人文科学 文学

魯迅

魯迅

秋吉 收
定価 6,380円(税率10%時の消費税相当額を含む)
「芸術的完成さでは魯迅のあらゆる作品中で第一位を占める」(竹内好『魯迅入門』)。この言葉に象徴されるように、散文詩集『野草』は中国近代文学史上最高の文学者たる魯迅の最高傑作として称えられてきた。本書はこの作品集を中心に、全く新たな観点から魯迅の文学を捉え直すことを試みる。例えば、タイトルの『野草(Ye-cao)』は日本語訳としても同じく『野草』とされてきたが、よりふさわしい日本語訳として初めて"雑草"を提起する。高潔で凜とした"野草"のイメージに反して、魯迅自身は実際にはそこに日本語"雑草"の大...
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韻文訳 妖精の女王

韻文訳 妖精の女王

エドマンド・スペンサー/福田昇八 訳
定価 33,000円(税率10%時の消費税相当額を含む)
原作はシェイクスピアと同時代に、詩人エドマンド・スペンサーによってエリザベス1世に捧げられた長編叙事詩で、質量ともに英文学の最高峰を誇る。全6巻と断篇からなり、アーサー王物語を題材に、妖精国女王の命を受けた遍歴の騎士たちが、貴婦人や魔女、魔術師、竜や怪獣などをめぐり数々の冒険を繰り広げる騎士道物語であり、当時の情勢(政治・宗教)を盛り込みつつ、それぞれの騎士が体現する人間の徳の姿を示す寓意物語である。本書はこれまでに二度『妖精の女王』散文訳に携わった訳者の知見を生かし、従来行われてきた意味重視の...
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南宋の文人と出版文化

南宋の文人と出版文化

甲斐雄一
定価 3,960円(税率10%時の消費税相当額を含む)
中国文化史を大きく二つに切り分けるとすれば、間違いなくその切り口は宋代(10-13世紀)に設定されるであろう。「東洋のルネッサンス」とも称された様々な変革がこの宋代に起こっているが、出版技術が発展・拡散し、版本が普及したこともその一つに数えられる。とりわけ北宋中期(11世紀)以降顕著になっていくこうした変革の中で、南宋(1127-1279)の文学作品については「編集→刊行→読者による入手及び反応」という、現在にも通じる流通の過程を観測することが可能である。この流通過程は、それまで首都を中心とした...
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シェイクスピア時代の演劇世界

シェイクスピア時代の演劇世界

英 知明・佐野隆弥・田中一隆・辻 照彦 編著
定価 4,730円(税率10%時の消費税相当額を含む)
最近のエリザベス朝・ジェイムズ朝演劇研究で必須となったツールが、デジタルアーカイヴズである。これは膨大な研究資料を、広くオンライン上でデジタルデータとして変換、公開するもので、インターネット上で閲覧できる情報・画像・映像データベースなどを含んでいる。執筆者たちは意欲的にデジタルアーカイブズを利用し、シェイクスピア、マーロウ、リリー等の劇作家が描く演劇世界に新たな視点を盛り込んだ最新研究を提示している。第一部「演劇理論と作品の受容」では、「役者の変装とダブリング」を観客がいかに受容したかという理論...
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御津の浜松一言抄

御津の浜松一言抄

辛島正雄
定価 3,960円(税率10%時の消費税相当額を含む)
夢と転生に彩られた甘美な恋物語という従来の解釈から、二人の男が互いの想い人を奪い合う、「恋の闘争」の物語へ  『無名草子』において平安後期物語の三大傑作に数えられながら、近世以前に首尾を逸亡させ、国学者たちによる研究も不発に終わった『浜松中納言物語』(原題「御津の浜松」)は、昭和初期に最終巻の伝本が二本発見されたことにより、研究史上の新時代を迎えた。以来、八十年余りを経て、その間には優れた注釈書も著され、読解のための環境は整ったように見えるのだが、実際にはどうなのか。本書は、最終巻前半に見える主...
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エリザベス朝史劇と国家表象

