人文科学 文学
日本近・現代文学における知的障害者表象
- 定価 7,260円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は,主に文学作品における知的障害者の語られ方を通史的に考察することで,近代以降の日本における知的障害者観,人間観はいかなるものであるか,そして私たちはこれから人間をどのように語り得るのかを検討したものである。 近代以降,学校等これまでなかった制度がつくられ,従来の士農工商は人間という概念にとって替わられた。士農工商では共同作業ができず,学校などが成り立たないから,教育で伸ばすべき意志や理性をもち,国家・社会に益する存在としての人間概念が,近代社会を成立させる上で必要とされたのである。 明治...

英国ルネサンス演劇統制史
- 定価 8,800円(税率10%時の消費税相当額を含む)
イングランドの演劇は中世以来聖史劇や奇跡劇そして道徳劇を中心としていたが,16世紀後半に世俗的な大衆演劇が発達し,シェイクスピアの登場でひとつの絶頂期を迎えた。演劇が隆昌をきわめようとしていたちょうどその頃,宮廷祝典局長を検閲者とする演劇の統制制度が整った。以後演劇は1642年の劇場閉鎖まで,反逆罪や煽動罪を規定する布令に加えて,祝典局長の検閲による統制を受けた。本書は,その統制のありようを歴史的・実証的に跡づける。歴史家や演劇史家は英国ルネサンス期の演劇統制を禁圧的と把握する傾向が強いが,本書...

British Romanticism, Slavery and the Slave Trade 1780s to 1830s
- 定価 8,800円(税率10%時の消費税相当額を含む)
18世紀ヨーロッパ文化の暗部を支えた奴隷貿易,特に英国における奴隷貿易廃止運動を背景に,第一世代のイギリスロマン派詩人(コールリッジ,サウジー,ワーズワース,ブレイク等)の文学的感覚と社会的感受性が,彼らの宗教的,政治的,哲学的思索を総動員し,いかにそれに関与したかを考察。ウィリアム・ウィルバフォース,トマス・クラークソン等の奴隷貿易廃止論,イギリス議会における論争,白人を人種階層のトップに位置づける人種理論,キリスト教思想との関係も視野に入れ,ロマン主義文学の感性が複雑な社会的精神的葛藤の中で...

フラメンカ物語
- 定価 4,180円(税率10%時の消費税相当額を含む)
「フラメンカ物語」は13世紀フランス中南部地方の方言であるオック語で書かれた作者不詳の韻文風俗物語であり,現存する中世オック語作品群のうちでも資料的価値・文学的価値ともに「文句なしの一級品」である。フランス南部カルカソンヌの市立図書館に残る唯一の写本をもとに訳出された八千余行にわたる詩句の厳密な考証と分析に基づいた訳文は,一般の読者にも親しみやすい現代語訳となっており,きわめて明解である。 美しきフラメンカを娶ったブルボンの領主アルシャンボーは,その結婚披露宴での些細な出来事から嫉妬に駆られ,彼...

バンジャマン・コンスタン日記
- 定価 10,340円(税率10%時の消費税相当額を含む)
バンジャマン・コンスタン(1767-1830年、国葬)の1804-16年(36-48歳、途中3年半の空白)にわたる「日記」は、ナポレオン帝政から第二次王政復古に至る動乱の時代を鮮やかに描き出し、政治家コンスタンの複雑な軌跡を浮かび上がらせる。ゲーテ、シラー、シェリング、シュレーゲル兄弟といった当代一流知識人との交流、ヨーロッパ各地の宮廷・サロンに集う貴顕紳士への辛辣な人物評、ライフワークとなった宗教思想史執筆過程の詳細な記述から、思想家としての思索の跡を辿ることができる。さらに恋愛のマキャヴェリ...

残響
- 定価 2,640円(税率10%時の消費税相当額を含む)
統一的なテーマで編集された英・米・アイルランドの短編小説8編。丁寧な注釈を施したハーディ新訳に加え,全8編中7編が本邦初訳。人が作った社会の仕組み,持って生まれた性(さが),避けることのできない老いなどに取り囲まれている人生の中で,生きる喜びと力を与えてくれるものは何か。また,その喜びと力を阻んでいるものは何か。立ち止まって考えたい。耳を傾けたい。失ってはならないものに読者の心を手繰りよせる数々の残響に。 (さらに…)

廷臣詩人 サー・フィリップ・シドニー
- 定価 6,160円(税率10%時の消費税相当額を含む)
エリザベス女王の宮廷にあって文武両道の華・理想の廷臣とされてきたシドニーの実像に迫り,その非神話化を試みる。エリザベス朝期の文学評論で定評のあるダンカン=ジョーンズ女史による斬新で画期的な評伝。 (さらに…)

トテル詩選集 歌とソネット 1557
- 定価 7,260円(税率10%時の消費税相当額を含む)
Edward Arberが出版したTottel's Miscellany(1870)の名称で知られるSONGES AND SONETTES(1557)『歌とソネット』は,出版以後よく読まれ,シェイクスピアもこの詩選集により英詩に初めて接したと言われる。英文学史上初めてソネットと無韻詩が発表され,詩の言語としての英語の自立が宣言されたことで不朽の名を残す。また,学者詩人ニコラス・グリモールドの詩が,再版では10篇に減らされ以後読まれなくなるが,初版では40篇が印刷されていることも重要である。 ト...

アキテーヌ公 ギヨーム九世
- 定価 3,520円(税率10%時の消費税相当額を含む)
高い身分にありながら奔放に生き,非常に個性的であったといわれるアキテーヌ公ギヨーム九世。中世南仏文学の担い手であったトルバドゥール(吟遊詩人)の祖とされる彼は,それまでの女性観を変革し,女性を対等な人間として扱う新しい愛の理想を発見した先駆者でもあった。現存する11篇の詩作品とその解説,またその生涯や言語の分析を通し,その人物像を浮き彫りにする。 (さらに…)

セリーヌの道化的空間
- 定価 5,830円(税率10%時の消費税相当額を含む)
呪われた作家から自虐の道化師へ――本書は〈敗残の巨人〉セリーヌの作品を20世紀の傑出した道化文学として読み解く試みである。主要な長編小説のみならず,今なおタブー視されている激烈な反ユダヤ主義文書も射程に入れ,セリーヌの創作的想像力の本質に迫っている。単独著者によるセリーヌ研究書としては本邦初の出版である。 (さらに…)
