人文科学文学

野生の文法(グラマー)

野生の文法(グラマー)

高橋 勤
定価 4,200円(税別)
「野生のなかにこそ世界を保存する力がある」ソローの野生論「ウォーキング」のもっとも知られた一節である。ソローの野生論は、野生という概念を中心として文化の活力と健全性、そして人間の全き成長について論じたものであった。従来、自然詩人、シンプルライフの実践家とみなされたソローを「野生」という鍵概念に注目して読み直し、さらに環境活動家ジョン・ミューア、現代詩人ゲーリー・スナイダーに与えた影響を考察する。「わたくしが関心を抱くのは、思想(グラマー)としての「野生」の問題であり、その系譜学である。別の言い方...
書籍の詳細へ
水の女[新装版]

水の女[新装版]

小黒康正
定価 2,500円(税別)
ヨーロッパ文学における「水の女」の系譜は、大小さまざまな流れから成り立つ。但し、その本流は、古代ギリシア神話を水源とし、キリスト教のもとで形を変えながら、中世やルネサンス期の民間伝承や民衆本を経て、近代ドイツのメールヒェンにて川幅を広げ、更にデンマークへと至り、世界文学という海原に流れ出る。こうした流れの中でドイツ文学の役割は大きい。セイレンの後裔たちは、明るい海原ではなく、奥深い森の湖沼に現れるようになると、文学において頻出する「他者」となり、同時に内面化された「他者」となる。つまり、「水の女...
書籍の詳細へ
開戦前夜の日中学術交流

開戦前夜の日中学術交流

稲森雅子
定価 5,400円(税別)
1920-30年、中国文学の若手研究者(中国学第二世代)が続々と北京へ留学した。当時、北京は忘れられた「古都」となっていたが、なお北京大学や清華大学など数多くの大学があり、学術研究の面では依然として中心地であった。その北京で、日本と中国の中国学研究者たちは、さかんに交流していた。しかし、このいわゆる「日中戦争前夜」の数年間の学術交流の実態は、これまで意識的あるいは無意識のうちに見過ごされてきた。本書は、近年偶然に発見された当時の資料等をもとに、北京において繰り広げられていた学術交流の具体的なあり...
書籍の詳細へ
在明の別 残月抄

在明の別 残月抄

辛島正雄
定価 6,000円(税別)
『在明の別』は平安最末期に成った王朝物語の傑作であるが、長らく散逸したものと見なされ、現存することが分かったのは戦後になってからである。藤原摂関家存亡の危機を救うため、春日の神の加護のもと人間界に降誕したヒロインが、たった一人で嫡男と姫君、男女二人分の役割を果たす奇跡の物語は、性の偽装をモチーフとする『とりかへばや』の流れを汲みつつも、さらに複雑精妙な物語世界を描き出す。しかし従来は、解釈困難な箇所の続出する「天下の孤本」を、十分な校訂が施されないまま読むほかなかった。本書では、そのように難解を...
書籍の詳細へ
アーケイディア[新装版]

アーケイディア[新装版]

サー・フィリップ・シドニー/
礒部初枝・小塩トシ子・川井万里子・土岐知子・根岸愛子 共訳
定価 9,400円(税別)
『ニュー・アーケイディア』(初版1590年)は、シドニーが女王への愛国的忠誠心からアランソン公との結婚に反対して女王の逆鱗にふれて宮廷から追放され、妹宅に蟄居中、不遇の憂さ晴らしに書き始められた遊びであったが、皮肉にも彼の代表作にして英国ルネッサンス・パストラルロマンスの最高峰として結実したのは幸福な歴史的逆説の一例であった。権力闘争に明け暮れる宮廷の醜い現実を熟知した廷臣詩人シドニーだからこそ、現実にはあり得ない夢の牧歌的理想郷(アーケイディア)を想定し、想像力の翼を思い切り羽ばたかせて飛翔す...
書籍の詳細へ
生と死をめぐるディスクール

生と死をめぐるディスクール

荻野蔵平/トビアス・バウアー 編
定価 2,000 円 (税別)
本書は、古今東西の文学や思想に見られる様々な死生観と、現在の生命倫理の諸相という二つの領域を総合的に関連づけながら考察することにより、生と死に向き合うために必要な心構えや勇気、そして覚悟を読み取ることをめざすものである。 第Ⅰ部では、第Ⅱ部以降の各章の理論的な背景として、まず第1章で「気づかい」を具体例にして倫理学におけるアプローチを紹介し、第2章では宗教学の観点から、古今東西の様々な死生観の分類と位置づけのための基盤となる枠組みを提示している。 第Ⅱ部...
書籍の詳細へ
ヘスペルス あるいは四十五の犬の郵便日[新装版]

