人文科学
アンドレ・ジッド
- 定価 3,300円(税率10%時の消費税相当額を含む)
人間中心主義の具体的な顕れとして,アンドレ・ジッドの<営為=作品>には,その欠陥に至るまで今も疑いえない生命が息づいている。ジッド,それは生成・道程であり,活動し際限なく誕生する意識,すなわち存在する意識なのだ。ジッド研究の第一人者による最上の手引書。日本公演「ジッド研究の現状」を訳出付載,もって論究の十全を期す。 (さらに…)
よき死の作法
- 定価 3,520円(税率10%時の消費税相当額を含む)
人間の死は,死ぬ本人,家族や社会,また歴史や文化に関わる幾重にも積み重なる意味を担っており,「よき死」への願望と作法は歴史を通じて常に求められてきた。先の3冊の論集と同様に本書も共同研究の成果であり,多様な「死」の諸相をそれぞれの専門とする観点から論ずることで「死」の本質に迫ったものである。 (さらに…)
メリメの『カルメン』はどのように作られているか
- 定価 2,420円(税率10%時の消費税相当額を含む)
メリメ生誕200年におくる『カルメン』の新たな一解釈。著者は「神話」と化した『カルメン』受容を解体し,作品のもう一つの,実は基本的な意味を再構築する。まず説話学の観点より原作独特の重層的な構造を示し,それが「異性」(むしろ「他異性」と言おう)に刻印された世界,いわゆる異文化への接近のために必要な手法であったと説く。次いで著者は,従来メリメに関して十分に観察されなかったまさにこの「他異性」の主題を考察する。その構成や既知への還元法とともに,その機能および作動の仕方を分析し, 基本的に恋愛小説でも...
北部九州における弥生時代墓制の研究
- 定価 8,140円(税率10%時の消費税相当額を含む)
弥生時代の北部九州地域の墓制を素材とした,縄文から弥生への文化・社会構造の変化と階層的な社会場成立するプロセスの研究。甕棺葬の成立過程,支石墓の変遷と地域的な特色,墓地空間構造,副葬品にみられる階層性などの考古学的な分析を通して,弥生社会の構造を照射したものである。 (さらに…)
スペイン・ロマネスク彫刻研究
- 定価 13,200円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書はサンティアゴ巡礼時代の北部スペインの彫刻を,12世紀を中心に図像学,様式の面から分析・研究し,成果をまとめたものである。 序章において聖ヤコブ信仰成立の時代背景を解明し,本論ではアラゴン,ナバーラ地方の実地調査から得られた詳細なデータを提供する。わけてもウエスカの「聖シルウェステル伝」図像の同定はイベリア半島初見であり,著者の直感の冴えを認識させる。また,巻末資料,邦訳『巡礼案内記』は研究論文としても充分読み応えのある労作である。 長期間にわたり作品群に接してきた著者ならではの視点や考察...
内村鑑三のキリスト教思想
- 定価 4,400円(税率10%時の消費税相当額を含む)
明治以降最大のキリスト者,内村鑑三(1861―1930年)は,近代日本の多くの歴史的出来事(不敬事件,帝国主義批判,非戦論等)に関わっているが,本書では,その背景を形成するキリスト教思想に考察の射程を限定し,その核心と展開を解明する。札幌での入信以来終生維持される宇宙論的神の概念と米国アマスト大学で初めて獲得された贖罪信仰(十字架のキリスト),この二つの中心思想がどのように交わり,内村の壮年期のキリスト教思想を形成しているか,さらに,この思想がどのようにして晩年の再臨思想(終末論)へと発展してい...
異文化の中の郭沫若
- 定価 7,700円(税率10%時の消費税相当額を含む)
郭沫若は日本と深い関わりを持つ現代中国の文学者であった。彼は大正3年から12年までの間日本に留学していた。この十年間,彼は西洋医学を勉強しながら文学者への道を歩み,日本という異文化の中で同時代中国の新詩の流れを変えてしまうほどの文学巨人に成長した。もともと医学生の彼は何故詩人になったのか,異文化の狭間にいる彼は日本でどんな思想に接し,精神的にどんな滋養を吸収していたのか。青天の霹靂のように中国新詩壇を震撼させた彼の処女詩集『女神』を育んだ創作環境と詩人の精神風土は未だに解明されていない。 本書は...
英国バラッド詩60撰
- 定価 7,700円(税率10%時の消費税相当額を含む)
バラッド詩(Literary Ballad)とは,庶民の叙事詩である英国伝承バラッド(Traditional Ballad)の様々な要素の模倣とそこからの発展によって生まれた,職業詩人たちによる作品をいう。本書は,18世紀から20世紀前半にわたる代表的な作品を収めた,日本初の本格的なバラッド詩のアンソロジーである。各時代ごとに15篇を選定し,合計59名の詩人による60作品に,バラッド詩の系譜における位置付けを中心とした解説と語註を付した。バラッド研究の基礎資料であり,バラッド詩とは何かを提示した...
主体感覚とその賦活化
- 定価 3,740円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は,ジェンドリンの体験過程療法から出発して,心理療法における体験の変化について著者独自の理論と技法を展開したものである。心理療法の過程でのクライエントとセラピスト双方の「主体感覚」(体験に伴う自律性の感覚)の変遷に注目し,「主体感覚の賦活化」に焦点をあてた理論・技法を,従来の体験過程療法よりもさらに広い範囲の事例に適用可能なものとして提案している。 (さらに…)
彗星
- 定価 8,360円(税率10%時の消費税相当額を含む)
『彗星』はジャン・パウルの最後の長編小説である。その喜劇的構成は『ドン・キホーテ』を淵源とし,『詐欺師フェーリクス・クルル』につながるもので,主人公の聖人かと思えばそうでもない,侯爵かと思えばそうでもない,二重の内面の錯誤の劇が描かれる。 (さらに…)