
最近,国際競争力を回復させる構造改革,特に,イノベーションとそれを支える教育改革が強調されている。このような問題は,静態的あるいは短期的なコンテクストのもとでは充分に論究することが不可能であり,長期的かつ動態的なパースペクティブに立った経済分析の確立を必要としている。このような状況を踏まえて,本書ではイノベーションと人的資本のマクロ動学分析が試みられる。理論と実証に関する分析を含んでおり,本書を通読・読了すれば最近の成長論に関する包括的な知識と素養を習得することができる。本書では厳密性・一貫性を...
鉱物資源論
- 定価 4,950円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は,人類が鉱物資源を持続的に確保していくために解決しなければならない「枯渇」,「環境」,「利害対立」の3つの資源問題について,それぞれ社会的,歴史的背景や原因などを究明し,問題解決のために世界が取り組むべき目標を具体的に提示している。「枯渇」と「環境」は技術開発と技術移転によって,「利害対立」は相互依存の認識をベースとした発展途上国開発や貿易制度の改善などによって解決でき,それらを主導的に担っていくのは先進国であると述べている。また本書は日本の鉱物資源政策にも触れ,その大部分を輸入に依存する...
民族共生への道
- 定価 3,080円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は,アジア太平洋地域におけるエスニック・グループをめぐる様々な状況を取り扱っている。そこに見られるエスニシティは他のグループや上位社会などとの相互関係の中で多元性,状況性,可変性を帯びており,「民族共生への道」も様々である。グローバル化の進展が民族や文化をめぐる新たな状況や関係を生みだす中,多元的かつ状況的なエスニシティのあり方を理解し,民族や文化の違いや他者の存在を認め合いながら協調する努力を重ねていくことは,私たちに課せられた重要な課題である。 (さらに…)
北部九州における弥生時代墓制の研究
- 定価 8,140円(税率10%時の消費税相当額を含む)
弥生時代の北部九州地域の墓制を素材とした,縄文から弥生への文化・社会構造の変化と階層的な社会場成立するプロセスの研究。甕棺葬の成立過程,支石墓の変遷と地域的な特色,墓地空間構造,副葬品にみられる階層性などの考古学的な分析を通して,弥生社会の構造を照射したものである。 (さらに…)
中性子スピン光学
- 定価 4,950円(税率10%時の消費税相当額を含む)
中性子スピン干渉法では,中性子スピン固有状態への分波と,重ね合わせにより,固有状態間の位相差が中性子強度の変化として観測され,中性子と種々の場との相互作用が実験的に観測される。著者らが発展させたこの枠組みが,スピノールの位相変換として,詳細に解説されている。また,新しい中性子スピンエコー法の開発など,この原理の応用の新しい展開が解説されている。この実験法の開発には,中性子偏極ミラー,共鳴中性子スピンフリッパーなどの中性子制御デバイスの開発が重要で,これらの開発原理も詳細に解説される。この分野を目...
スペイン・ロマネスク彫刻研究
- 定価 13,200円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書はサンティアゴ巡礼時代の北部スペインの彫刻を,12世紀を中心に図像学,様式の面から分析・研究し,成果をまとめたものである。 序章において聖ヤコブ信仰成立の時代背景を解明し,本論ではアラゴン,ナバーラ地方の実地調査から得られた詳細なデータを提供する。わけてもウエスカの「聖シルウェステル伝」図像の同定はイベリア半島初見であり,著者の直感の冴えを認識させる。また,巻末資料,邦訳『巡礼案内記』は研究論文としても充分読み応えのある労作である。 長期間にわたり作品群に接してきた著者ならではの視点や考察...
祈りと祀りの日常知
- 定価 8,250円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は,聖人像を祭祀する小聖堂のフィエスタ,カトリック儀礼の聖週間,また個人的信奉の諸実践や,呪文祈祷書(オラシオネス)と精霊観念を基とした呪術的治療者(メレコ)の諸活動,精霊にまつわる様々な経験譚などを通して,ビサヤ民俗社会を知識という観点から叙述した民族誌である。 (さらに…)
森林資源管理の社会化
- 定価 5,720円(税率10%時の消費税相当額を含む)
林家等の森林経営マインドが後退し,間伐遅れや皆伐跡地の再造林放棄などが増加している。森林・林業・山村をめぐる厳しい状況の中で,造林補助金等によって造林意欲を喚起し,森林を整備するという伝統的な森林資源政策が窮地に陥っているのである。 本書は,このような森林資源管理を「社会化」の視点から再検討している。すなわち,全国に拡大しつつある再造林放棄の実態と背景を調査,分析し,さらに新たな森林資源管理のあり方を,森林資源所有の社会化,整備費用負担の社会化,合意形成の社会化という3つの視点から多角的に考察...
憑依と語り
- 定価 6,380円(税率10%時の消費税相当額を含む)
アフロアマゾニアン宗教,すなわち黒人奴隷制と天然ゴムブームがブラジル・アマゾンで生み出した,著しく混淆的なアフリカ系憑依文化のエスノグラフィー。「深層の心理」ではなく「表層の語り」に照準し,アイデンティティ,歴史,語りのあいだの相互反照的関係の密林に分け入り,憑依文化の人類学的分析の新たな可能性を拓く。 (さらに…)