人文科学 歴史・地理
プラナカンの誕生
- 定価 5,940円(税率10%時の消費税相当額を含む)
イギリス植民地下で自由貿易港として発展するマレーシア・ペナン島。この島を拠点に生きた華人たちが19世紀末以降、東南アジアと中国で秩序が大きく転換するなかで双方の地における積極的な政治参加を通じて越境を生きた過程を当時の新聞や雑誌など膨大な資料の分析により解明する。 越境者の政治参加は21世紀の今日においてますます重要な問題となりつつある。祖国を離れた人間が、越境性と混成性を資源に移民先に帰属していく過程を英領植民地下のペナンの華人の例に学ぶ。 (さらに…)
宮廷食材・ネットワーク・王権
- 定価 5,500円(税率10%時の消費税相当額を含む)
アッバース朝とオスマン朝という2つの世界帝国の狭間にあって、13世紀のイスラーム世界では多様な王朝が勃興していた。その1つであるラスール朝は、紅海とインド洋を結ぶアラビア半島南西部のイエメンを、200年を超えて統治したことで知られる。本書では、近年になってイエメンで発見された13世紀のラスール朝行政文書集『知識の光』記載の宮廷食材に着目し、その種類や広範囲にわたる供給元、食材の手配や調理、宴席に携わった人々と機関などの宮廷食材をめぐる様々な側面を、『大旅行記』をはじめとした同時代のイスラーム世界...
中世、ロワール川のほとりで聖者たちと。
- 定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は、フランスの中世社会においてキリスト教がどのように浸透していったのか、を読者と一緒に学ぶために編まれたものである。ここでは、中世の人々が日々目撃していた聖者やその聖遺物が起こす奇蹟に注目し、聖者文学のなかでも特に伝記と奇蹟譚を選び、その邦訳を試みた。歴史学者である訳者が専門とするロワール川流域において、4世紀から12世紀にかけて活躍した7名の聖者が取り上げられており、通読すれば、800年の間における人々の日常生活や信仰、聖者文学の様式や内容の変遷なども分かるように構成されている。何編もの聖...
麻生太吉日記 第五巻
- 定価 11,000円(税率10%時の消費税相当額を含む)
1932(昭和7)年から1933(昭和8)年までの日記。満州事変を契機に日本が国際社会から孤立を深めるこの時期,太吉も電力連盟や九州石炭鉱業懇話会の設立など,経済の統制化に関わらざるを得なくなる。セメント事業への本格参入の足掛かりとなる産業セメント鉄道の設立後に病臥し,12月8日永眠。享年77歳。この第五巻には,太吉生涯の年譜・参考文献・詳細な総索引も収録した。 (さらに…)
レコンキスタと国家形成
- 定価 7,040円(税率10%時の消費税相当額を含む)
レコンキスタ 800年に渡るイスラームとの接触と対峙 は,スペインの政治と社会にどのような性格を与えたのか。19世紀末からの,スペイン学界,またフランス学界や英米学界における中世スペイン史の研究動向を網羅的・批判的に検討し,レコンキスタが最も激しさを増した12世紀を中心に,「グレゴリウス改革の影響」「王権と司教座」「王権と騎士修道会」「教会領主と農民」「教会とイスラーム教徒住民」など,多様な論点から史料に基づいて解き明かす。中世のスペインでは,アストゥリアス王国やその後身のカスティーリャ・レ...
ブルゴーニュ国家の形成と変容
- 定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ブルゴーニュ公国史研究会の10年にわたる研究成果を問う本書は,「領邦と中間権力」「都市と市民」「宮廷と政治文化」の三部から成る。中世後期に広大な地政学的空間を現出した「ブルゴーニュ国家」に,政治史・経済史・都市史・文化史など多様な側面から接近を試みることで,ヨーロッパ歴史像の一断章を浮かび上がらせる。 (さらに…)
戦争と平和、そして革命の時代のインタナショナル
- 定価 4,620円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は,40数年にわたる著者のインタナショナル(国際社会主義)史研究を振り返る著作として構想し,今から100年前,社会主義者によって追求された戦争と平和,そして革命をめぐるインタナショナルの理念と実践がどのような意義をもったか,を歴史的に解明することをめざしている。 具体的には,第一次世界大戦勃発とともに第2インタナショナルが機能停止に陥ったことを契機に登場した国際反戦社会主義運動であるツィンメルヴァルト運動(1915-19年)と,ロシア10月革命を背景として実現した第3インタナショナ...
遼東半島上馬石貝塚の研究
- 定価 8,800円(税率10%時の消費税相当額を含む)
1941年に日本学術振興会によって行われた遼東半島上馬石貝塚の発掘は、長い間その資料が公開されないままであった。それは、新石器時代から青銅器時代さらに初期鉄器時代に至るまで連綿と続く遺跡であり、本地域の基準的な土器編年網を構築できる遺跡であった。これによって作り出された遼東土器編年は、中国中原と朝鮮半島さらには北部九州を結ぶことができるものであり、弥生の実年代を考古学的手法によって唯一解明できるものである。その結果、北部九州の弥生時代の開始は紀元前8世紀頃にあることが証明された。さらには、韓国無...
日本の出版物流通システム
- 〔品 切〕(参考:本体価格 3,700円)
本書では日本の出版物流通業を事例として,流通システムの空間構造が中間業者(取次会社)と小売業者(書店)の間の「垂直的企業間関係」によってどのような影響を受けているのかを分析しています。私たちにとってなじみ深い紙の本や雑誌の流通について、取次会社や書店に対する丁寧な聞き取り調査に基づいて議論が展開されており、その意味で本書は資料的な価値も有していると言えるでしょう。 電子書籍やアマゾンなどのネット書店といった、今流行りの出版事情について触れられていない点を残念に感じる読者もおられるかもしれませんが...
麻生太吉日記 第四巻
- 定価 11,000円(税率10%時の消費税相当額を含む)
昭和3年から6年にいたる金融恐慌・昭和恐慌の時期の炭鉱経営者・電力経営者麻生太吉の日記。麻生は鈴木商店の破綻によって破産した帝国炭業を引き受け、九州鉱業を設立する。九州水力電気の社長を引き受け、本社を東京から福岡に移転する。石灰事業では輸送の充実を図 り、金宮鉄道を設立し九州産業鉄道に合併し、セメント事業参入への足場を築いた。経営者麻生太吉が最も充実した晩年の姿を記録する。 (さらに…)