生活経営学[第3版]
- 定価 2,200円(税率10%時の消費税相当額を含む)
「生活経営」を英訳すると、Family Resource Management となる。つまり生活経営とは、家族および個人が持つ生活資源の経営・管理をすることである。生活資源とは、家屋や金銭などの物的資源だけではなく、人的資源である個人がもつ時間、知識、技術、姿勢、計画・企画力、愛情の受容力なども意味する。家族や個人の生活をよりよくしていくためには、各自が自分のもつ生活資源には、何がどの位あるのか(有限性)、何を役立てられるのか(有用性)、どれとどれを組み合わせれば新たな資源を生み出せるのか(相...
くすりとからだ
- 定価 2,420円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は、著者が医学部や看護学部で講義している「薬理学総論」のエッセンスを、チーム医療のメンバーになろうとする者すべてを読者に想定し、わかりやすい文章で解説した薬理学の入門書である。読者層を広く設定したのは、現代医療はチーム医療であり、医療に関わる人たち全員が知識と意識を共有しなければ薬物治療は成功しないと考えるからである。 薬理学は、薬物と生体の相互作用の学問なので、本書のタイトルはそれを象徴する『くすりとからだ』とした。サブタイトルを「チーム医療のための臨床薬理学入門」としたのは、チーム医療メ...
犯罪の証明なき有罪判決
- 定価 3,520円(税率10%時の消費税相当額を含む)
冤罪はなぜ起こるのか。 刑事訴訟法は明文で、「犯罪の証明があった」ときにのみ、有罪判決において「刑の言渡し」ができ(刑訴法333条)、「犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡しをしなければならない」(刑訴法336条)と規定する。しかし日本の刑事裁判実務では、裁判官の「自由心証主義」が過度に重視され、現行法上の有罪判決の前提である「犯罪の証明」が軽視されてきた。その結果、「裁判官の自由な判断」により誤った有罪判決を生み出す「暗黒裁判」が後を絶たない。 本書では、70数年に及ぶ現行憲法・刑事訴訟法...
明治期熊本の洋風建築史
- 定価 6,930円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は、明治期に熊本県内で造られた近代化遺産を含む洋風建築について網羅的に調査した結果を、時代背景も含めながら叙述し、写真や図面を用いて明治期熊本における洋風建築の歴史を明らかにするものである。明治期に日本にもたらされた洋風建築は、熊本においてはまず長崎から伝播し、数年遅れて明治政府の統治機構の整備に伴い東京からも伝搬した。長崎から伝わった洋風建築の系譜は、やがて東京から伝わった洋風建築の系譜に飲み込まれていった。このような熊本における洋風建築流入の系譜を体系的に網羅し、通史として示すとともに、...
第3インタナショナルへの道
- 定価 7,480円(税率10%時の消費税相当額を含む)
著者のインタナショナル(国際社会主義)史研究は、1919年3月コミンテルン創立大会への西欧からの数少ない出席者のひとりとして知られるオランダ社会主義者兼土木技師S.J. リュトヘルスの国際的活動への一国史的な枠組みを超えた追跡調査を手がかりに、『リュトヘルスとインタナショナル史研究』より始まった。4冊目の著作となる本書によって、ようやくコミンテルン創設という本テーマのクライマックスにまで辿り着いた。第1次世界大戦勃発によって第2インタナショナルが事実上「崩壊」したあと起こった国際反戦社会主義運動...
形と形が出合うとき
- 定価 7,920円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は、韓国語の形態音韻論的現象を研究の俎上に載せ、その態様を描出せんとするものである。音素、音節、形態素、単語 形と形 がおのおの接合すると、いかなる現象が生起し、その背後にはいかなる原理が伏流しているのか。これまで存在自体は知られていても、十分には考検されてこなかった現象群を具に剖析することによって、韓国語の興味深い様々な言語事実を精緻に焙り出すことが本書の目的である。何故に形態音韻論を韓国語において問うのか その解は分明である。日本列島周辺の言語を見渡してみても、現代韓国語は形態音韻...
ドイツ=東アジア関係史 1890-1945
- 定価 6,820円(税率10%時の消費税相当額を含む)
1940年に日本と軍事同盟の関係を築く以前に、ドイツはそもそも中国との間に広範な通商関係を持っていた。とりわけ第一次世界大戦後に中国における植民地を失うことになったドイツにとっては、武器の販路や天然資源の供給元として中国は依然として重要な存在であった。また中国にとっても進出の野心を強めつつある隣国の日本に対してドイツとの関係強化を図ることは必然の流れであった。本書は、帝政ドイツ・ヴァイマル共和国・ナチスドイツ、清朝・中華民国・「満洲国」、そして日本(大日本帝国)と、国家の形態や国家間の関係はさま...
近代日本洋画史再考
- 定価 4,950円(税率10%時の消費税相当額を含む)
明治40年の文部省美術展覧会開設以降に確立され、その後の美術史や美術運動史のなかで、功罪含めてつねに大きな影響力を持ち続けた主流としての「官展アカデミズム」は、戦後日本の美術批評において、個性を欠いた類型的な作品群としてしばしば否定的に捉えられ、長らく等閑視されてきた。そのような評価の偏りを踏まえ、本書では、岡田三郎助、中澤弘光、中村研一という「官展アカデミズム」の直系ともいうべき三人の作家による代表的な官展出品作(岡田三郎助《水浴の前》(大正5年、第10回文展)、中澤弘光《かきつばた》(大正7...
野生の文法(グラマー)
- 定価 4,620円(税率10%時の消費税相当額を含む)
「野生のなかにこそ世界を保存する力がある」ソローの野生論「ウォーキング」のもっとも知られた一節である。ソローの野生論は、野生という概念を中心として文化の活力と健全性、そして人間の全き成長について論じたものであった。従来、自然詩人、シンプルライフの実践家とみなされたソローを「野生」という鍵概念に注目して読み直し、さらに環境活動家ジョン・ミューア、現代詩人ゲーリー・スナイダーに与えた影響を考察する。「わたくしが関心を抱くのは、思想(グラマー)としての「野生」の問題であり、その系譜学である。別の言い方...
四川大地震から学ぶ
- 定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
国の威信をかけた北京オリンピック開催の直前、中国の様々な社会問題などが世界中の注目を集めていた2008年5月12日に四川大地震は発生した。地震をきっかけに中国社会でもボランティア元年、NGO元年と呼ばれる市民の動きが沸き上がり、中国政府は微妙な駆け引きを行いながら復興のかじを取ることを余儀なくされた。本書は、四川大地震発生から13年経過した今、復興政策、被災者のこころのケア、被災地観光、少数民族、防災教育といった多様な視点から変容する中国社会を中長期的視点で見つめ、中国式レジリエンスの構築につい...