ヘスペルス あるいは四十五の犬の郵便日[新装版]

ジャン・パウル/恒吉法海 訳
定価 9,400 円 (税別)
『ヘスペルス』(1795年)はドイツの小説家ジャン・パウルの出世作である。「ヘスペルス」とは「慰謝」の「宵の明星」の意であるが、ジャン・パウルの筆名をドイツ人だからと言って、本名の「ヨーハン・パウル」に変えられないように、「希望」の「明けの明星」、「美」の「金星」も暗示していて、「ヘスペルス」と訳すしかない。 本作は最もジャン・パウルらしさの見られる語り手の奔放な脱線と物語の感傷性の併存する奇妙な混淆物である。 物語は『見えないロッジ』や『巨人』がそうであるように、フランス革命の影響を受けたドイ...
書籍の詳細へ
マーガレット・ドラブル文学を読む

マーガレット・ドラブル文学を読む

永松美保
定価 4,800 円 (税別)
マーガレット・ドラブルは現代イギリスを代表する作家・英文学研究者の一人で、1963年、20代の頃に『夏の鳥かご』(A Summer Bird-Cage ) で文壇デビューを果たした。以来、およそ半世紀にわたって19本の小説を発表してきたドラブルは、その創作活動のなかで徐々に作風を変化させていった。当初の作風は、ドラブルがケンブリッジ大学で師事した F. R. リーヴィスの影響を受け、J. オースティンや G. エリオットらの作風を受け継いだ、倫理意識を重視したリアリズム小説で...
書籍の詳細へ
日本の近代美術とドイツ

日本の近代美術とドイツ

野村優子
定価 4,000 円 (税別)
西洋の油絵技法を取り入れて誕生した日本の洋画には、常に西洋美術受容の問題がつきまとう。その際に研究対象となるのは、いつもフランスであってドイツではない。たしかに日本が受け入れたのはゴッホやセザンヌなどフランス近代絵画であった。しかし、実際にはそれらはリヒャルト・ムーターやユーリウス・マイアー=グレーフェなどドイツ人美術批評家の書物を通じてもたらされていた。近代日本の西洋美術受容において、実践面ではフランスが重視されていたが、その一方で美術を言葉で支える思想面ではドイツが重要な役割を演じていたので...
書籍の詳細へ
ジッドとその時代

ジッドとその時代

吉井亮雄
定価 9,000 円 (税別)
本書は、書簡や日記をはじめとする豊富な未刊文献を駆使して、フランスの文豪アンドレ・ジッドが同時代人と結んだ多様な関係の具体相を鮮明に描き出し、稀代の文学的プロテウスの多面的肖像を活写する、実証研究の画期的成果である。ジッドがフランス文学史上固有の地位を主張しうるのは、ある文学的戦略を早くから選択し、以後ゆらぐことなくそれを実践し続けたからだ。すなわち、自己を禁忌とする逆説的なナルシシズムを育み、これに縛られ導かれて、ついには禁忌と執着とが混淆し、現実と虚構とが分別しがたい自伝空間を生きる、そして...
書籍の詳細へ
学術図書刊行助成

お勧めBOOKS

賦霊の自然哲学

賦霊の自然哲学

物理学者フェヒナー、進化生物学者ヘッケル、そして発生生物学者ドリーシュ。本書はこ...

詳細へ

帝国陸海軍の戦後史

帝国陸海軍の戦後史

近代日本のなかで主要な政治勢力の一翼を担った帝国陸海軍は、太平洋戦争の敗戦ととも...

詳細へ

大学生活、大丈夫?

大学生活、大丈夫?

日本の20代の死因第1位は自殺であり、大学生を含めた若者のメンタルヘルス対策は重...

詳細へ

九州大学出版会

〒814-0001
福岡県福岡市早良区百道浜3-8-34
九州大学産学官連携イノベーション
プラザ305
電話(092)833-9150
FAX(092)833-9160
E-mail : info@kup.or.jp

このページの上部へ