エリザベス朝史劇と国家表象

佐野隆弥
定価 6,380円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ヘンリー8世からエリザベス1世そしてジェイムズ1世が統治した初期近代は、イングランドが近代的国家体制の構築に向かう時期に当たる。イングランド国教会の設立に代表される政治的・宗教的言説流通の中で、国家意識の急激な高まりは多くの年代記とイングランド史劇を中心とする歴史劇を生み出した。本書は、16世紀初頭から1642年の劇場閉鎖までの時期に創作された50編ばかりの全歴史劇を対象に、個別のイングランド史劇に描き込まれた国家表象(イングランド表象)の有りようを時系列に沿って網羅的に記述した、演劇史研究であ...
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近代文学の橋

近代文学の橋

ダニエル・ストラック
定価 5,940円(税率10%時の消費税相当額を含む)
近代文学を発展させた作家たちは様々な問題に取り組んでいた。表現体において「言文一致体」がその諸問題に対する解決案の一つであったが,近世から近代にかけて,文学の意味内容も吟味されるようになった。文芸的思潮の流れの中で「橋」は作中に数多く登場しているが,この頻出の原因は一体何だろうか。本書は,橋が登場している近代文学の複数の名作において,「橋」が如何に描写されているのか,その箇所が如何に作品全体の意味合いに貢献しているのかを調査するものである。イデオロギーなどを主題の一つとして取り上げる近代の小説家...
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『白痴』を読む

『白痴』を読む

清水孝純
定価 3,520円(税率10%時の消費税相当額を含む)
あまりにも鋭い人間的洞察力を与えられたとき,人間は白痴のように見えるのかも知れない。『白痴』の主人公ムイシキン公爵は癲癇という病気のもとに神秘的とまで見える洞察力をもって19世紀ロシアを遍歴する。近代の大都会に跳梁する道化群像の只中にあって,彼ひとり揺るがぬ魂のユートピアを願って生きる。しかし恐るべき愛憎の渦へと巻き込まれて破滅の運命をたどることになる。謙抑に満ち,人を裁くことのない無垢の魂が,何故悲劇をとどめ得なかったか。『白痴』という小説の謎はその一点にきわまるが,それは公爵のうちなる虚無の...
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「空間」のエリザベス朝演劇

「空間」のエリザベス朝演劇

川井万里子
定価 5,720円(税率10%時の消費税相当額を含む)
中世後期から近代初期へと移り変わる転換期の社会の諸相をダイナミックに描いたエリザベス朝演劇。本書では「空間」と人との関係に注目して,エリザベス朝演劇の代表的諸作品  『フェヴァシャムのアーデン』『優しさで殺された女』『錬金術師』『靴屋の祭日』『リア王』『シンベリン』『復讐者の悲劇』『ビュッシイ・ダンボア』『白悪魔』『チェンジリング』など  における私室,地域社会,都市,国家,宇宙,そして人間の内的空間まで,初期近代の激動期を生きるひとびとの空間認識の深まりを読み解く。 (さらに…)
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背表紙キャサリン・アーンショー

背表紙キャサリン・アーンショー

鵜飼信光
定価 3,740円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書はそれぞれ四章から成る「自己の中の外部」、「自己と外部」と題する二つの部で構成され、全体で七編の19世紀、20世紀のイギリス小説を考察する。 第一部の題「自己の中の外部」は、自覚的な意識が及ばない、自己の中のいわば外部である無意識を指している。今日私たちは、フロイトやラカンの高度に洗練された精神分析の知見の影響下にあるが、19世紀のイギリスの作家たちは、「無意識」についてもっと素朴な洞察を独自に持っていて、それを作品に描いている例があると考えられる。本書の第一部の目的は、個々の作品に固有の問...
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学術図書刊行助成

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