人文科学
レコンキスタと国家形成
- 定価 7,040円(税率10%時の消費税相当額を含む)
レコンキスタ 800年に渡るイスラームとの接触と対峙 は,スペインの政治と社会にどのような性格を与えたのか。19世紀末からの,スペイン学界,またフランス学界や英米学界における中世スペイン史の研究動向を網羅的・批判的に検討し,レコンキスタが最も激しさを増した12世紀を中心に,「グレゴリウス改革の影響」「王権と司教座」「王権と騎士修道会」「教会領主と農民」「教会とイスラーム教徒住民」など,多様な論点から史料に基づいて解き明かす。中世のスペインでは,アストゥリアス王国やその後身のカスティーリャ・レ...
韻文訳 妖精の女王
- 〔品 切〕(参考:本体価格 30,000円)
原作はシェイクスピアと同時代に、詩人エドマンド・スペンサーによってエリザベス1世に捧げられた長編叙事詩で、質量ともに英文学の最高峰を誇る。全6巻と断篇からなり、アーサー王物語を題材に、妖精国女王の命を受けた遍歴の騎士たちが、貴婦人や魔女、魔術師、竜や怪獣などをめぐり数々の冒険を繰り広げる騎士道物語であり、当時の情勢(政治・宗教)を盛り込みつつ、それぞれの騎士が体現する人間の徳の姿を示す寓意物語である。本書はこれまでに二度『妖精の女王』散文訳に携わった訳者の知見を生かし、従来行われてきた意味重視の...
英語文学テクストの語学的研究法
- 定価 5,280円(税率10%時の消費税相当額を含む)
従来、文学テクストは文学系の研究者が論じ、言語学者は自然言語にのみ関心を示してきました。そのためこれまでは、英語文学作品を語学的に論じようとする研究者に向けた網羅的な手引書がありませんでした。本書は、そもそも言語から成り立っている文学作品を言語学・文献学・文体論といった「語学的」見地から論じようとする、若き研究者のための語学的文学論ガイドです。内容的には、特に論文執筆に役立つように、優れた論文(書籍化されたものも含みます)の解題に焦点を当てているのが大きな特徴です。第1部「文学テクストを語学的に...
ブルゴーニュ国家の形成と変容
- 定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ブルゴーニュ公国史研究会の10年にわたる研究成果を問う本書は,「領邦と中間権力」「都市と市民」「宮廷と政治文化」の三部から成る。中世後期に広大な地政学的空間を現出した「ブルゴーニュ国家」に,政治史・経済史・都市史・文化史など多様な側面から接近を試みることで,ヨーロッパ歴史像の一断章を浮かび上がらせる。 (さらに…)
南宋の文人と出版文化
- 定価 3,960円(税率10%時の消費税相当額を含む)
中国文化史を大きく二つに切り分けるとすれば、間違いなくその切り口は宋代(10-13世紀)に設定されるであろう。「東洋のルネッサンス」とも称された様々な変革がこの宋代に起こっているが、出版技術が発展・拡散し、版本が普及したこともその一つに数えられる。とりわけ北宋中期(11世紀)以降顕著になっていくこうした変革の中で、南宋(1127-1279)の文学作品については「編集→刊行→読者による入手及び反応」という、現在にも通じる流通の過程を観測することが可能である。この流通過程は、それまで首都を中心とした...
戦争と平和、そして革命の時代のインタナショナル
- 定価 4,620円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は,40数年にわたる著者のインタナショナル(国際社会主義)史研究を振り返る著作として構想し,今から100年前,社会主義者によって追求された戦争と平和,そして革命をめぐるインタナショナルの理念と実践がどのような意義をもったか,を歴史的に解明することをめざしている。 具体的には,第一次世界大戦勃発とともに第2インタナショナルが機能停止に陥ったことを契機に登場した国際反戦社会主義運動であるツィンメルヴァルト運動(1915-19年)と,ロシア10月革命を背景として実現した第3インタナショナ...
シェイクスピア時代の演劇世界
- 定価 4,730円(税率10%時の消費税相当額を含む)
最近のエリザベス朝・ジェイムズ朝演劇研究で必須となったツールが、デジタルアーカイヴズである。これは膨大な研究資料を、広くオンライン上でデジタルデータとして変換、公開するもので、インターネット上で閲覧できる情報・画像・映像データベースなどを含んでいる。執筆者たちは意欲的にデジタルアーカイブズを利用し、シェイクスピア、マーロウ、リリー等の劇作家が描く演劇世界に新たな視点を盛り込んだ最新研究を提示している。第一部「演劇理論と作品の受容」では、「役者の変装とダブリング」を観客がいかに受容したかという理論...
物にして言葉
- 定価 8,140円(税率10%時の消費税相当額を含む)
〈経験的実在論にして超越論的観念論、超越論的観念論にして経験的実在論〉。 カント理性批判の思索は、この世界反転光学の不断往還のうちに生起する。そして世界直観二局面(アスペクト)間の「にして」の反転が往相から還相へ折り返す刹那、あの中央読点の深層に広がる縹緲たる無の場所で、〈物にして言葉、言葉にして物〉という隠れた主題が新たに浮上する。ゆえに第一批判は、たんに認識論であるのみならず、つねに同時に存在論であり言語論である。そして三批判書は、われわれ人間が住まう「経験の可能性」の大地に「あるもの」と「...
遼東半島上馬石貝塚の研究
- 定価 8,800円(税率10%時の消費税相当額を含む)
1941年に日本学術振興会によって行われた遼東半島上馬石貝塚の発掘は、長い間その資料が公開されないままであった。それは、新石器時代から青銅器時代さらに初期鉄器時代に至るまで連綿と続く遺跡であり、本地域の基準的な土器編年網を構築できる遺跡であった。これによって作り出された遼東土器編年は、中国中原と朝鮮半島さらには北部九州を結ぶことができるものであり、弥生の実年代を考古学的手法によって唯一解明できるものである。その結果、北部九州の弥生時代の開始は紀元前8世紀頃にあることが証明された。さらには、韓国無...
日本の出版物流通システム
- 〔品 切〕(参考:本体価格 3,700円)
本書では日本の出版物流通業を事例として,流通システムの空間構造が中間業者(取次会社)と小売業者(書店)の間の「垂直的企業間関係」によってどのような影響を受けているのかを分析しています。私たちにとってなじみ深い紙の本や雑誌の流通について、取次会社や書店に対する丁寧な聞き取り調査に基づいて議論が展開されており、その意味で本書は資料的な価値も有していると言えるでしょう。 電子書籍やアマゾンなどのネット書店といった、今流行りの出版事情について触れられていない点を残念に感じる読者もおられるかもしれませんが...