人文科学
Labels at the Interfaces
- 定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
生成文法最初期から投射という名前で存在しているラベルは、近年のラベル理論においてはインターフェイスへの解釈上の指示を与える役割を担うとされている。しかし、これまでのラベル理論及び生成文法研究において、ラベルが具体的にどのような解釈上の役割を担うのかは明らかにされてこなかった。本書は、句構造文法以来所与のものとして構造に与えていた投射/ラベルの様々な役割を提案し、ラベルに理論的、経験的観点から新たな意義を与えることを目指す。同時に、ラベルと並んで生成文法の原初的な操作、概念として、併合及び集合形成...

第3インタナショナルへの道
- 定価 7,480円(税率10%時の消費税相当額を含む)
著者のインタナショナル(国際社会主義)史研究は、1919年3月コミンテルン創立大会への西欧からの数少ない出席者のひとりとして知られるオランダ社会主義者兼土木技師S.J. リュトヘルスの国際的活動への一国史的な枠組みを超えた追跡調査を手がかりに、『リュトヘルスとインタナショナル史研究』より始まった。4冊目の著作となる本書によって、ようやくコミンテルン創設という本テーマのクライマックスにまで辿り着いた。第1次世界大戦勃発によって第2インタナショナルが事実上「崩壊」したあと起こった国際反戦社会主義運動...

形と形が出合うとき
- 定価 7,920円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は、韓国語の形態音韻論的現象を研究の俎上に載せ、その態様を描出せんとするものである。音素、音節、形態素、単語 形と形 がおのおの接合すると、いかなる現象が生起し、その背後にはいかなる原理が伏流しているのか。これまで存在自体は知られていても、十分には考検されてこなかった現象群を具に剖析することによって、韓国語の興味深い様々な言語事実を精緻に焙り出すことが本書の目的である。何故に形態音韻論を韓国語において問うのか その解は分明である。日本列島周辺の言語を見渡してみても、現代韓国語は形態音韻...

ドイツ=東アジア関係史 1890-1945
- 定価 6,820円(税率10%時の消費税相当額を含む)
1940年に日本と軍事同盟の関係を築く以前に、ドイツはそもそも中国との間に広範な通商関係を持っていた。とりわけ第一次世界大戦後に中国における植民地を失うことになったドイツにとっては、武器の販路や天然資源の供給元として中国は依然として重要な存在であった。また中国にとっても進出の野心を強めつつある隣国の日本に対してドイツとの関係強化を図ることは必然の流れであった。本書は、帝政ドイツ・ヴァイマル共和国・ナチスドイツ、清朝・中華民国・「満洲国」、そして日本(大日本帝国)と、国家の形態や国家間の関係はさま...

近代日本洋画史再考
- 定価 4,950円(税率10%時の消費税相当額を含む)
明治40年の文部省美術展覧会開設以降に確立され、その後の美術史や美術運動史のなかで、功罪含めてつねに大きな影響力を持ち続けた主流としての「官展アカデミズム」は、戦後日本の美術批評において、個性を欠いた類型的な作品群としてしばしば否定的に捉えられ、長らく等閑視されてきた。そのような評価の偏りを踏まえ、本書では、岡田三郎助、中澤弘光、中村研一という「官展アカデミズム」の直系ともいうべき三人の作家による代表的な官展出品作(岡田三郎助《水浴の前》(大正5年、第10回文展)、中澤弘光《かきつばた》(大正7...

野生の文法(グラマー)
- 定価 4,620円(税率10%時の消費税相当額を含む)
「野生のなかにこそ世界を保存する力がある」ソローの野生論「ウォーキング」のもっとも知られた一節である。ソローの野生論は、野生という概念を中心として文化の活力と健全性、そして人間の全き成長について論じたものであった。従来、自然詩人、シンプルライフの実践家とみなされたソローを「野生」という鍵概念に注目して読み直し、さらに環境活動家ジョン・ミューア、現代詩人ゲーリー・スナイダーに与えた影響を考察する。「わたくしが関心を抱くのは、思想(グラマー)としての「野生」の問題であり、その系譜学である。別の言い方...

夕闇の時代
- 定価 7,920円(税率10%時の消費税相当額を含む)
第一次大戦をヨーロッパ文明の衰亡の過程として受け止めた大部分のイギリス人は、戦争を勝利で終えたにも関わらず、不安と恐怖と黙示録的幻想をもちつづけ、危機の言説を形成した。終戦は新しい時代のはじまりというよりも、むしろもっと恐ろしい災禍へ向かう通過点として捉えられたのだった。災禍を未然に防ごうと、大規模な反戦運動が展開され、歴史学、経済学、心理学、生物学、遺伝学などの一連の科学者は戦争の原因を究明しようとした。トインビー、ホブソン、ケインズ、ウェブ夫妻、フロイト、ハクスリー兄弟、ウェルズら著名な知識...

水の女[新装版]
- 定価 2,750円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ヨーロッパ文学における「水の女」の系譜は、大小さまざまな流れから成り立つ。但し、その本流は、古代ギリシア神話を水源とし、キリスト教のもとで形を変えながら、中世やルネサンス期の民間伝承や民衆本を経て、近代ドイツのメールヒェンにて川幅を広げ、更にデンマークへと至り、世界文学という海原に流れ出る。こうした流れの中でドイツ文学の役割は大きい。セイレンの後裔たちは、明るい海原ではなく、奥深い森の湖沼に現れるようになると、文学において頻出する「他者」となり、同時に内面化された「他者」となる。つまり、「水の女...

古代ローマ人の都市管理
- 定価 1,980円(税率10%時の消費税相当額を含む)
古代ローマ人にとっては、都市そのものが国家であり、都市は彼らにとって投資の対象でもあった。彼らは都市を建設しただけでなく、資産として管理したのである。後1世紀のローマは人口100万人を擁する帝国の首都であり、人類史上かつてないほどの過密都市であった。一方、現在のナポリ湾に面するポンペイは、人口1万人余りの豊かで美しい地方都市であったが、後79年にウェスウィウス火山の噴火によって消滅する。このとき、首都ローマで巨大な円形闘技場、すなわちコロッセウムの建設が進む一方で、この地方都市は後62年の大地震...

今と昔の長崎に遊ぶ
- 定価 2,640円(税率10%時の消費税相当額を含む)
長崎の地に住んだ人びとがどのように長崎の文化を形作ってきたのか、長崎の歴史・文化・経済・言語・哲学など様々な分野の研究者が解説し、長崎の隠された魅力をさらに深く探求していく。長崎は諸外国との窓口の役割を長らく果たしてきた。ポルトガル・オランダ・中国を始め、外国の文化が流れ込み、日本の文化と融合した都市、それが長崎である。つまり、グローバル化が叫ばれる現代に先駆けて、数百年も前からグローバル化が行われてきた。その長崎文化の魅力と本質を長崎という文化空間に即して解明すること、いうなればグローカルな視...
