人文科学
朝鮮後期財政史研究
- 定価 7,700円(税率10%時の消費税相当額を含む)
17世紀以降の朝鮮は、軍事的緊張の下で商品経済が発展し、市場の構造化が進んだ。本書は、対軍事財政と対商業政策の両側面から朝鮮後期の経済的成熟を検証し、好戦的で侵略的な近代国民経済とは異なる前近代型「国民経済」形成への可能性を展望するものである。〔軍事政策〕日本や清国の再侵略に備えるため、朝鮮政府は大量の倭銅買い付けや大砲の鋳造に励んだ。壬辰倭乱の経験から、大砲や火縄銃は射程距離の長いものが貴ばれた。加えて、軍用布として強靱な綿布が中国より輸入されたが、平和が続くとソウルの兵士は絹を愛用するように...

ユーラシア草原地帯の青銅器時代
- 定価 9,020円(税率10%時の消費税相当額を含む)
遠古の東アジアとヨーロッパはどのような関係にあったのだろうか 両地域をつなぐ位置にあるユーラシア草原地帯では、広範囲にわたる交流や大規模な移動が、歴史上つとに指摘されるところであった。しかしながら、草原地帯において、それぞれの交流がどのような歴史的意義をもっていたかが語られることは稀であった。本書はこの点に注目し、ユーラシア草原地帯の東部を中心とする中国・モンゴル・ロシアの現地(青銅器)資料を世界で初めて統計的に分析。前11世紀頃、スキタイ系文化出現の直前に、交流そのものの性質が大きく変化した...

ブッククラブと民族主義
- 定価 8,140円(税率10%時の消費税相当額を含む)
会員制の廉価書籍販売組織であるブッククラブは、ドイツにおいて1920年代から1980年代にかけて大きな発展を遂げ、本を買って読む習慣が社会の広い層に普及する読書の民主化に多大な貢献をなした。しかし一方で、民族主義的な思想の普及のために利用され、ドイツの右傾化とナチス政権の成立に大きく寄与した。本書は、そのような二面性を有するドイツのブッククラブに関する、わが国初の本格的な論考である。第1部では、ドイツにおけるブッククラブの発展全体をテーマとし、第1章でワイマール共和国時代の隆昌、経済的・内容的特...

近世西海捕鯨業の史的展開
- 定価 4,400円(税率10%時の消費税相当額を含む)
近世の巨大産業のひとつである捕鯨。平戸藩益冨家はその近世捕鯨業において国内最大の鯨組主であった。本書では様々な史料をもとに、鯨商品の流通状況、鯨漁師たちを統括する同族団制度、捕鯨業の資金構成など多角的視点からその経営を分析している。 (さらに…)

ユーゲントシュティルからドイツ工作連盟へ
- 定価 5,940円(税率10%時の消費税相当額を含む)
アーツ・アンド・クラフツ運動からバウハウスへ至る、モダンデザインの系譜に連なるドイツの美術工芸運動。本書では、19世紀末から20世紀初頭のドイツにおいて相次いで設立された「工房」によるデザイン運動に焦点を当てる。 特にミュンヘン手工芸連合工房やドイツ工房などの代表的な工房を取り上げ、その具体的な活動を、理念、運営などの諸側面と教育の2つの観点から論じ、これらの工房がドイツ近代の美術工芸運動において、いかなる役割を果たしたのかを考察する。 (さらに…)

プラナカンの誕生
- 定価 5,940円(税率10%時の消費税相当額を含む)
イギリス植民地下で自由貿易港として発展するマレーシア・ペナン島。この島を拠点に生きた華人たちが19世紀末以降、東南アジアと中国で秩序が大きく転換するなかで双方の地における積極的な政治参加を通じて越境を生きた過程を当時の新聞や雑誌など膨大な資料の分析により解明する。 越境者の政治参加は21世紀の今日においてますます重要な問題となりつつある。祖国を離れた人間が、越境性と混成性を資源に移民先に帰属していく過程を英領植民地下のペナンの華人の例に学ぶ。 (さらに…)

トルコ語と現代ウイグル語の音韻レキシコン
- 定価 6,050円(税率10%時の消費税相当額を含む)
従来、ヒトの脳内のレキシコン(心的辞書)では語彙は音韻論的な差異に基づいていくつかのグループに分かれていると考えられてきた。このグループ分けがどのように行われているのかを明らかにすることは当該言語の音韻レキシコンの構造を明らかにすることにつながる。本書ではトルコ語と現代ウイグル語を対象に、それぞれの音韻レキシコンの構造を明らかにし、「核と周辺」構造(Core-periphery structure)を中心とした音韻レキシコン理論の妥当性検証に挑む。 (さらに…)

宮廷食材・ネットワーク・王権
- 定価 5,500円(税率10%時の消費税相当額を含む)
アッバース朝とオスマン朝という2つの世界帝国の狭間にあって、13世紀のイスラーム世界では多様な王朝が勃興していた。その1つであるラスール朝は、紅海とインド洋を結ぶアラビア半島南西部のイエメンを、200年を超えて統治したことで知られる。本書では、近年になってイエメンで発見された13世紀のラスール朝行政文書集『知識の光』記載の宮廷食材に着目し、その種類や広範囲にわたる供給元、食材の手配や調理、宴席に携わった人々と機関などの宮廷食材をめぐる様々な側面を、『大旅行記』をはじめとした同時代のイスラーム世界...

中世、ロワール川のほとりで聖者たちと。
- 定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は、フランスの中世社会においてキリスト教がどのように浸透していったのか、を読者と一緒に学ぶために編まれたものである。ここでは、中世の人々が日々目撃していた聖者やその聖遺物が起こす奇蹟に注目し、聖者文学のなかでも特に伝記と奇蹟譚を選び、その邦訳を試みた。歴史学者である訳者が専門とするロワール川流域において、4世紀から12世紀にかけて活躍した7名の聖者が取り上げられており、通読すれば、800年の間における人々の日常生活や信仰、聖者文学の様式や内容の変遷なども分かるように構成されている。何編もの聖...

A Grammar of Irabu
- 定価 11,000円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は,南琉球宮古伊良部島方言(沖縄県宮古島市)を体系的・包括的に記述した文法書である。消滅の危機にあるこの言語の構造と体系は,すべての言語学者を惹きつける魅力にあふれている。子音が母音のように,母音が子音のようにふるまう複雑な音節構造。フット構造をベースとしたトーンの交替が生み出す韻律システム。「語とは何か」を考えるきっかけを与えてくれる音韻論と形態論のミスマッチ。人称と数では十分に記述できない代名詞体系。複数の品詞を縦横無尽にまたぐ複雑怪奇な「形容詞」。節のアスペクトをも標示する格標識。情報...
